エンタープライズ:ケーススタディ 2003/09/24 21:46:00 更新


Lufthansa航空、PeopleSoft導入で乗客1人ひとりに質の高いサービス提供を目指す

PeopleSoftの代表的なユーザーとしてLufthansa航空が挙げられる。同社は、6拠点、3万人の従業員を対象に、PeopleSoft CRM 8を導入し、顧客サービスの向上を図っている。

 米カリフォルニア州アナハイムで開催されたPeopleSoft Connect 2003において紹介された代表的なユーザー企業に、ドイツのLufthansa航空が挙げられる。同社は、6拠点、3万人の従業員を対象に、PeopleSoft CRM 8を導入し、顧客サービスの向上を図っている。導入を担当したルフトハンザ航空のゼネラルマネジャー、インゴルフ・ウォルト氏に話を聞いた。

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フランクフルト在住のインゴルフ・ウォルト氏。

 「世界中に広がるルフトハンザの拠点間で横断的にデータを共有できるようになった」とウォルト氏は話す。ピュアインターネットアーキテクチャというPeopleSoftの特徴を生かし、従業員はブラウザを利用して、どこからでも同じように、自分の担当する業務を遂行するためのデータにアクセスすることができるという。

 同社も、ほかの航空会社と同じように、2001年9月の同時多発テロやSARSの収益への打撃は大きかったという。そんな市場環境の中、同社は、顧客1人ひとりにフォーカスしたより細かなサービスの提供を目指している。

 一方で、このシステムを利用することで乗客は、航空券の予約において窓際や通路側といった座席の指定をしたり、マイレージサービスのステータスの確認などを、インターネットにつながる環境ならば世界中のどこからでも行うことができる。

 システム導入においては、現在はIBMと統合したPricewaterhouseCoopersが協力したという。導入作業で苦労した点について、ウォルト氏はやはり、マスターデータの構築を1つに挙げている。

 一般に、世界中に拠点を持つ企業では、1つの統一的な情報システムを保有しているケースは必ずしも多くない。むしろ、各国支社で独自のシステムを運用している例もよく見かける。

 Lufthansaでは、PeopleSoft 8を導入したことで、インタフェースをブラウザで統一した。しかし、実際に1つのシステムとして運用する場合は、当然データを一元化することが求められてくる。例えば、各拠点間で共通する顧客については、カスタマーIDやカスタマーネームを統一する必要がある。同社では、IDの入力時のスペルミスなどにも柔軟に対応するなどして、データの構築を行っていった。

 ウォルト氏は、「今後も、ビジネスプロセスを新たに拡張していかなくてはならない」と話す。2002年4月の導入第一弾を皮切りに、システム拡張のスコープは今後3年に渡る。

 なお、PeopleSoftの稼動プラットフォームはSolarisベースで、ハードウェアはSun Fireを利用している。処理データは毎分1万トランザクションに上るため、システム環境には気を使っているという。

関連リンク
▼PeopleSoft Connect 2003 Report
▼日本ピープルソフト

[怒賀新也,ITmedia]