エンタープライズ:インタビュー | 2003/10/01 20:48:00 更新 |
AmazonのWebサービスはWeb版「セレクトショップ」乱立の幕開けか? (2/2)
ZDNet まずは、ジェフさんのプロフィールを簡単に教えてください。
ジェフ 1年ほど前となる2002年8月にAmazon.comに入社しました。それまでは、ソフトウェアの開発を行う企業のコンサルティングや、ベンチャーキャピタル関連の仕事に従事していました。あと、3年間、MicrosoftのVisualStudio .NETの開発の仕事をしていました。
ZDNet AmazonがWebサービス戦略を行うに至った経緯はどのようなものでしょう?
ジェフ 経緯としては、2002年初旬に、O'Reilly seriesで知られるティム・オライリー氏から、弊社のCEOであるジェフ・ベゾスに、XMLを使って簡単に売り上げデータにアクセス可能にしてほしいとの依頼があったことに端を発しています。この時点でプロジェクト自体はすでに進行中でした。
プロジェクトの意義をいえば、パートナーとのよりよい統合ということに尽きるかと思います。これまで以上によりよい情報を提供するためにWebサービスは存在します。
ZDNet Webサービスの盛り上がりはどのように感じていますか?
ジェフ かなり勢いづいてきていると思います。Webサービスという技術がまさにトレンドなものとなってきており、それに対する理解が深まってきているので、アプリケーションの開発なども多く行われるようになってきたと感じています。
ZDNet Webサービスのセキュリティについてはどのように考えていますか?
ジェフ セキュリティについては、非常に重要な点だと考えています。AmazonのWebサービスでは、セキュリティの面で非常に慎重な姿勢をとっています。たとえば、個人情報に関しては、その部分を分離させることで、まったくアクセスできないようにしています。また、著作権に関しても、同様に慎重な論議を繰り返しており、これまでに問題は発生していません。
ここまで慎重な姿勢をとるのは、このWebサービスが将来、弊社の基盤の一部になると考えているためです。決してサイドビジネス的にやっているわけではありません。
ZDNet このWebサービスによるとみられる売り上げはどのように推移していますか?
ジェフ 売り上げについては、ここでお話できないのですが、Webサービスを開始して見えてきた面白い点として、Webサービスがさまざまな形で弊社の売り上げを押し上げていることがあげられます。アソシエイトのWebサイトはいうに及ばず、マーケットプレイスのセラーの方が、自社製品の価格を決定するために使用するなどの使われ方もしているようです。後者の場合は間接的な売り上げにつながります。いずれにせよ、Amazonのブランド力は高まっていっていると思います。
ユーザーは今後、AmazonのWebサイトだけでなく、自分のパーソナリティにあったWebサイト経由でAmazonが提供する製品を購入していくようになるのではないでしょうか?
ZDNet AmazonのWebサービス戦略は将来どの方向に進んでいくのでしょう?
ジェフ 戦略について2つの側面からお話しましょう。まず1つは、これまでの方向性を継続していくということです。近い将来、カナダとフランスでも同様のサービスを開始するほか、Amazonのさまざまな情報にアクセスするための追加的な機能についても盛り込んでいくつもりです。
もうひとつは、さまざまな国のデベロッパーコミュニティに対して、情報を提供していくことです。これにより、Webサービスがどのようなポテンシャルを持っているかを明らかにしていければと考えています。具体的にはデベロッパーが議論するデベロッパー・ポータルの増強を考えています。
Webサービスで1-Click機能も利用可能に?
ZDNet 現在のAmazon Web Service(AWS)はバージョン3.0だと思いますが、次のバージョンの登場はいつごろになるでしょうか?また、その際に追加する可能性がある機能としては、どのようなものがあげられますか? Amazonの有名な1-Click機能を利用可能になるでしょうか?
ジェフ バージョン4.0にあたるものがいつ登場するかは言えませんが、このバージョンでは多くの機能が盛り込まれる予定です。ちなみに、現状でもマイナーバージョンアップは頻繁に行っています。
盛り込まれる機能については、今後変更されるかもしれないという前提でお話しますが、各リクエストに対して情報のデータフィールドから選択できるようにしたり、リクエストに対して戻ってきた情報をフィールドごとに扱えるようにするなど、セレクティブ・アウトプットの部分を強化していきたいと思います。
1-Click機能についてですが、こちらはリモートショッピングの機能も含め、現在組み込んで行く方向で開発を進めています。目指しているのは、Amazon.comで提供している機能を米国以外のインターナショナルサイトにも持たせることです。
ZDNet 同サービスを利用したアプリケーションを開発したとして、それを自由に配布してもいいのでしょうか?
ジェフ 問題ありません。むしろ歓迎します。そういったプログラムを作成したのなら教えていただければ広報的な意味でも協力できるかもしれません。私たちは、新しくクリエイティブなアプリケーションは知りたいといつも考えています。
ZDNet ちなみに、使用許諾には「1秒間に1コール」という条件が定められています。実際の利用については、これを超えてしまう場合も起こると思いますが、これはもっと緩和できないのでしょうか?
ジェフ 「1秒間に1コール」というのはあくまでもガイドラインで規制ではありません。デベロッパーのニーズに合わせてこれらも変化していく可能性はあります。
ZDNet ところで、ジェフさんはMicrosoftでも働いていたということですが、AWS関連のサーバはWindowsベースなのでしょうか?
ジェフ いいえ、Linuxベースとなっています。
ZDNet Webサービスの部分に関していうと、同様にWebサービスを開始しているGoogleと比較されることがあります。これについてどう思いますか?
ジェフ Googleについてのコメントは避けますが、私たちはあくまでもデベロッパーのためにベストなサービスを提供していくだけです。
関連リンク
Amazon.co.jp
[西尾泰三,ITmedia]