エンタープライズ:ケーススタディ | 2003/10/02 21:25:00 更新 |
メインフレームをIAサーバとJava、Windowsで再構築したシンキ
消費者金融のシンキは7月に、基幹システムをメインフレームから、IAサーバとWindows Server、Javaベースのシステムで再構築したことを明らかにした。導入を担当したフューチャーシステムコンサルティングに話を聞いた
消費者金融のシンキは7月に、基幹システムをメインフレームから、IA(インテルアーキテクチャ)サーバとWindows Server、Javaベースのシステムで再構築したことを明らかにした。将来的な拡張性の確保やトータルコストの削減などを目指した全社的なシステム改革となっている。業務プロセスの見直しから、シンキの経営企画室、営業企画部、フューチャーシステムコンサルティングが一体となり、トップダウンによる導入を進めたという。フューチャーシステムコンサルティングに話を聞いた。
フューチャーの高橋静代氏(右)と古市二郎氏
シンキは、7日間無利息の融資サービス「NO LOAN」で知られる。最近では、サッカードイツ代表のゴールキーパー、オリバー・カーンのCMが記憶に新しい。NO LOANは現在、事業者向けにもサービスが開始されているという。
フューチャーのビジネスアーキテクチャ&インテグレーショングループディレクターの高橋静代氏は、「安く少しずつ投資したい」と、シンキの改革要件を話す。今後のM&Aや業界事情の変化など、システム対応を迫られる動きが頻繁に起こることを想定したという。
同社には以前、事業所向けと消費者向けの2つのシステムが存在しており、運用効率がよくなかった。そこで、フューチャーは、システムを統一することで業務プロセスを統合することを提案した。開発範囲は人事を除くすべての基幹システムにおよび、従来は400万以上のCOBOLプログラムで構成されていたシステムを、新機能を加えた上で130万ステップのシステムにリプレースした。130万の内訳は、Javaが95万ステップ、PL/SQLが35万ステップとなっている。
また、ATMによる24時間365日のサービスを効率的に展開することもビジネス上の課題になる。ATMや店舗、インターネットなど、さまざまなチャネルを展開し、収益性を上げなくてはならない。そのためには、顧客の質を正しく評価する必要があり、新システムのポイントの1つになってくる。
フューチャーのビジネスアーキテクチャ&インテグレーショングループの古市二郎マネジャーは、同プロジェクトで苦労した点について、「ホストコンピュータがブラックボックスになっていた」ことを挙げる。そのため、以前の業務プロセスがシステム上で不明な場合は、ゼロベースからいわゆる「あるべき姿」を考えたという。
また、ビジネス上ユーザーの契約した「結果」が商品となるため、例外処理が多くなりがちという。システムを構築する際に、仕様変更のコントロールをどう行うかが問題になったとしている。
フューチャー独自のミドルウェアが活躍
システム開発では、フューチャーのミドルウェアと開発ツールが活躍し、開発工数の削減と処理のリアルタイム化が実現したという。従来はバッチ処理で行われていた自動仕訳や日報集計なども、オンライン処理に切り替えられた。さらに、一定時間ごとに締め処理を行っていた振込予約もリアルタイム化したことで、顧客への貸し付けリードタイムも大幅に短縮したという。
ホスト帳票も以前の1400から153へと、数を削減し、管理用帳票はすべて画面上で参照できるようになった。
主なシステム構成は次の通り。Windows 2000 Server、Oracle8i、一日200万トランザクションに対応するアプリケーションサーバ16台、8CPUのクラスタ構成で稼動するデータベースサーバ、そのほか運用監視サーバ8台が、Intel Xeonベースのサーバマシンで稼動する。さらに、フォールトトレラントサーバ専用機は、24時間365日のATMおよびWeb上でのサービスに対応している。
今後の展開について、高橋氏は、情報の正しい分析を可能にすることを挙げる。顧客の分析のリアルタイム化や与信の際の顧客審査の精度の向上なども課題になるとしている。
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[怒賀新也,ITmedia]