エンタープライズ:ニュース 2003/10/03 20:22:00 更新


SonicWALL、2種類のOSで「シンプルさ」と「多機能性」の両方をカバー

米SonicWALLは、これまで主なターゲットとしてきたSOHOや中小規模企業に加え、高度な機能を求める大規模企業も視野に入れた新製品を発表。合わせて今後のロードマップも明らかにした。

 ファイアウォール/IPSec-VPNアプライアンスを開発、提供している米SonicWALLは10月3日、これまで主なターゲットとしてきたSOHOや中小規模企業に加え、高度な機能を求める大規模企業をも視野に入れた新製品「SonicWALL PRO 4060」と「同PRO 3060」を発表した。合わせて、SSL-VPNや不正侵入検知/防御(IDS/IDP)といった機能の追加も含めた今後のロードマップも明らかにしている。

 SonicWALLはこれまで、専門の知識を持った管理者が十分にいない中小規模企業向けに、使いやすさとコストパフォーマンスを重視したファイアウォール/VPNアプライアンスとして「SonicWALL TELE3」「同 SOHO3」や「同 PRO」といった製品群を提供してきた。今回リリースされた2つの製品は、それらの上位に位置するもので、中〜大規模ネットワークをターゲットにしている。

 既存のモデルに比べると、ハードウェア性能を強化しただけでなく、VPN通信時の暗号/復号化をオフロードするハードウェアアクセラレータ(ASIC)を搭載し、パフォーマンスの向上を図った。だがそれ以上に大きな特徴は、これまで単一のイメージで提供してきた専用OS「SonicOS」を、使いやすさや簡素さを重視した「SonicOS Standard 2.0」と、より大規模で複雑なネットワークのニーズに応え得る機能重視型の「SonicOS Enhanced 2.0」の2つに分けてリリースしていることだ。

 この日発表されたSonicWALL PRO 3060と同4060のハードウェア性能は同一で、ともにLAN用ポート、WAN用ポートを1つずつ搭載するほか、構成可能な10/100BASE-Tを4ポート搭載している。しかしSonicWALL PRO 3060がデフォルトでSonicOS Standardを搭載するのに対し、SonicWALL PRO 4060はSonicOS Enhancedを初期搭載。後からのアップグレードは可能だが、これが大きな違いになっている。

 SonicOS Standardでは引き続き、使いやすさや導入、配備のしやすさを重視。一方SonicOS Enhancedでは、新しいNATエンジンを搭載し、柔軟なNAT設定を可能にしたほか、ユーザー認証とアクセス制御の機能をサポートしている。さらに、障害時のフェイルオーバーやアクティブ-アクティブの負荷分散を実現し、システムの信頼性やアベイラビリティ向上を支援する。だが同時に、セキュリティポリシーやルールの設定に「ゾーン」という概念を持ち込むことにより、設定のハードルを引き下げているという。

 このように2種類のSonicOSをリリースした理由として、米SonicWallのワールドワイド・マーケティング担当副社長のダグラス・ブロケット氏は、「SonicWallが出荷した製品の80%が、中小企業などシンプルなネットワーク環境で利用されている。そして残りの20%は、より高度な機能が求められる複雑なネットワーク環境で導入されている。SonicWallにとって、これら2つの異なるニーズを満たすことが課題だ」と述べた。

 ブロケット氏によると、こうした新しいハードウェアプラットフォームによって、今後の機能拡張も容易になるという。SonicWALLではこれから2004年にかけて、相次いで新しいセキュリティ機能を追加し、同シリーズを「単なるファイアウォール/VPNアプライアンスにとどまらない、トータルセキュリティプラットフォームとしていく」(同社日本オフィス代表の後藤聖治氏)計画だ。

 具体的には、既存のファイアウォール機能やIPSec VPN機能の強化と、クライアント管理やポリシー適用・強制機能の向上を図るほか、年末までに、無線LAN環境での侵入検知機能を追加する計画だ。これにより、ユーザーが勝手に設置した不正なアクセスポイントの存在を検出できるようになるという。さらに2004年前半には、有線ネットワーク上での不正侵入検知(IDS)機能やSSL-VPN機能をサポートする予定だ。ただ、日本以外の国では既に提供済みのウイルス対策機能となると、品質との兼ね合いから、提供はもうしばらく検討するという。

 いずれにしても、「今回の発表はまだ第一段階に過ぎず、今後どんどん機能を強化していく」(ブロケット氏)。

 なお、2つの新製品は11月4日より販売が開始される。価格は、VPN時で最大75Mbpsのスループットを実現するSonicWALL PRO 3060は67万円、190Mbpsまで可能な同4060は105万円。

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[高橋睦美,ITmedia]