エンタープライズ:ニュース 2003/10/08 15:27:00 更新


日本HP、「アダプティブ・マネージメント」を実現するOpenView製品群を発表

日本HPは都内で会見を行い、同社の「アダプティブ・エンタープライズ戦略」に基づいたHP OpenViewの新製品群を発表した。また、ビジネス・レイヤ部分も管理対象とする方針を明らかにしている。

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は10月8日、都内で会見を行い、同社の「アダプティブ・エンタープライズ戦略」に基づいた運用管理コンセプト「アダプティブ・マネージメント」の実現のため、HP OpenViewのラインアップを大幅に強化したことを発表した。

 HP OpenViewは、リソース管理、サービス管理、ビジネス・レイヤ管理の3つのフェーズで段階的に運用管理を実施でき、アダプティブ・マネージメントを実現する中核製品として位置づけられている。これまで提供していたサービス管理のソリューションを発展させ、ビジネス・レイヤ管理まで含めることで、運用管理面におけるビジネス・プロセスの最適化まで視野に入れたものになるという。

リソース管理のための製品群

 太字が新製品。そのほかはバージョンアップ

○統合ネットワーク・サービス管理

  • HP OpenView network node manager advanced edition 7.01 日本語版
  • HP OpenView network node manager starter edition 7.01 日本語版
  • HP OpenView performance insight 4.6

○IPテレフォニー管理

  • HP OpenView performance insight report pack for Cisco IP Telephony

○Windows管理

  • HP OpenView operations for Windows 7.2
  • HP OpenView smart plug-In for active directory

 「HP OpenView network node manager」はSNMPベースのIPネットワーク管理プラットフォーム。同advanced editionは、レイヤ2ネットワーク管理機能を備え、スイッチ、VLAN環境に対応しているほか、ネットワーク経路の情報とパフォーマンス管理機能も搭載している。

 同starter editionはマイナーバージョンアップ。スケーラビリティやGUIの操作性の向上が図られているほか、プラットフォームとして新たにLinuxをサポートした。

 価格は、同advanced editionが最小構成で171万円、同starter editionが94万8千円。出荷はいずれも2004年2月1日から。


 「HP OpenView performance insight 4.6」は、多種多様なネットワーク・デバイスからのパフォーマンスデータを管理し、そこから、ネットワーク性能値の傾向分析/SLA分析などのレポートを様々な形式で作成する。最新バージョンでは、GUIの操作性の向上、nnmとの密接な連携の強化などが行われている。

 価格は最小構成で466万7千円。出荷は2003年12月から。

 また、Cisco製IPテレフォニー機器を介したサービス品質の管理を行うための追加モジュールとして、「HP OpenView performance insight report pack for Cisco IP Telephony」が新たに発売される。

 価格は最小構成で188万6千円。出荷は2003年12月から。


 「HP OpenView operations for Windows 7.2」はWindowsプラットフォームから、Windows、Linux、UNIXの複数OSが混在したITインフラストラクチャを管理するためのもの。最新バージョンでは、Windows 2003 Serverのサポート、Active Directoryの管理への対応が図られている。こちらは2003年8月から発売を開始しており、価格はマネージャが350万円、エージェントが3万1千円から。

 上記製品の追加モジュールとして、今回新たに「HP OpenView smart plug-in for Active Directory」が発表された。同製品は、HP OpenView operations for WindowsによるActive Directoryの構成管理やアドミニストレーション機能を提供する。

 なお、HP OpenView smart plug-in(SPI)は、各アプリケーションに特化した、イベント/パフォーマンス/レポート情報の収集と、管理するためのテンプレートがパッケージ製品化されたもの。

 価格は最小構成で18万円。出荷は2003年10月から。

サービス管理のための製品群

 太字が新製品。そのほかはバージョンアップ

○障害と問題管理データ・レポジトリの共通化

  • HP OpenView service navigator value pack

○Webアプリケーション・トランザクション管理

  • HP OpenView internet services 5.0 日本語版
  • HP OpenView transaction analyzer 2.0

 HP OpenView service navigatorは、企業内のITインフラストラクチャを各サービスや目的別グループで管理し、障害時の影響範囲を一元的に管理する統合コンソール。「HP OpenView service navigator value pack」は、障害管理データ(HP OpenView service navigator)と、インシデント管理データ(HP OpenView service desk)を共通化したもの。

 同製品は、HP OpenView operations for UNIXの次期バージョン(2004年4月に登場予定)に無償でバンドルされる予定。


「HP OpenView internet services 5.0 日本語版」は、HTTP/SMTP/DNS/RADIUSなどのサービスに関して、レスポンス時間と稼働率をエンド・ツー・エンドで計測する。同バージョンでは、顧客独自のアプリケーションを対象とした管理を実現するカスタム・プローブの開発や、他社のアプリケーション・テスト製品のスクリプトを取り込むことが可能なほか、SOAP、Citrix、MS Exchangeなども新たにサポートしている。

 価格は最小構成で59万円。出荷は2004年2月から。

「HP OpenView transaction analyzer 2.0」は、HP OpenView internet servicesと連携し、パフォーマンス監視のほか、問題が発見されたサービスに対して、具体的にアプリケーション・サーバ上で動作しているJavaコンポーネントレベルでの問題特定が行える。同バージョンでは、COM+/RMI/JMS経由でのトランザクションなど非Webアプリケーションへのサポートが拡大されている。

 価格は最小構成で63万4千円。出荷は2004年2月から。

ビジネス・レイヤ管理のための強化ポイント

  今回のアダプティブ・マネージメントの発表に合わせ、同社が今後より重要になってくると考えているビジネス・レイヤ管理の部分については、以下の3項目を強化していくという。

1) Webサービスを基盤とした、ビジネス・プロセスの統合管理を実現

  • HP OpenView business impact analysis

 ビジネス・プロセスとITインフラストラクチャの運用データとを密接に関連づけ、IT障害時に影響を受ける業務フローとコストおよび利用者の特定と分析、ならびに予測を行う。同機能はベータ版として、ISVパートナなどに提供を開始しており、2004年に製品化の予定。

  • HP OpenView web service management engine

 HP OpenViewの運用管理機能を、Webサービスの領域まで拡大するもの。J2EEおよび.NETプラットフォーム上の稼働中のWebサービスをアクティブに管理できる。また、アカウントやアカウント属性の設定・変更・削除などの管理を自動化するプロビジョニングや認証など、Webサービスの制御も実現するとしている。製品化は2004年の予定。

 その他の取り組みとして、Webサービス環境におけるリソースの運用管理、およびWebサービス技術を利用した運用管理の論理的アーキテクチャと仕様である「Web Services Management Frameworkバージョン 2.0」の仕様を公開し、標準化団体「OASIS」に提案したことなどがあげられるという。

2)仮想化インフラストラクチャの運用管理機能の提供

 システム全体の仮想化が可能な「HP Utility Data Center(UDC)」に対して、HP OpenViewによる統合的な管理体制を提供することを目標としている。

UDCはハードとソフトを集約してすべてのストレージ、サーバ、ソフト機能を統合し、このリソースを事業の状況に応じて迅速に変化させるシステム。UDCの問題管理はHP OpenView service deskで、障害管理はHP OpenView operationsで管理が行えるように標準インターフェースを提供するとしている。

3)従量課金を実現する管理製品の提供

 ITの使用量に応じた従量課金を可能にする製品として「HP OpenView internet usage manager lite」を2003年11月から発売する。

 同製品は、IPベースでネットワーク、サーバ、ストレージやサービスなどの使用量を管理し、サービスや使用量単位の部門別課金を可能にするメディエーション(通信情報収集解析)ソフトウェア。

 最小構成時の価格は、ストレージ用が340万円、サーバ用が510万円、ネットワーク用が595万円。

関連リンク
▼日本ヒューレット・パッカード

[ITmedia]