エンタープライズ:ニュース | 2003/10/09 05:01:00 更新 |
「企業ストレージ戦略のゴールはASAMにある」とガートナー
ストレージの単価が下落し、データ容量が増加の一途をたどっている現在、企業が取るべき戦略は、ストレージ統合とその効率的な管理にあるという。
「ストレージの大容量化といった変化を背景に、ユーザーは、どのようにアプリケーションを動かすかを前提とした“守りのストレージ戦略”から、大量のデータをどう活用するかという“攻めのストレージ戦略”への移行のさなかにある」――ガートナージャパンのプリンシパル・アナリスト、鈴木雅喜氏は、VERITAS VISION 2003 JAPANのセッションの中でこのように語った。
同氏が指摘するとおり、いまや企業を取り巻くデータの容量は増加の一途をたどっている。その環境の中で情報を有効に活用するには、ストレージの統合とその効率的な管理が不可欠な戦略だ。
その具体的な姿として鈴木氏が示すのが、RTI(RealTime Infrastructure)であり、ASAM(Automated Storage Area Management)だ。これは、ベリタスソフトウェアの言うユーティリティコンピューティングに通じるところのあるコンセプト。入力されたビジネス上のポリシーに基づいて、動的にプロビジョニングや最適化を行い、必要なサービスを提供するというモデルである。
鈴木氏は、企業のストレージ導入戦略のゴールには、RTIがありASAMがあると述べた。ただ、これが現実のものになるには、まだしばらく時間がかかりそうだ。
同氏によると、ストレージがサーバの周辺機器であった1980年代からDAS、ネットワークストレージを経て、ストレージ管理の自動化は進みつつある。そして今後、2006年以降になってようやく「アクティブな管理や自己修復機能を通じ、高度なポリシーを設定するだけで、あとは自動的にプロビジョニングが行われるような世界が、徐々にだがやってくるだろう」という。
ただ、ASAMの実現に必要なSAN管理やストレージリソース管理、仮想化やプロビジョニングといった技術は、まだまだ成熟・安定からは遠いステップにある。したがって、これらの要素が連携してはじめて現実のものになるというASAMは「まだまだ黎明期」(鈴木氏)。長い目で見ていく必要がありそうだ。
鈴木氏は一方で、2005〜2006年ごろまでのストレージ市場の動向にも触れ、特に2つの方向性を指摘した。
1つは、SANおよびNAS市場の成長だ。特にNASについては、ファイルサーバ全体から見ればまだまだ市場は小さく、今後の成長の可能性は大きいという。また、「SANとNASの統合が進み、これまでよりも幅広いユーザーがSANやNASの導入を考えるようになるだろう」という。
もう1つ鈴木氏が指摘したのは、IP-SAN、具体的にはiSCSIの成長である。今のところはファイバチャネル(FC)ベースのSANが市場の大半を占めているが、iSCSIは2004年ごろから急速に成長を見せると予測。FC-SANがカバーしてきたハイエンドの顧客に対し、IP-SANはローエンドの顧客の裾野を広げ、SAN市場自体の成長をもたらすと述べている。その上で、「既存のサーバに導入するのにほとんどお金がかからず、中小規模の企業にもSANをもたらすという意味で非常に重要。IP-SANはFC-SANを補完するとともに、それと競合し、それ以上に伸びていくだろう」という。
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ベリタスソフトウェア
ガートナー ジャパン
[ITmedia]