エンタープライズ:ニュース | 2003/10/14 12:49:00 更新 |
MicrosoftとVodafone、PCと携帯のサービスを共有化
MicrosoftとVodafoneは、携帯電話とPCのサービスをブリッジするための技術を共同開発すると発表した。(IDG)
MicrosoftとVodafone Groupは10月13日、携帯ネットワーク向けサービスとPC向けアプリケーションのギャップを埋めるブリッジを提供することで提携したと発表した。
両社首脳は、ユーザーの場所、ID認証、サービス支払いの受領、テキストメッセージの送信といった携帯キャリアのサービスをPCアプリケーションに組み込むことが可能となる技術を共同開発すると述べた。
例えば、レッカー会社は携帯ネットワークと接続できるPCアプリケーションを開発し、顧客の車が故障して携帯電話から助けを求めると、その車の場所をすばやく確認するといったことが可能になる。PCからキャリアを通してテキストメッセージを車の持ち主の携帯電話に送り、レッカー車を手配したことを知らせることができるようになるという。
別の例もある。オンラインゲーム会社はサーバを携帯キャリアの課金システムにリンクさせ、ゲームをプレイするたびに小額の支払いを受けとることが可能になる。そのゲーム会社は自社で「マイクロペイメント」のシステムを開発する必要がなくなり、Vodafoneは支払いの一部を受け取ることになる。
Microsoftの会長兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクトであるビル・ゲイツ氏はVodafoneの幹部とともに、スイスのジュネーブで10月13日から開催されているInternational Telecommunications Union (ITU) の基調講演でこの発表を行った。
デベロッパーは既存のウェブサービス技術であるXML (Extensible Markup Language) などを使って携帯とコンピュータの世界をリンクさせてきた。しかし、GSMネットワークの認証システムをウェブサービスのセキュリティプロトコルを通じてPCアプリケーションとデータ交換するといった新しい仕様を決める必要があると、Microsoftのプラットフォーム戦略グループのジェネラルマネジャーであるチャールズ・フィッツジェラルド氏は述べた。
「アプリケーションでユーザーのIDを認証する必要がある場合は、正しく振る舞うXMLに見えるよう、記述しなければならない」と同氏。
両社は今月ロサンジェルスで開催されるMicrosoft Professional Developers Conferenceでモバイルウェブサービスのロードマップを公開する予定だ。この計画は最終的には標準化団体に提出され、他の業界でも利用可能になる予定だ。モバイルサービスを利用したアプリケーションの登場は来年になる、とフィッツジェラルド氏は述べた。
この取り組みには賛同するが、成功の可否は業界からの広範囲な支持を得られるかどうかにかかっていると、あるアナリストは指摘する。大手ソフトウェアメーカーのIBM、Orange、T-Mobileなどの携帯キャリアは「話し合いの席に着いていない」とForrester Researchの首席アナリスト、テッド・シャドラー氏。
MicrosoftとVodafoneの両社は先行して仕様を策定することで、多くのベンダーが共同で標準化作業に当たるよりもすばやく進めたいと考えているのだろう、と同氏は付け加えた。
IBMの広報担当者は、IBMはこの取り組みを基本的に支持すると述べたが、MicrosoftとVodafoneがOpen Mobile Allianceなどの業界コンソシアムを通じて作業する道を選ばなかった点を批判した。IBMは、この仕様がMicrosoftのソフトウェアとツールのデベロッパーに偏向したものにならないよう目を光らせると、IBMのパーベイシブコンピューティング事業部のジョン・プライアル副社長は述べた。
MicrosoftとVodafoneの首脳によれば、この仕様は特定ベンダーに依存するものではないという。
「われわれの目的は、他の携帯キャリアとソフトウェアベンダーが参加し、標準を作り上げることだ」とVodafoneのグループ戦略関係ディレクターであるイアン・マックスウェル氏は語った。「われわれは協力して新しい産業を作り出したいのだ」と同氏。
Microsoftはアプリケーション開発のためのソフトウェアおよびツールの売り上げ増につながることを期待しており、キャリア側もサービスを販売する新しい市場が開けるメリットがあるとしている。
「携帯電話ユーザーだけではなく、以前は不可能だったPCユーザーも含めた広範囲な顧客にリーチできるので、これはすばらしいことだ」とマックスウェル氏は語った。
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