エンタープライズ:ケーススタディ 2003/10/15 16:39:00 更新


企業の売り上げアップはオフィス改革から

企業のオフィス改革が営業力を高め、売り上げをアップする源になる可能性がある。メッセージングの統合で業務効率を高めた企業の事例を紹介する。

 「売れない時代に売る方法」といった議論は多い。顧客満足を高めるのが第一である、いいものを安く売ることが基本だ、ではCRMを導入しようなどなど、出てくるアイデアを見れば、企業の業務プロセスが売るという目標に紐づいていることが分かる。

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ユニファイドメッセージング導入により座席のフリーアドレス制を導入したTGアイネットのオフィス

 ビジネスプロセスの向上は企業が常に取り組むべき課題だが、その前に、「売る人々」が力を発揮できるオフィス環境が整っているかを考えたい。それにより、企業努力の効果を最大化できる。たとえCRMシステムで効果的なデータを抽出しても、営業担当者と顧客のコミュニケーションがスムーズにいかない仕組みのまま放置していたら、効果は半減する。一方で、売り上げアップと同時に、コストをいかに削減するかにも意識を払う必要がある。

 営業力を最大限に発揮できるのはどんなオフィスなのか。最新の技術を導入している企業を取材した。

メッセージング統合には数々の効果が

 東京ガスの100%子会社である新宿のティージー情報ネットワーク(TGアイネット)は、オフィス改革を図るために全社的にユニファイド・メッセージング環境を整備した。同社は、東京ガス向けのシステム開発や運用のほか、外部の企業向けにシステム導入などのサービスを手がけている。

 同社のビジネスでは親会社の東京ガスを含め、入札案件がほとんど。徹底したコストダウンと価格競争力の強化が求められており、「ワークスタイルの変革」をキーワードに、ユニファイドメッセージングの導入に踏み切った。導入支援をソフトバンク・テクノロジーが担当したという。

 同社は、ユニファイドメッセージングを、「FAXや音声通話、電子メールなどのメッセージング手段をIPで統合し、インターネットを介してあらゆるデバイスから利用する」と定義している。電子メールをExchange 2000 Serverで管理していた同社は、Cisco Systemsの「UNITY」を導入してボイスメールと電子メールを統合、さらに、Fanestraeの「Faxination」を導入することで、FAXと電子メールを統合した。電話も、Cisco Softphoneを使うことで1人に1つの番号を取得し、ノートPCから使えるようにした。

 これにより、ボイスメール、FAX、電子メールのいずれもExchange Serverで一元管理し、すべてのメッセージにOutlookからアクセスできる環境を整備した。

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社員はSoft Phoneを利用することで、ノートPCにUSB接続の受話器をつないで電話をする。

座席のフリーアドレス制で生産性向上

 ユニファイドメッセージングの導入により同社は、一部を除き、固定座席を廃止し、フリーアドレス制を導入した。メッセージングがIPで統合されていることで可能になる。座席はプロジェクトごとに形成されるようになり、同じ問題に取り組む人が顔を合わせて仕事をすることで、解決のスピードアップが図れたという。

 同社の基盤ソリューション部の権田浩教部長は、「どこでも仕事ができる環境を構築することで営業担当者の外出を促し、顧客との対面時間を増やしたかった」と話している。

 また、ペーパーレス化も進めた。社内会議での紙資料配布を禁止して紙情報をぐっと減らし、保管スペースを削減した。紙データは設置してある個人ロッカーでしか扱えないため、オフィスには残らず、後で触れる賃料圧縮にもつながった。さらに、情報を迅速に取り出すためのポータル環境、WindowsMessengerと予定表による在席確認などにより、リアルタイム性と低コスト性を追求している。

オフィス賃料コストの大幅減

 フリーアドレス制のもう一方の効果は、固定座席をなくしたことによる1人あたりのオフィス占有面積の縮小、それに伴うオフィス賃料の削減だ。

 「フリーアドレス導入の投資金額は、効果が賃料の節減分だけでも1年で回収できることが分かった。」(権田氏)

 分析により、330名いた同社新宿オフィスには、フリーアドレス制導入により450名を収容できることが判明した。そのため、同社は、新宿の第2ビルと幕張にあるオフィスを統合する方向で動き始めた。フロア面積で36%、賃料は30%の削減。また、フリーアドレスにより、プロジェクトの変更などに伴い、席の移動をはじめとした各種作業が減り、95%のコスト削減が実現したという。

電話の取次ぎ、FAX送信の手間は高い?

 さらに、同社は興味深いデータを用意している。電話の取次ぎや伝言の手間、FAXの送受信の手間、郵便物配布の手間などをシミュレーションし、コスト効果を金銭的に割り出している。例えば、SoftPhoneの導入で1人に1つの内線番号が与えられたことにより、電話の取次ぎ作業は減ったという。導入前は1日80回あったのが、20回に減ったという。

 取次ぎによる業務中断、思考の中断、伝達ミスなどを考慮し、減った60回を金銭で勘定する。そうすると、時間単価4000円の従業員1人だけでも年480万円のコスト削減効果があるとしている。

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「今回のオフィス改革の経験を自社のサービスとして展開する」と話す権田氏(左)。

関連リンク
▼ティージー情報システム
▼ソフトバンク・テクノロジー

[怒賀新也,ITmedia]



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