エンタープライズ:ニュース 2003/10/16 17:06:00 更新


米Juniper、キャリアをまたいでのサービスを実現する「インフラネット」構想を発表

Juniper Networksによれば今のインターネットは複雑すぎ、サービスに必要なセキュリティや信頼性を十分に実現できていない。それを解決するというのが同社の新構想「インフラネット」だ。

 「現在のインターネットには大きな問題がある。複雑すぎることだ。われわれは、パブリックなインターネットとプライベートなイントラネットの利点を組み合わせ、あらゆるコミュニケーションに向けた全世界的な単一のインフラを提供する。それが“インフラネット構想”だ」――米Juniper Networksの創設者でありCTO(最高技術責任者)を務めるパラディープ・シンドゥ氏は、Telecom World 2003の会場で行われた記者会見の席で、このように述べた。

 Juniperは10月15日、複数のキャリアにまたがって、さまざまなアプリケーションやサービスに十分な品質を提供できるようにすることを目的に、インフラネットという新しい構想を発表した。

 シンドゥ氏は、現在のインターネットにはセキュリティと信頼性、品質という3つの大事な要素が欠けているという。既にさまざまな母体によって問題解決に向けた取り組みがなされているが、いずれの仕組みや標準も部分的なものであり、包括的なものではない。インフラネット構想はそれを補うものという。

シンドゥCEO

既存の取り組みは、ATMや固定回線、MPLSなど、個別の分野ごとに解決を求めようとするものであり、「インフラネット」はそれを補完する取り組みだと述べたシンドゥCEO

 「インフラネット構想は、ユーザーがサービスを要求し、ネットワーク側がそのリクエストを処理するための単一の方法を実現するもの」(シンドゥ氏)。既に実装が進んでいるMPLSベースのIP-VPN網どうしをつなぎ、キャリアをまたいでサービス品質を保証する。また、どの相手とどのような形で接続するかを、ユーザーが自由に選択できるようにするという。

 この目的に向けて、既にある程度の保証がなされているキャリア内の通信だけでなく、キャリア間で品質やセキュリティを保証するためのインタフェース、ICI(Inter Carrier Interface)を策定。さらに、多様なユーザーにエンドツーエンドのサービスを保証することを目的に、UNI(User Network Interface)も規定する。これらが協調して動作することによって、ユーザーやアプリケーションが求める品質やセキュリティ要求に則ったサービスを、真にエンドツーエンドの形で提供できるという。

 シンドゥ氏によれば、一連の取り組みは「完全にオープンなものだ。(競合の)Cisco Systemsも含め、広く業界からの理解を求めていく。またネットワーク事業者との話し合いも進めていく」という。既に米Lucent Technologiesがこの構想への賛意を示しているという。

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▼ITU Telecom World 2003レポート

関連リンク
▼ITU Telecom World 2003
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[高橋睦美,ITmedia]