エンタープライズ:ニュース 2003/10/16 18:15:00 更新


モバイルコンバージェンスを目指すKDDI

KDDIの小野寺正社長は、ジュネーブで開催中のTelecom World 2003において、携帯電話と無線LANの世界の融合に向けた取り組みを明らかにした。

 KDDIの代表取締役社長、小野寺正氏は10月15日、ジュネーブで開催中のTelecom World 2003で行った講演の中で、無線LANと携帯電話の世界は補完し合うとの見方を披露。その実現に向けて、無線LANサービスと携帯電話による接続とをスムーズに切り替えられるようにするソフトウェアを提供する意向を明らかにした。

 KDDIでは以前より、「いつでも、どこにいようと、あらゆる情報にアクセスできるようにする」(小野寺氏)というユビキタスコンピューティングを、戦略的な目標の1つとして掲げてきた。だがその実現には、「携帯電話であろうと固定回線であろうと、あるいは無線LANであろうと、どんなデバイスからでもアクセスできなければならない。つまり、モバイルコンバージェンスが必要だ」(同氏)。

 それに向けてまずは、2Gからのスムーズな移行に留意しながら、既に展開している3Gサービス、CDMA2000 1xの付加価値サービスを強化。最大2.4Mbpsでのデータ通信を可能にするというCDMA2000 1xEV-DOを秋から展開するほか、GPSによる位置情報を組み合わせたサービスやBREWの強化、さらには著作権の保護を目的にDRMといった分野に取り組んでいく。

 一方無線LANについては、「携帯と共存し、互いにコラボレーションすることによってメリットを得られると考えている」(小野寺氏)。cdmaOneなど既存の携帯電話サービスにオーバーレイするような形で、無線LANあるいはFWA(固定無線アクセス)、ブロードバンドアクセスを組み合わせていくという青写真を描いているという。

 小野寺氏は、「これらの組み合わせにより、最小限のコストで高速なネットワーク接続を享受できるようになる」と述べた。既存の3G用のインフラ・資産を生かしながらインフラの構築を進め、4G、あるいはその前段階となる「プレ4G」の段階での実現を見込んでいるという。

 こうして携帯電話と無線LAN、ブロードバンドアクセスとが融合すれば、「ユーザーはどのような環境にいてもアクセスできるようになる」(小野寺氏)。同時に、サービス提供側にも、ユーザープロファイルを一元的に管理することにより、いっそう多様で適切なコンテンツを提供できるというメリットが生じるという。

 KDDIではモバイルコンバージェンス実現に向けた第一歩として、PC上で無線LANと携帯電話による接続とを切り替えながら利用できるソフトウェアを、この秋のうちに無償で提供する計画だと小野寺氏は述べた。このソフトウェアを利用すれば、無線LANが利用できるエリアでは無線LANを利用し、電波がうまく届かない場所になれば携帯電話経由の接続に切り替え、シームレスに接続し続けることができるという。

 同氏はさらに次の段階として、車載機器でのコンバージェンスにも取り組む方針を明らかにした。サービス提供状況や環境に応じて3GやPHS、無線LANなど接続方式を切り替え、常にシームレスなコネクションを提供できるようにしていくという。

 「われわれはこうした取り組みを通じて、真のユビキタス社会を目指していく」(小野寺氏)。

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[高橋睦美,ITmedia]