エンタープライズ:ニュース 2003/10/28 14:39:00 更新


ダイナミックルーティングネットワークを可視化する管理ツール、東陽テクニカが販売

東陽テクニカは、ダイナミックルーティングネットワークを可視化するルーティング管理アプライアンス「Route Explorer」の販売を開始した。

 東陽テクニカは10月27日、ダイナミックルーティングによるIPネットワークを可視化するルーティング管理アプライアンス「Route Explorer」の販売を開始した。同製品は、米Packet Design Incがフラッグシップ製品として開発。来日しているPacket Design Incのダグ・ブレントCEOは「これまでのネットワークの管理手法を変えるものだ」と説明した。Packet Design Incは2003年にCisco systemsの元CTO、ジュディ・エストリン氏などが設立した米Packet Design, LLCからスピンアウトしている若い企業だ。

ダグ・ブレント氏

Packet Design Incのタグ・ブレントCEO


 Route Explorerは、ダイナミックルーティングで構成されるルーティング経路をエンド to エンドで可視化。ルータ同士がやり取りするルーティングプロコルをリスニングすることで、“IPクラウド(雲)”に包まれ分からなかった動的ルーティング経路を、トポロジー上にビジュアル表示する。リアルタイムにビジュアル化できるトポロジーマップからはルータのイベントなどの詳細もドリルダウンできるほか、IPネットワークの状態を時系列にレポートする機能、ルートが変更された際のアラート機能、ルーティングシミュレーション機能なども備える。

 「これまでIPクラウドの中の経路がどうなっているか、見られるツールがなかった。Route Explorerは、ルータのルーティング変更をアナウンスするたびに障害をレポートする」とブレントCEO。

画面写真

ダイナミックに変わるルーティング経路をビジュアル表示する


 同氏は、Route Explorerを既存のネットワーク管理ツールを補完する製品と位置付けている。SNMPによる管理ツールでは特定できない障害も検知できるためだ。「SNMPのポーリングに頼る既存のネットワーク管理ツールは一日に何回かしかポーリングを行わないのに対し、Route Explorerはリアルタイムで状態を把握する」(ブレントCEO)。そのため間欠的な障害も検知でき、時系列的な記録を使ってプロアクティブな対策を可能にする。

 ブレントCEOによると、国際規模で展開するあるメーカーではヨーロッパと北米のバックボーンネットワークをリダンダント構成で設置していたにもかかわらず、コネクションがすべて失われるケースがあった。BGPピアの1つを設定ミスによりルート交換が行われていなかったのだが、SNMPモニタリングはこの時、ネットワークは完全に動作していることを示し、障害の原因を特定できなかったという。Route Explorerはレイヤ3の状態を監視するため、このような障害を検出できる、と胸を張る。

 同製品が対応するルーティングプロトコルは、AS(自律システム)内部で用いられるIGP(Interior Gateway Protocol)としてOSPFおよびIS-IS。EGP(Exterior Gateway Protocol)としてはBGPをサポートする。異なるルーティングプロトコルでつながる複数サイトのネットワークを統合的に表示することも可能だ。

 また、Route Explorer上で実ネットワークも用いたルートメトリックを変更やリンクダウンのシミュレーションを行えるプランニング機能も搭載する。

 Route Explorerを販売する東陽テクニカでは、「QoSを提供しているサービスプロバイダーや、ネットワーク変更の事前テストツールとして」利用を見込む。

 20ルータまで規模を対象とした「Campus Edition、シングルサイトの50ルータまでに対応した「Enterprise Edition、BGPに対応したサービスプロバイダー向けの「Internet Edition」の3製品が提供され、価格はCampus Editionが250万円、Enterprise Editionが462万円、Internet Editionが660万円。

 2004年末には、日本でのニーズが高いIPv6にも対応する予定だ。

関連リンク
▼東陽テクニカ
▼Packet Design Inc

[堀 哲也,ITmedia]