エンタープライズ:ニュース 2003/10/31 01:38:00 更新


基調講演:非効率な現行のストレージ運用にメスを入れるStorageTek

米StorageTekのカンファレンス「FORUM 2003」の冒頭を飾る基調講演に、同社CEOのパット・マーティン氏が登場。情報ライフサイクル管理の実現に向け、4つの分野にフォーカスする方針を示した。

 10月29日よりカリフォルニア州・サンディエゴで開催されている米Storage Technology(StorageTek)のカンファレンス「FORUM 2003」の冒頭を飾る基調講演に、同社CEO(最高経営責任者)のパット・マーティン氏が登場。いまや業界の流行語の観を示している「情報ライフサイクル管理(Information Lifecycle Management:ILM)」を実現するための具体的な方策について語った。

 「昨年われわれがILMというコンセプトを打ち出したところ、Hewlett-Packardをはじめとする他のベンダーは、その後のイベントで披露するプレゼンテーションの内容を変えてしまった。いまやストレージ業界のあらゆる企業が、ILMについて語るようになっている」(マーティン氏)。情報が生成されてからアーカイブ・廃棄されるまでの各ステージに応じて、最も適切なストレージデバイスを利用してTCOを削減する、マーティン氏に言わせれば「情報を適切なタイミングで、適切な場所に保管する」ILMという考え方が、業界に広く受け入れられているとした。

マーティンCEO

ILMの浸透ぶりに触れたマーティンCEO

 ただ、マーティン氏も言うように、コンセプト以上に大事なのはこれを現実のものにすることだ。StorageTekではそのためのソリューションとして、ATAディスクドライブを採用して高速性とコストを両立させた「BladeStore」やバックアップウィンドウ/リカバリ時間の短縮を実現する「EchoView」、さらには電子メールに特化したソリューションなどを展開してきた。こうした一連の製品によって、「TCOを削減するだけでなく、ストレージ管理の主導権を皆さん自身の手に戻していく」とマーティン氏は言う。

 無論、テクノロジ要素の提供だけに終わるのはなく、サービスやサポートの充実を通じて顧客を支援。さらに業界の他のリーダー企業との連携もいっそう強化していくという。

今のストレージ運用はあまりに「非効率」

 マーティン氏によると、未だにストレージリソースは非効率な形でしか運用されていない。「データセンターに保存されている全データのうち90%は、二度とアクセスされることはない。そして80%は複製されたデータだ」(同氏)。これに対しStorageTekでは、ILMというコンセプトに基づく製品群を通じて、データ運用の効率を引き上げ、ひいては生産性の向上を支援していくという。

 同氏は、今のデータ運用のあり方を4つの分野に分け、それぞれに解決策を提供していくと述べた。

 1つは、情報管理全般の複雑さだ。これも今ではほぼ業界に共通する認識だが、「現在、ストレージ管理のための予算は削減される一方で、管理しなければならないリソースや情報の量は増えている」(マーティン氏)。同社ではストレージシステムの設計・導入を支援するグローバルサービスやストレージリソース管理ツールを通じてこの部分をカバーしていく。

 2つめの問題点は、データがまず最初に蓄積される「プライマリストレージ」の稼働率が低く、先に示したデータが示すとおり運用があまりに非効率なことだ。StorageTekでは、高いパフォーマンスも要求されるこの分野に対し、スナップショット技術を組み入れたEcnoViewのほか、BladeStore、あるいは新製品の「MirrorStore」、仮想化を実現する「V2X」といった製品を提供し、あまりに多すぎる「ミラーを打ち砕く」(同氏)という。

 3つめは、データ保護の分野である。マーティン氏は、医療、金融といった業界を筆頭に各種規制への準拠が求められていることから、この分野に対するニーズは高まっていると指摘。EchoView、それにテープソリューション「VSM」の最新版「VSM4」によって、バックアップやリカバリに要する時間を短縮させるという。

 最後はアーカイブだ。これもやはり規制準拠の観点から、あるいはディザスタリカバリという観点からニーズが高まり、より多くの容量が求められるようになっている。これもVSM4をはじめとする各種テープ製品群によってカバーしていくという。

 マーティン氏はまた、新しいコンセプトに基づいた新型テープライブラリのリリースをはじめ、引き続き新たな製品・技術の開発に注力していくと明言。一連の取り組みを通じて、「複雑すぎるストレージ管理、非効率的なディスクサブシステムやアーカイブシステムの運用といった問題の解決を支援していく」(同氏)と述べ、講演を締めくくっている。

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▼StorageTek FORUM 2003 レポート
▼FORUM 2002 Denver Special Report

関連リンク
▼日本ストレージ・テクノロジー

[高橋睦美,ITmedia]