エンタープライズ:ニュース 2003/10/31 01:42:00 更新


StorageTek、テープライブラリ製品のフラグシップモデル「SL8500」を披露

米StorageTekはFORUM 2003に合わせ、3年をかけて開発を進めてきたテープライブラリのフラグシップ製品「StreamLine SL8500 Modular Library System」を発表した。

 米Storage Technology(StorageTek)は、10月29日より行われている年次カンファレンス「FORUM 2003」の会場で、同社テープライブラリのフラグシップ製品となる「StreamLine SL8500 Modular Library System(SL8500)」を発表した。

発表前

発表の演出は凝っていた。水のカーテンの奥にSL8500が置かれていて……

発表

照明が一転、マーティンCEOが登場してSL8500を紹介

 SL8500は、少なくとも1500巻のカートリッジが収容可能な超大型テープライブラリ。縦方向へのフレーム(きょう体)の追加が可能なほか、パススルーポートを利用して横方向にライブラリどうしを連結することにより、最大20万巻まで拡張可能という。同社が得意としてきたメインフレームだけでなく、いわゆるオープンシステムでも利用できる。また同社のT9840/T9940シリーズだけでなく、LTO Ultrium2やSDLT 600といった他のテープメディアも収納できる。

 従来の製品ラインナップの中では最もハイエンドに位置付けられてきたメインフレーム向けテープライブラリ「PowderHorn 9310」に比べると、まずきょう体デザインが一新されている点が目立つ。PowderHornの円形に対し、SL8500は四角いきょう体。その内部にU字型のレールを4段構成で配置し、そこを複数のローディング用ロボットが行き来することにより、高い密度でのカートリッジ収納を可能にした。テープのローディングに要する時間も短縮されており、1時間当たり1000以上のマウントと、PowderHornに比べ2倍以上に高速化されている。

内部

SL8500の右側を覗いたところ。U字型のレールに沿って「これでもか」という具合にカートリッジが収納されている

 StorageTekのCEOを務めるパット・マーティン氏が、「まったく新しいコンセプトの製品」というSL8500は、開発に3年あまりの期間を費やしたという。その際重視したのは、アベイラビリティと信頼性だ。「予期せぬ障害はもちろん、通常のメンテナンス作業のように予定されたものも含めてダウンタイムをゼロにし、24時間365日の稼動を実現することが目標」だったと言う。

 実際、アベイラビリティを可能な限り高めるため、電源モジュールをはじめ主要な部品はすべて二重化され、ホットスワップが可能。収納されるテープドライブの追加・入れ替えはもちろん、ロボットやスロットの追加も、システムを稼動させたまま運用に影響を与えることなく行えるという。また物理的な障害に備え、電圧のサージに備えた機構や火災報知器のような機能も組み込まれている。

裏側

こちらはSL8500の裏側。テープドライブが格納されているほか、左側にはファイバチャネルスイッチも

 StorageTekではSL8500によって、あちこちに分散している既存のテープライブラリの統合を支援するという。これに仮想化技術を組み合わせ、ドライブの共有を実現することにより、メインフレームからUNIX、Windows、あるいはLinuxといったさまざまなプラットフォームから透過的にライブラリを利用できるようになる。

 同社は今後、バックアップ作業の簡素化や効率化を目的に、SL8500とディスクシステムとの統合に取り組むほか、ポリシーベースのバックアップ管理機能を追加していく計画だ。

 SL8500は2004年第1四半期に出荷される計画だ。価格は構成によりけりで、大まかな価格は来週以降、同社および販売パートナーを通じて提示される見込みという。

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[高橋睦美,ITmedia]