エンタープライズ:ニュース 2003/10/31 01:44:00 更新


SL8500だけじゃない、FORUMで明らかになったStorageTekの新製品

米StorageTekFORUM 2003の展示会場で、テープライブラリのフラグシップ製品「SL8500」のほか「MirrorStore」「T9840C」といった新製品群を紹介している。

 米Storage Technology(StorageTek)は、10月29日から開催されている「FORUM 2003」の展示会場で、テープライブラリのフラグシップ製品「SL8500」を含む複数の新製品を紹介している。

 データ保護やディザスタリカバリといった用途を対象にした、レプリケーションアプライアンス製品の「MirrorStore」もその1つだ。MirrorStoreは名称のとおり、2つのストレージシステム(SAN)の間に導入され、データのミラーリングや複製を行う製品。2Uサイズのきょう体に6ポートのファイバチャネル、2ポートのギガビットイーサネットを備えている。

 この製品では、ローカルだけでなくリモートサイトとの間でも複製が可能だ。このときにはブロックレベルで差分だけを複製し、帯域と時間を節約できるという。また同期、非同期どちらのミラーリングもサポートするほか、特定の時点でデータのスナップショットを取り、ボリュームレベルでロールバックを行うことも可能という。

MirrorStore

会場に置かれたBladeStoreと組み合わせてのデモンストレーションが行われたMirrorStore(真ん中)

 サイト間を結ぶデータリンクにはファイバチャネル(WAN)だけでなく、IPネットワーク(iSCSI)も利用できる。また経路は冗長化され、万一の障害時にも(障害時だからこそ)リストアを行える仕組みだ。「ハイアベイラビリティの実現はもちろん、テスト環境などにも利用できる」と担当者は説明している。

 これだけならば既存の他の製品でも可能なことだが、柔軟な構成が可能であり、ATAディスクを利用した廉価なディスクサブシステム「BladeStore」と組み合わせることによって、高いコスト効果を得られる点が特徴だ。例えばプライマリディスクには同社のディスクサブシステム「Dシリーズ」を、そしてレプリケーション用にリモートサイトにBladeStoreを配置し、その間をMirrorStoreでつなぐといった構成を取ることにより、低コストでしかもパフォーマンスに優れたディスク-ディスクバックアップシステムが実現できるという。また、セカンダリのストレージシステムにテープによるアーカイブを組み合わせれば、まさに同社のいう情報ライフサイクル管理に沿ったデータ保護が実現できる。

 バックアップやリカバリに要する時間の短縮という意味では、StoregeTekは他にも製品を提供している。昨年のFORUMにも登場した「EchoView」がそれで、独自のジャーナリング技術を織り込むことによって、バックアップ・ウィンドウの短縮を図るアプライアンス製品だ。このEchoViewを利用しても、データを保護し、ディスク-ディスク-テープというILMに沿ったストレージシステムを実現できる。

 これら2つの製品の違いについてStorageTekでは、EchoViewがトランザクションレベルのきめ細かいロールバックを可能にするのに対し、MirrorStoreは主にSAN環境を想定し、プライマリストレージのデータ保護を念頭に置いた製品になると説明している。また逆にMirrorStoreでは、ウイルス感染などが発生した場合には、ミラーリングされたデータもまた被害を受けてしまうことになる。こうしたときには、ある特定の日時にさかのぼってデータをリストアできるEchoViewが有効になる。

 MirrorStoreは北米では、既に出荷可能な状態という。ただし日本でのリリースとなると、詳細はまだ未定ということだ。

容量が2倍の「T9840C」ドライブも登場

 メインフレーム向けのテープドライブにも新製品が登場した。ESCONインタフェースを備えた「T9840C」ドライブで、T9840シリーズの最上位機種となる。

T9840C

容量を2倍に強化したT9840Cドライブ

 既存製品のT9840Bの転送速度(非圧縮時)が19MB/秒であるのに対し、T9804Cは30MB/秒を実現。データ容量も拡大しており、T9840Bの2倍に当たる40GBを実現した。また、規制に準じたデータの長期保存を想定して、同社独自のWORM(Write Once Read Many)技術、VolSafeをサポートしている。

 また当初の対応インタフェースはESCONだが、2004年前半をめどにFICONインタフェースを備えたT9840Cドライブをリリースする計画という。

関連記事
▼StorageTek FORUM 2003 レポート

関連リンク
▼日本ストレージ・テクノロジー

[高橋睦美,ITmedia]