エンタープライズ:ニュース 2003/11/01 00:36:00 更新


「もはや企業はシステムダウンを許容してくれない」とStorageTekのフランシス氏

米StorageTekの副社長兼オートメーテッド・テープ・ソリューション担当ゼネラル・マネジャー、ゲーリー・フランシス氏が、新型テープライブラリ開発の意図を語った。

 「今回発表した新製品は、これから先10〜15年間のテープオートメーションの基盤になるだろう」――米Storage Technology(StorageTek)の副社長兼オートメーテッド・テープ・ソリューション担当ゼネラル・マネジャーを務めるゲーリー・フランシス氏は、年次カンファレンスのFORUM 2003に合わせて発表した新型テープライブラリ「SL8500」についてこのように語った。

 SL8500は、カートリッジのローディングを行う複数のロボットがU字型のレールの上を動き回るという新しいアーキテクチャを採用した超大型テープライブラリ。徹底して高いアベイラビリティを追及し、システムの稼動を維持しながら入れ替え・拡張が可能な点が特徴だ。

 この製品を開発した背景を、フランシス氏は次のように語っている。「われわれは1980年代から顧客の要望に応えテープソリューションを提供し、その改善に努めてきた。この間に、顧客を取り巻く環境は劇的に変化している。21世紀に入った今、特にこうした経済状況の下では、もはや企業はシステムダウンを許容することはできず、継続的なオペレーションが求められるようになっている」(同氏)。

フランシス氏

「今はまだそれほど注意が払われていないが、法的規制への準拠をもっと考慮すべきではないか」とも述べたフランシス氏

 こうした状況を踏まえて開発された新ライブラリは、「まず、メンテナンスも含め、たとえどんな理由があろうともダウンタイムが発生しないように設計した。しかも高い柔軟性を備え、容量やパフォーマンス、信頼性を連続的にアップグレードできるようにしている」とフランシス氏は述べている。

 SL8500はまた、同社が提唱している情報ライフサイクル管理(ILM)というコンセプトを構成する重要な要素の1つにもなると言う。というのも、全データのうち大半の部分を占めているのが、テープに代表されるリムーバブルメディアであり、これらを適切に扱い、管理していかなければ、ILMの実現はおぼつかないからだ。

 フランシス氏は、この製品は単なる堅牢なテープライブラリに終わるのではなく、管理のためのインテリジェンスを備えたものに進化していくと述べている。そして、ディスクシステムやネットワーク機器を統合し、「1つのエンティティとして管理できるようにしていく」と言う。

 フランシス氏はまた、データを格納するメディアとして、テープよりもディスクのほうが優れており、価格も下がっているという見方に対し、次のように反論した。「テープは未だに、非常に安価なメディアだし、容量もずっと拡張されている」。その上で、アーカイブ/長期保存や静的コンテンツの保管、重要なデータの保護といった分野で、テープは重要な役割を果たし続けると述べている。

 だが同氏がそれ以上に強調したのは、「問題は“ディスクかテープか”の選択ではない。この両方を組み合わせることによって、より効果的にストレージを管理していくことだ」という点だ。

 「ディスクとテープの両方を統合し、提供できるのが、われわれのベンダーとしての最大の価値だ」(フランシス氏)。そしてこうした統合ストレージの上に、新たな仮想化技術や管理ソフトを組み合わせて提供していくという。

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[高橋睦美,ITmedia]