エンタープライズ:インタビュー 2003/11/01 00:37:00 更新


Interview:「プライマリストレージをもっと効率的に」とStorageTekのマーティンCEO

今や業界の共通語とも言える情報ライフサイクル管理(ILM)。StorageTekではコンセプトどのようにして現実のものにしていのかをStorageTekのCEO、パット・マーティン氏に聞いた。

 昨年米Storage Technology(StorageTek)が、増大し続けるストレージを効率的に管理するためのアプローチとして打ち出した「情報ライフサイクル管理(ILM)」は、今やすっかり業界の「共通語」として定着した観がある。むしろこれから注目すべきは、このコンセプトをどのようにして現実のものにしていくかだ。StorageTekのCEO、パット・マーティン氏にその道筋と同社の戦略について聞いた。

マーティン氏

実は自宅はニューヨークで、野球が大好きというマーティン氏。「松井はいい選手だね」

―― 今ではさまざまなストレージベンダーが、情報のライフサイクル管理を掲げるようになっています。StorageTekとこれら競合他社との違いは?

マーティン おっしゃるとおり、EMC、Sun、Hewlett-Packardなど多くの企業がILMというコンセプトを取り上げるようになっています。これに対し、データセンターの中でも大きな部分を占める今あるプライマリストレージをずっと効果的に、効率的に利用できるように務めている点が、われわれの最大の差別化要因です。

 われわれはILMのロードマップで、一貫性を高め、堅牢で、しかも自らのストレージ環境を管理できるようにすることを目指していますが、その一部は既に現実のものになっています。われわれは引き続きこの取り組みを進めるとともに、バックアップ/リカバリの機能改善に努め、信頼性の高いストレージを、より少ないコストで、手間をかけることなく運用できるよう研究開発を進めています。そうして顧客が、より効果的にストレージをコントロールできるよう支援していきます。

―― 最大の競合はIBMになるのでしょうか?

マーティン そうとも言えますが、プライマリストレージの効果的な管理という観点に立てば、EMCや日立などあらゆるベンダーが競合になると言えるでしょう。どのベンダーが提唱するにせよ、顧客は今、ILMというコンセプトについて考え、受け入れ始めています。

―― ただ、具体的に何から始めればいいのか、顧客の側に戸惑いもあるようです。

マーティン そうですね。ILMを導入していくには、まずストレージポリシーを定義し、それに基づいてソリューションを設計していく必要があります。これにはプロフェッショナルによる支援が必要です。その意味でサービスは重要です。われわれはプロフェッショナルサービスを通じてILMのデザインと実装を支援していきます。

 もう1つの方法は、使いやすいアプライアンスを提供することです。その例の1つがEchoViewです。こうした製品を活用すれば、ILMという環境に比較的まっすぐに向かっていくことができます。われわれはストレージの効率化を支援するため、こうしたソリューションを提供しますが、それを効果的なものにするにはサービスも非常に重要になります。

―― ストレージリソース管理(SRM)に関しても、あまりにさまざまな製品が存在しており、かえって混乱を招いているように見えます。

マーティン 確かにそうですが、StorageTekではよりよいSRMを実現できるよう支援しています。その1つの手段が、われわれのネットワークコントロールセンターから、日本も含めた顧客のストレージ環境を監視することです。稼働率はどうか、ボトルネックはないか、またバックアップの状況はどうかといった情報を集め、レポートとして提供しています。これを元にして、今後どういった管理を行うべきかを検討することができます。

 われわれはディスク環境だけでなく、テープライブラリに対しても同じような管理機能を提供できます。これはわれわれの大きな強みです。テープ、サブディスクシステムも含んだトータルストレージ環境に対しSRMを提供していきます。

―― データベースやERPといったさまざまなアプリケーションに特化したストレージも求められるようになると思います。

マーティン 既にわれわれは、数多くのアプリケーションベンダーと共同作業を進めており、例えばデータベースに不可欠なスナップショット技術を提供しています。またEchoViewを利用すれば、バックアップを取得し、いざというときにリアルタイムにデータを戻すことができますが、これについても多くのベンダーと協力しています。より優れたパフォーマンス、スループットを実現し、稼動に影響を与えることなくバックアップを提供できるソリューションです。



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[高橋睦美,ITmedia]