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2003/11/05 10:35 更新


Veritasのために響いたNASDAQのオープニングベル、データプロテクション製品群を発表

Veritasは、データプロテクション製品の最新版および新ソフトを発表した。NASDAQ上場10周年を迎えた同社は、オープニングベルとともにユーティリティコンピューティング実現に向けた具体的製品を投下し始めた。

 Veritas Softwareは米国時間11月4日、ニューヨークで同社の主力バックアップソフトの最新版「VERITAS Netbackup 5.0/Backup Exec 9.1 for Windows Servers」、データアーカイビングソフト「VERITAS Data Lifecycle Manager 5.0」、ITインフラの測定・レポーティングツール「VERITAS CommandCentral Service 3.5」を発表した。Veritasのエンタープライズデータプロテクション(EDP)に関する製品が統合化され、ユーティリティコンピューティングの実現に向けたソリューション色を強めている。

 ブルームCEOは発表の直前、NASDAQの取引開始を告げるオープニングベルを鳴らす大役を果たした。大型ハイテク株がひしめくこのオンライン市場にVeritasは1993年に株式を公開、NASDAQ上場10周年の節目に当たる。同社の株は現在、NASDAQ100インデックスに採用されており、いわば成長企業の一社といえる。

 NASDAQのボブ・グレイフィールドCEOが立ち会った万雷の拍手中、ブルームCEOはオープニングベルを鳴らし、ボードにサイン。タイムズスクエアにそびえるNASDAQのデジタルビルボードには、Veritasの文字が躍った。

NASDAQのビルボード

Veritasのロゴが踊るタイムズスクエア


 データバックアップ市場で大半のシェアを持つデータプロテクション分野の最新版の発表に合わせ、このような演出を行うのも、上場10周年の理由のほか、バックアップソフトを中心にしたソフトウェアソリューションは、今後もVeritasの戦略上、重要な役割を果たすことになるからだろう。

 「バックアップの技術は複雑だが、Veritasであれば使うのは簡単だ。この成長市場で、Veritasはさらに顧客を獲得していく」と、ブルームCEOは発表に当たり強気の姿勢を崩していない。

データプロテクションの中心になるNetbackup

 Netbackup 5.0を中心に統合されたデータ保護ソリューション。Veritasが今回発表した一連の製品群で訴えるメッセージだ。

ブルームCEO

ゲイリー・ブルームCEO


 今回発表されたバックアップソフトのNetbackup 5.0は、ディスクステージングによる高速バックアップ・リカバリ、前回のフルバックアップと増分/差分バックアップを利用して、新たにフルバックアップを作成するシンセティック(合成)バックアップ機能などを備えた。テープを利用したバックアップの中間にディスクを使用するステージングにより、従来のNetbackup 4.5に比べ、バックアップ時間で75%、リストア時間も35%短縮されるという。

 「Netbackupは最も高速なバックアップ/リカバリを実現する。また、ステージングにより、1つのバックアップから長期保存用のテープなど複数のバックアップが作れるようになる」と、マーク・ブレグマン製品担当エグゼクティブバイスプレジデント。

 また、どのバックアップポリシーが適切か、診断する「Advanced Client」機能も搭載し、バックアップにかかる手間を極力抑えている。

 そして、10月に発表されているオプションコンポーネント「VERITAS Desktop and Laptop Option」(DLO)を合わせれば、企業内に散在するデータをサーバ/クライアント問わず、NetBackupサーバからポリシーベースで自動バックアップできるようにもなる。既存のNetBackup、Backup Execのポリシーとシームレスに統合することで、クライアントPCのバックアップと同期にさらなる人手(コスト)を追加する必要がないのがDLOの特長だ。

 一方、マイナーバージョンアップとなったBackup Exec 9.1では、64ビット版WindowsサーバおよびSQL Serverをリモートからネットワークバックアップするエージェントが追加、NAS用最新Windows OS「Windows Storage Server 2003」と「Exchange Server 2003」に対応するなどしている。

ユーティリティコンピューティングへ

 Data Lifecycle Manager 5.0は、NetBackupおよびBackup Exeと連携して、データをインデックス化してアーカイブするソフト。これにより法規制などへのコンプライアンスをカバーする。「バックアップ/リカバリの次に意識しないといけなければならなくなったのは、コンプライアンスだ。企業の不祥事やスキャンダルにより法規制が厳しくなっている」とブルームCEOは新製品の背景を説明した。

 NetBackup のインタフェースからData Lifecycle Managerを使って、添付ファイルを含む電子メールなどをポリシーに基づいてインデックス化、必要な情報を即座に取り戻すことができる。

 そしてCommandCentral Service 3.5は、Veritas製品の司令塔としてITインフラおよびサービスを管理する。同社のユーティリティコンピューティング戦略を支える重要製品と位置付ける。ベリタスにとって今年最大の製品とブレグマン氏は表現している。

 CommandCentral Serviceにより、ITインフラをビジネス組織でグルーピングしサービスレベルや使用量などを分析できるようになる。チャージバックの考え方を取り入れており、ITをビジネスに近づけるものという。

 なお、これら製品の日本での出荷開始予定は、バックアップソフトのNetbackup 5.0、Backup Exec 9.1の2製品が12月中旬、DLOは1月。Data Lifecycle Manager 5.0とCommand Central Service 3.5は2004年前半を予定している。

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[堀 哲也,ITmedia]

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