| エンタープライズ:ニュース | 2003/11/17 21:47:00 更新 |
COMDEX Las Vegas 2003レポート
Keynote:「シームレスコンピューティング」にフォーカスするマイクロソフト
ラスベガスで11月17〜20日の4日間、「COMDEX 2003」が開催される。今回COMDEXは、コンピュータ関連総合展示会からBtoBにフォーカスした新生COMDEXとしてのスタートを切る。ただ、キックオフキーノートはこれまで通り、Microsoftのゲイツ会長が務めている。
米ネバダ州ラスベガスにて11月17〜20日の4日間にわたり、世界最大規模のITトレードショウである「COMDEX Las Vegas 2003」が開催される。1999年前後にピークを迎えたCOMDEXは、世界的なIT不況の影響もあり次第に規模の縮小を続け、現在では最盛期の半分以下の規模にまで落ち込んでいる。コンピュータ関連総合展示会として続いてきたCOMDEXだが、2003年のこのCOMDEX 2003を境に、BtoBにフォーカスした新生COMDEXとしてのスタートを切ろうとしている。その理由は多々考えられるが、一つにはコンシューマエレクトロニクスにフォーカスした「CeBit」や「International CES」などの他の展示会がすでに広く認知受けていることと、またIT業界全体の関心がビジネス分野へとシフトしつつある情勢を考慮に入れた結果だと思われる。
新生COMDEXの冒頭を飾るのは、やはりビル・ゲイツ
2003年から新生COMDEXとしてスタートする同ショウだが、やはりそのトップを飾る人物はこの人である。開催前日にあたる16日夜に、米マイクロソフト会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏がオープニングキーノートの壇上に立った。同氏は1993年よりCOMDEXのオープニングキーノートを担当しており、毎年IT業界のトレンドや展望を語りつつ、そのときの同社の最新技術を紹介している。これまでであれば、PCを中心とした比較的コンシューマ寄りの話題が多かったのだが、今回からはBtoBのCOMDEXを象徴するようなビジネス色が強いものとなっている。

マイクロソフトが現在抱える問題であり、多くの企業が最も関心を寄せるテーマがセキュリティである。同社は近年、“Trust Worthy Computing(信頼できるコンピューティング)”を標榜してセキュリティ分野へのコミットメントを強めているが、その成果のいくつかがキーノートの中で紹介された。同社製品を運用している多くの企業が頭を悩ませるのが、各所から報告されるセキュリティホールの数々と、大量に提供されるパッチの適用だ。管理者がそれらを把握し、なおかつ各クライアントからサーバまで随時適用するのは非常に労力を要する。Systems Management(SMS) Server 2003では、マイクロソフトから提供されるパッチ情報を入手し、各マシンに最適な形で配布パッケージを構築し、自動アップデート機能なども提供する。
「Internet Security and Acceleration(ISA) Server 2004」では、新たにネットワークテンプレートという機能が追加されており、ファイアウォールのポリシーを設定する際にベースとなるテンプレートを選択し、ドラッグアンドドロップなどでカスタマイズを行うことで、すばやく設定を適用することが可能になる。またHTTPフィルタと呼ばれるアプリケーションプロキシ機能も強化されており、例えばポリシーの選択画面で「PtoPアプリケーションのトラフィックを禁止」という項目を選ぶだけで、簡単にこの種のトラフィックの制御が可能になる。

また、セキュリティ業界で大きな話題となっているメールスパム対策については、Microsoft SmartScreen Technologyというスパムフィルタ技術が紹介された。
あらゆるデバイスをつなぐ「シームレスコンピューティング」
タブレットPCに、「SPOT」と呼ばれる腕時計型デバイス、携帯電話型デバイスなど、最近のマイクロソフトはクライアントとサーバだけでなく、さまざまな利用形態の情報機器を広くサポートすることを目標としているようだ。同社では、これらを「スマートデバイス」という呼称でたびたび大きく紹介している。
スマートデバイスが快適に利用できるかは、通信相手となるサーバやクライアントPC、各種アプリケーションとのスムーズな連携にかかっている。ゲイツ氏は、このようなスマートデバイスなど、デバイスの種類を選ばず快適な通信を行える仕組みを「シームレスコンピューティング」という名称で呼び、XMLやWebサービス、.NET上で動作するマネージドコードなどがその中で大きな役割を果たすことになると強調する。XMLはBtoBなどのデータ交換用途で大きな注目を集める標準技術だが、その通信技術であるSOAPやWebサービスなどの標準化に最も熱心な企業の一つがマイクロソフトである。ゲイツ氏は、この点も強調する。
シームレスコンピューティングを実現する技術として、「Windows Server 2003」、「Microsoft Office 2003」、「Visual Studio .NET」の各製品も紹介された。Windows Server 2003は.NETを標準でサポートする初のサーバ用OSであり、セキュアなマネージドコードが開発者の負担を減らすものになるという。Microsoft Office 2003は10月に発売されたばかりの新製品で、XMLの全面サポートや、「InfoPath」と「SharePoint」の組み合わせでXMLで記述された電子フォームの共有が可能な点が特徴である。
Visual Studioの「Tools for the MS Office System」をベースにしたデモでは、タブレットPC向けアプリケーションの構築例を紹介した。デモで紹介されたアンケート用のアプリケーションは、ペンでチェックされた項目をExcelなどで集計するもので、同時にフリーのコメント欄に書かれた内容を文字認識でデータ化することにも成功していた。タブレットPC活用の一例として、非常に興味深いものだろう。


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[鈴木淳也,ITmedia]
