| エンタープライズ:ニュース | 2003/11/27 19:38:00 更新 |

スパム撲滅へ、5つの基本方針で臨むマイクロソフト
マイクロソフトは、スパム撲滅に向けた活動を積極化している。電子メールの半数以上が迷惑メールといわれるが、電子商取引において200億ドル以上の損害を与えている(UNCTAD2003年予測)との報告もあり、社会/経済的にも影響は深刻になりつつある。
迷惑メール撲滅に向けた活動を積極化しているマイクロソフト。今年、2月に米国で起こしたHotmailアカウントの迷惑メール訴訟を皮切りに、スパムメール撲滅に向けてAOL、Yahoo!と提携したり、ビル・ゲイツ会長が米連邦議会に法的措置の重要性を訴える書簡を送るなど、積極的な姿勢を目立たせている。同社によれば、今年迷惑メールに関して起こした訴訟は、米英で15件と強い態度も見せる。先のCOMDEXの基調講演では、ビル・ゲイツ会長が迷惑メール対策技術「SmartScreen Technology」を紹介するなど、迷惑メールに対する同社の動きは枚挙にいとまがない。
Microsoftのトム・ロバートソン氏(マイクロソフトアジアリミテッド 法務本部 極東地域担当アソシエイトジェネラルカウンセル)は、「当社は迷惑メールに対し、5つの基本方針をもって臨んでいる」と説明する。(1)業界内での自主規制、(2)法制度の整備、(3)法的執行、(4)利用者への情報提供、(5)製品・サービスでの取り組み――が、その基本方針だ。同氏は、「数年の経験から1社では解決できないことを学んだ」としており、業界内での連携や各国政府への働きかけに比重を置きだしている。
「日本国内での取り組みも5つの柱を中心となることは変らない」。こう述べるのは法務本部本部長の水越尚子氏(マイクロソフトアジアリミテッド法務・政策企画統括本部)。業界連携面では、11月にはヤフーとの間で「迷惑メール対策連絡会」を発足。迷惑メール撲滅へ向けて、ISPや通信会社、関係省庁などの参加を呼びかけている。
12月1日に予定されているヤフーとの第一回定例連絡会では、迷惑メール関連法の考察などといった話し合いを予定しているが、法的な面では、他国の法制度の検証し、優れた部分を2002年に施行された「特定商品取引に関する法律」および「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の2法に取り入れられるよう、行政庁へ働きかけを行っていく方針。執行に関しても、国内では行政庁への協力を中心に行っていくとしている。「特にインターネットの世界では、他国の法制度への目配りが欠かせない」(水越氏)ためだという。
また、ユーザーに対しては、MSNに迷惑メールに関するポータルサイトを設置し、個人でできる対策などを説明している。
技術的アプローチ
テクノロジー企業であるマイクロソフトの製品面でのアプローチは、ビル・ゲイツ会長がCOMDEXで紹介した「SmartScreen Technology」がそれにあたるという。
この技術は、Hotmailで採用されている迷惑メールフィルタ生成プロセスを使って、フィルタエンジンとパターンファイルを学習させていくもの。Hotmailでは、受け取った迷惑メールをユーザーが自分で登録しフィルタできるようになっているが、この登録されたメールの情報はフィードバックループサーバに蓄積されるようになっている。この蓄積された迷惑メールのパターンを抽出し、言語解析などを行ってマイクロソフトは迷惑メールフィルタを作成しているという。
今後、Exchange Server 2003に提供される予定の「Intelligent Massage Filter」(IMF)は、同技術を製品へ提供するものだという。IMFが適用されたExchangeは、電子メールが送られてくると、このフィルタ機能を動作させ、メールのスパム度を数値化。それをメールのヘッダに付与し、その数値レベルに応じて、受け取り拒否や削除、アーカイブ、クライアントへの転送などといった管理者の設定に基づいて、迷惑メールを処理する。
同種の機能は、MSN Hotmail、MSN 8、Outlook 2003にも実装されている。ちなみにExchange Server 2003用のIMFは2004年春の提供予定としている。
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[堀 哲也,ITmedia]
