エンタープライズ:ニュース 2003/12/05 19:08:00 更新


SCOマクブライド氏のLinux攻撃、さらに苛烈に

SCOのCEO、マクブライド氏の今回の主張は、FSFをはじめとするフリーソフトウェア信奉者は「憲法違反」というものだ。(IDG)

 Linuxに対するSCO Groupの「口」撃はとどまるところを知らない。同社は12月3日、フリーソフトウェアを支持するものは欧米の法律で定められている知的所有権保護を脅かしていると糾弾した。

 「米国と世界の一部地域には、議会によって決められた著作権保護の方法に忠誠を誓わないソフトウェアデベロッパーの一群がいる」と書かれた公開書簡を、SCOの最高経営責任者であるダール・マクブライド氏は12月3日、自社のウェブサイトに掲載した。

 この公開書簡では、LinuxのGPL (GNU General Public License) ソフトウェアライセンスは「米国連邦議会と欧州連合で採用されている著作権法と完全に逆の結果を生み出している」と主張している。

 また、GPLの生みの親であるFree Software Foundation (FSF) とRed Hatに対しては、ソフトウェア開発から利益を得ることを排除しようとしており、この「利潤動機は米国著作権法の合憲性を支える根幹だ」と主張している。

 この公開書簡はFSF弁護士のエベン・モグレン氏が11月24日にOpen Source Development Lab (OSDL) のウェブサイトに掲載した文書PDF形式のドキュメント)に対する反論であると、SCOの広報担当者は述べた。

 Linuxの支持者はこの文書に反撃しており、GPL自体が強制力を持つためには著作権保護を必要としていると指摘、さらに、SCO自身がGPLの契約条項に反してLinuxを配布するという、著作権に反する行為をしていると非難した。

 マクブライド氏の主張は「基本的な事実から間違っている」とLinuxの創設者であるリーナス・トーバルズ氏は述べる。

 「私は著作権を強く信奉するものの一人だ」とトーバルズ氏は電子メールでのインタビューで述べた。「すべての知的所有権法の中で、著作権は、たくさんの弁護士を引き連れなくても人々が手に入れることができるよう作られている唯一のものだ」と同氏。

 「ダール・マクブライド氏が担当者になれば、結婚だって憲法違反にしてしまうだろう。一般的な人間の相互行為において商業的性質を重視していないものだからね。それに売春を商業的に増加させることに対する大きな障害になるだろうし」とトーバルズ氏は皮肉る。

 マクブライド氏の会社は今年の3月、IBMのLinuxディストリビューションがSCOの知的所有権を侵害しているとして同社を提訴した。それ以降、SCOはレトリックをエスカレートさせ、Linuxのデベロッパーを、著作権違反とソフトウェア業界そのものを破壊する恐れがあると糾弾している。

 SCOは自社の主張を裏付ける根拠をなかなか提出しようとせず、8月にはSCOの主張は根拠がなく、Red Hatのビジネスに損害を与えているとして、Red Hatが同社を反訴した。

 「この種の手紙が注目の的になるのは不思議だ。われわれはこれらの問題を法廷で解決したいと努力しているのに、遅延工作ばかりが目につく」とRed Hatの広報は述べる。「メディアを使ったSCOの主張に惑わされることなく、まずそこに注力すべきだろう」と担当者は語った。

 同氏によれば、SCOは最近、Red Hatとの法廷闘争の証拠提出を遅らせる動きに出ているという。

 この件に関してフォローしている、ある弁護士によれば、SCOがBoies, Schiller & Flexnerのように高名な法律事務所を雇っているのに公然とLinuxを非難しているのは驚きだという。デビッド・ボイス氏はMicrosoftに対して米法務省が提訴した独占禁止法訴訟で、特別検察官を担当した。

 「この件を大衆の意見の元で裁かせようという方法論は一貫したものだ」とBrown Raysman Millstein Felder & SteinerのIP担当弁護士であるジェフリー・ノイバーガー氏。「デビッド・ボイス氏がSCO側の弁護団の代表でなければ、てっきり自暴自棄になっていると考えたろう」と同氏は述べた。

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