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2004/01/13 14:42:00 更新


Oracle、CEOと会長を分離

アナリストによると、今回の人事には、CEOが全権を握ることに懸念を示す観測筋や投資家をなだめる効果がある。

 米Oracleは1月12日、同社の最高財務責任者(CFO)を務めてきたジェフ・ヘンリー氏が会長に就任することを発表した。後任が決まり次第、同氏はCFO職を降りるという。

 この発表によって、サンタ・バーバラに住むヘンリー氏が、サンフランシスコ南部のレッドウッド・ショアーズを本拠とするOracleのポストからいつ降りるのかをめぐって数カ月前から流れていた憶測に終止符が打たれた。

 一方、サフラ・キャッツ、チャック・フィリップス両執行副社長は、今後、ラリー・エリソンCEOの下で共同社長を務める。これらの異動は即日有効。これまでOracleでは、エリソンCEOが会長職を兼任していた。

 フィリップス氏については、Oracle取締役会入りも決まった。キャッツ氏とヘンリー氏は以前から取締役を務めている。

 Oracleの任命・ガバナンス委員長で取締役のマイケル・ボスキン氏は、次のような声明を出した。「Oracle取締役会は、今回の人事により、経験豊かな経営陣が顧客へのサービスを強化し、誠実さをもった優れた会社の運営に当たり、コーポレート・ガバナンスを強化できるものと信じている」

 RBC Capitalの証券アナリスト、キャメロン・スティール氏は、ヘンリー氏の会長就任には、CEOが全権を握ることに懸念を示す観測筋や投資家をなだめる効果があると指摘、「(エリソン氏は)そのオーナーシップと一人二役から、かなりの権力を握ってきた。今回のOracleの人事が契機となって(ほかの会社でも)同様の動きが起きることに期待したい」と語っている。

 しかしスティール氏は、12日の人事では、Oracleがエリソン氏のCEO職を誰に引き継がせるつもりなのかが明らかでないと付け加えている。「幸い、ラリーはまだ若く、事業に相当熱心らしい」と同氏。

 Oracleでは、レイ・レインとギャリー・ブルーム両氏が2000年に同社を去って以来、エリソン氏の明確な後任候補が不在のまま企業運営が続けられてきた。後任候補の不在は投資家の間に、もしエリソン氏が自家用機やヨットレースで事故に遭ったらどうするのかという懸念を呼んでいる。エリソン氏は1998年、オーストラリアでヨットレースに参加した折、死と隣り合わせの体験をしている。

 キャッツ氏は、これまでの5年間と同様、今後もOracleグローバルオペレーションの責任者を務める。同氏はOracle入りする前は投資銀行家だった。

 フィリップス氏の役割は拡大し、セールス、マーケティング、コンサルティングを含め、Oracleのフィールドオペレーションを統括することになる。これらは、エンジニアリングと財務を除くOracleの業務の大半を占める。証券アナリストだったフィリップス氏は、Oracleが昨年、顧客とパートナーに影響する分野の処理と、企業戦略・事業開発の立案支援のために雇い入れた人物。

 匿名希望のある元Oracle幹部は、今回の人事に次のように疑問を呈している。「サフラとチャックにこうした任務を与えるのは疑問だ。二人にはオペレーションの経験がないし、これでは会社が2分されてしまう。奇妙な発表であり、首を傾げざるを得ない。サフラをCFOに任命するというのなら、もっと意味があるだろうが」

 しかし、Oracle広報担当のジェニファー・グラス氏は、「今回の昇進は、後任選定計画の発表ではない。チャックとサフラの会社への貢献に基づく成果ベースの昇進だ」と説明している。

 グラス氏はまた、エリソン氏が1995年来務めてきた会長職をヘンリー氏に移譲する主な理由は、コーポレート・ガバナンスの改善にあると説明する。

 「会長職とCEO職を切り離すのが良いと考えるコーポレート・ガバナンスの提唱者が大勢いる」(グラス氏)

 ほかの大企業もそうだが、Oracleは外部の独立した立場のCFOを取締役会に加えることを求められている。

 Fenwick & Westの弁護士で、同法律事務所の証券法担当責任者のホレス・ナッシュ氏は、「これは、米企業改革法の規定というより企業文化のシフトに近い」と語る。

 米企業改革法が定める新たな会計ルールでは、コーポレート・ガバナンスの問題に対処している。ここでは、会長とCEOをそれぞれ別の人物が担当しなければならないと規定しているわけではない。だが会長職とCEO職を分離する会社はここのところ増えている。

 グラス氏によると、Oracleは現在、後任CFO探しのため、ヘッドハンティングの会社と面談している最中だ。

 「ジェフをOracleの外部の会長に据えることには意味がある。彼はしばらく前から、引退してサンタ・バーバラの自宅で過ごす時間を増やしたい意向を示している」と匿名希望の元Oracle幹部は語った。

原文へのリンク

[Dawn Kawamoto & Alorie Gilbert,ITmedia]

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