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2004/01/27 19:00:00 更新


基調講演:Lotusphere 2004開幕、標準ベースの「Workplace」で生産性向上

米IBMは米オーランドにおいて、「Lotusphere 2004」を開幕した。

 米IBMは1月25日から29日まで、米オーランドにおいて、「Lotusphere 2004」を開催している。2日目の26日に基調講演が行われ、同社のゼネラルマネジャー、アンブシュ・ゴヤール氏は、Notes/Dominoの今後の方向性が明確であることをアピールする一方、WebSphereとの統合製品「Lotus Workplace」を発展させると述べた。今後は企業ポータルとして、さまざまなアプリケーションを1つのGUI上で見られる環境をユーザーに提案し、企業の生産の向上をサポートする。

 冒頭、ゴヤール氏の「前座」として登場したのは、スタートレックなどで知られる映画俳優、パトリック・シュチワート氏。「演技は美しき嘘」という言葉で会場を盛り上げた。そのシュチワートの紹介により、メインスピーカーのゴヤール氏が姿を見せた。

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アンブシュ・ゴヤール氏

 米IBMがLotusを35億ドルで買収したのは1995年。日本では2002年の3月5日に、日本IBMがロータスと日本チボリシステムズを正式に統合することを発表している。

 グループウェアとして、米国、日本ともに高いシェアを持つLotus SoftwareのNotes/Dominoが、製品としてどのようにIBMと融合していくのかについて注目が集まる。LotusScript(IBMのネイティブプログラミング手法)を使う従来のNotes/Dominoユーザーにとって、「これまで構築した資産、スキルはどうなるのか」といった不安をどれだけ解消できるかも、現在のIBMに課せられているテーマの1つとなる。

 「ポータルはオンデマンド戦略の心臓」と話す同氏。今後の製品の行き先として、同社は「Lotus Workplace」という概念を打ち出している。これは、メッセージグや文書管理、コラボレーション(コンピュータを利用した多人数の共同作業)、ワークフローといったさまざまなアプリケーションに対し、WebSphere Poratalをベースインフラにすることで、Notesクライアントやブラウザ、リッチクライアント、PDAなどのモバイルクライアント、さらには、MicrosoftのOutlookからもアクセスできるようにするもの。

 ユーザーの視点から言えば、企業システムのWeb化、アプリケーションの統合が行われる中で、「人」を切り口とした統合をコラボレーションとポータルの融合という形で実現するものとなる。

 今回、同氏がアピールしたのは、顧客企業が「標準技術であるJ2EEや、Webサービスをベースにしたシステムを導入できること」。Microsoftを引き合いに出し、「2003年は、Windowsだけでなく、Linuxの利用、TCOを削減したい、Webベースのセキュリティを高めたいとの理由から、Microsoft製品からLotusに移行するユーザー企業も多かった」と話した。Microsoft側は、NotesからExchangeへの移行ツールを用意するなど、グループウェア市場での両社の熾烈な争いは今後も続きそうだ。

 一方、既存のNotes/Dominoユーザーにとって良い話として、WebSphere Portal上でWebアプリケーションを構築する際に、ポートレットが提供されることで、Domino上のデータベース設計をまったく変更することなく、ポータル画面上に表示できることが挙げられた。「Javaを一から学ぶほかにない」との不安を持つ技術者がいることを背景にしているのか、会場からは拍手が沸き起こった。

「Dominoの技術を捨てることなく、既存の資産を再利用できるのです」(ゴヤール氏)

 また、同じように、Siebel、SAP、PeopleSoftといった基幹アプリケーションも、特別な追加開発などを一切することなくポータル上に表示できる。Lotus製品を、WebSphereなどのビジネスアプリケーションに容易に連携できるようにすることを狙うIBMにとって、こちらも重要な機能にとなっている。このほかにも、多くのISVなどから、アプリケーション環境を提供してもらう予定としている。

 同氏は、今後もNotes/Dominoを今後もサポートしていくと述べた。

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セッションのオープニング、クロージングを務めたパトリック・シュチワート氏

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[怒賀新也,ITmedia]

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