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2004/01/28 10:56:00 更新


Oracle AppsWorld開幕、EBSのWebサービス化やData Hub投入で他社製品との連携強化へ

米国時間1月27日、「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」が本格開幕した。今回のAppsWorldは、フィリップス新社長のお披露目の場でもある。彼は目玉となる「Data Hub」について触れたが、その全貌はエリソンCEOの基調講演までお預けだ。

 カリフォルニア州サンディエゴで米国時間1月27日、Oracle E-Business Suiteの年次カンファレンス、「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」が本格開幕した。会場となったコンベンションセンターは、ヨットハーバーやリゾートホテルと並ぶダウンタウンの海岸通りにある。まばゆい日差しが降り注ぐ中、早朝から1万人を超える参加者が詰め掛けた。

 オープニングの基調講演を務めたのは、CFO(最高財務責任者)のジェフ・ヘンリー氏と、ラリー・エリソンCEOの右腕、チャック・フィリップス氏。これまでのOracleのカンファレンスと同様、2日目に総帥ラリー・エリソンCEOが登場するため、2人のオープニングも「露払い」の感が否めない。今回のAppsWorld最大の目玉といえる「Data Hub」についても、その全貌を明らかにするには至らなかった。なお、この1月中旬の人事でヘンリー氏は会長(取締役会議長)へ、フィリップス氏は社長へと昇格したばかり。

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入社13年のヘンリー氏、「次の13年も」と顧客らに長期的なコミットを約束した


 いつもヘンリーCFOは同社の業績を語る役回りだ。彼によれば、昨年11月末締めの2004年第2会計四半期は、売り上げが15%増加し、利益率も3ポイント上昇し37%になった。特にアプリケーションの伸びが顕著で実に27%も増えている。SAPやPeopleSoftらが苦戦する中、その躍進ぶりに胸を張る。

 ちょうど1年前のAppsWorldでヘンリー氏は、「Oracleで進んでいる案件の状況から判断し、景気は底を打った。(暦年の)2003年からは上向く」との楽観的な見通しを示したが、結果は彼の言葉どおりになっている。

 「この4年間、経営的には苦しい中だったが、E-Business Suiteの開発者を2倍に増やし、積極的な投資を行ってきた」とヘンリー氏。Oracleは4年前、E-Buisness Suiteをインターネット標準のJavaで全面的に書き換えることを決め、そのためにJavaデベロッパーを確保してきた。今やその開発部隊の総数は6300人を超える。

 また彼は、会長やCFOの立場から、ビジネス成功へのステップとして「IT統合、ビジネスプロセスの自動化、レガシーを含めたデータ統合、そして企業統治の強化」を順に挙げた。「サーベンス・オクスレー法」(いわゆる企業改革法)以来、経営陣の情報開示責任は厳しさを増す一方だ。経営の透明度を高め、社内コントロールをより厳格にすることが企業に求められているとした。

フィリップス新社長のお披露目

 AppsWorldは、フィリップス新社長のお披露目の場でもある。昨年5月、ウォール街のスターアナリストから転身したばかりの彼だが、エリソンCEOは「顧客とテクノロジーの双方を理解している」と信頼を寄せる。昨年12月のOracleWorld Tokyoに、エリソン氏の代役として来日したのも記憶に新しい。

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「年商100億ドル企業とベンチャーの良さを併せ持つOracleでの仕事はエキサイティング」と話すフィリップス氏


 ちなみにフィリップス氏と同日付でもう一人の社長にサフラ・カッツ氏が就任している。彼女がグローバルなオペレーションを統括するのに対して、フィリップス氏は主に顧客中心のビジネスを主導していく役割を担うという。基調講演後のQ&Aセッションでは、顧客との良好な関係構築のために「Customer Advocacy Program」(顧客支援プログラム)をスタートさせていることも明らかにしている。

 フィリップス氏は基調講演のステージで、顧客やパートナーらを前に「重要なのは情報」とし、その質を高め、最も適切なときに経営者に提供できる「Oracle Information Architecture」をアピールした。アプリケーションの役割は単なるタスクの自動化ではなく、情報を生かして経営陣が適切な意思決定を支援すること──そんな考え方が名称にも反映されている。

 「勘や経験もいいが、よりスマートな経営者であれば、事実に基づいた意思決定を行うべきだ」(フィリップス氏)

 その情報の質を高めるために企業が取り得る選択肢として、彼は3つ挙げる。「E-Business Suiteの全面採用」「E-Business Suiteとレガシーの統合」、そして「Data Hubの導入」だ。

 E-Business Suiteの全面採用は、最も質の高い情報を最もコストをかけずに手に入れられる。しかし、レガシーがあったり、既にPeopleSoftの人事システムを導入している企業は多い。そこで現在開発が進められている「E-Business Suite 11i.10」では、Webサービスのような形で何千もの機能が公開され、ほかのシステムと容易に連携できるようにする。

 ヘンリーCFOが既に触れていたとおり、Oracleは4年前、E-Business SuiteをJavaで全面的に書き換えることを決めた。そのため、Webサービスとして機能を公開することも容易だし、新しい機能の追加も今後ますます加速できるとフィリップス氏は強調した。

 第3の選択肢が今回の目玉、「Data Hub」だ。レガシーや他社のアプリケーションをそのまま使い続けながらも、データモデルの統合を図ることができ、そのメリットを享受できる点で極めてユニークだとフィリップス氏は主張する。

 Q&Aセッションでも、「競合との違い? 彼らのは、ERP、人事、CRMとデータモデルが分散しており、ポイントツーポイントでつなぐソリューション。われわれのData Hubは、データモデル自体を統合し、1カ所に置いておける」と説明した。顧客企業にとっては、質の高い情報が低コストで手に入れられるし、単一のデータモデルの周りにアプリケーションを統合できるため、SIパートナーらが歓迎しているとも付け加えた。

 従来からも「Information Architeture」として、E-Business Suiteの優位性をアピールしてきたが、インテグレーション機能やData Hubを加えることで、新たな体系、「Oracle Information Architeture」へと昇華した格好だ。

 なお、Data Hubの全貌は、2日目に予定されているラリー・エリソンCEOの基調講演で明らかにされるという。

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[浅井英二,ITmedia]

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