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2004/02/19 10:54:00 更新


「SANはサーバとストレージを展開するための共通基盤」とブロケード

「SANはストレージのおまけではない。サーバとストレージの間に存在する共通インフラだ」――FCスイッチで知られるブロケードはこのように訴える。

 「“まずストレージありき”“ストレージのおまけ”としてSANを考えるのではなく、1つの基盤インフラとしてSANをとらえてほしい」(ブロケード コミュニケーションズ システムズシステムエンジニアリング統括部課長の辻哲也氏)。

 ブロケード コミュニケーションズ システムズ(ブロケード)は2月18日、EMCジャパンと共同で「ネットワーク ストレージ ソリューション セミナー」を開催した。同社はSANを構成するファイバチャネルスイッチの市場で大きなシェアを持っている。セミナーを通じて同社は、SANを、サーバやストレージを柔軟に展開していくための共通基盤としてとらえてほしいと強調した。

 数年前に比べると、国内でもSANはだいぶ普及してきた。しかしブロケードに言わせると、それはまだ「部門ごと、アプリケーションごとに個別に“SANアイランド”が点在している状態。これではリソースがあちこちに分散しており、非常に無駄が多い」(辻氏)。ばらばらに存在するSANを統合することによって、より多くのメリットを引き出せるようになるという。

 「しばしば“SANは高い”“導入のコストメリットが分からない”といわれる。同時に“SANは難しい”“なんだか面倒くさそう”という声も聞かれる」と辻氏。これらの不満は、多数のSANアイランドを統合し、共通基盤としてのSANを構築することによって解決できるという。

 たとえば、もともとSAN導入のメリットとしてうたわれていた「管理負荷の軽減」だが、SANを統合し、バックアップなどの作業を集約することによってその利点はさらに増幅されるという。ほかにも、ストレージを冗長化し、ストレージネットワークを2階層構成とすることで、障害時の影響を最小限に抑え、ダウンタイムの縮小を図れる。また、はじめにSANというインフラを作り上げておき、後から必要に応じてストレージ容量を追加する仕組みにすることで、同じ費用を投じてもより高いパフォーマンスを得られるようになる、と辻氏は説明する。

 「確かにSANのイニシャルコストは高い。しかしコストというものは、イニシャルコストだけではないのも事実。保守費用のほかダウンタイムに短縮、ストレージの効率利用といった要素を加味すれば、かえってコストは低くなる」(辻氏)。いったんこのインフラができあがれば、システムの拡張に応じた柔軟な対応が可能になり、データの重要度に応じたストレージの使い分けや集中的なデータの管理といった、高度な使いこなしも実現できるという。

 「縦割りで考えず、横串としてSANをとらえてほしい。こうしてSANを統合することにより、リソースの集約が可能になり、システムの信頼性やコストメリットが生まれる」(同氏)。

 なお辻氏によるとブロケードでは、より大規模なSANの実現、運用に向けて「iSCSI」「FC over IP」といったIP-SAN技術の取り入れを進め、SANの世界にIPネットワークでいう“サブネット”や“マルチプロトコル”を導入していく。また複数のSANにまたがってリソースを管理できるようにする論理SAN(LSAN、IPネットワークで言う“VLAN”)とFCルータによるルーティングなども実現していく計画だ。

 さらに、「これからSANファブリックに求められるのは、セキュリティになるだろう。より強固な認証やアクセスコントロールを実現していきたい」(辻氏)という。

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[高橋睦美,ITmedia]

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