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2004/02/25 22:50:00 更新


オープン標準で企業に即応力をもたらすIBMのe-ビジネス・オンデマンド構想

2月25日、IBM FORUM 2004で、「e-ビジネス・オンデマンド」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。ハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの担当執行役員がステージに上がり、市場の変化に即応できる新しい経営のあり方、e-ビジネス・オンデマンドを語った。

 IBMのサム・パルミサーノCEOは就任から約半年後の2002年秋、ビジネスモデルの変革と創造をもたらす新しい経営モデル「e-ビジネス・オンデマンド」を掲げ、同社の顧客が市場の変化に即応できる企業へと進化できるよう支援していくイニシアチブを発表した。しかし、その言葉はかつてユーティリティーコンピューティングを指すものとして同社で使われていたため、今も誤解を招きやすい。

 実際のところ、2月25日、都内のホテルで開幕したIBM FORUM 2004の事前登録者を対象にしたアンケートでも、約4割が「聞いたことはあるが、知っているとはいえない」と回答しているという。

 この日の夕方、IBM FORUM 2004では、その「e-ビジネス・オンデマンド」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。パネラーとして、日本アイ・ビー・エムからハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの担当執行役員がステージに上がり、市場の変化に即応できる新しい経営のあり方、e-ビジネス・オンデマンドを語り、それぞれの立場から製品やサービスを売り込んだ。

 「オンデマンドなビジネスモデルを持つ企業とは、即応性、柔軟性、集中化、そして回復力が必要。それを支えるITとして、IBMは統合化、オープン、仮想化、そしてオートノミックな機能を備えたオペレーティング環境を提供し、顧客らを支援していく」と話すのは、日本IBMでハードウェアを統括する橋本孝之常務執行役員。

 顧客企業らは、さまざまなプラットフォームがばらばらに導入された異種混在環境をどう効率的に管理し活用するかを迫られている。それにこたえるハードウェア技術が統合化、オープン、仮想化、オートノミックだといえる。

 この1月に就任したばかりのソフトウェア事業担当執行役員、三浦浩氏は、IT投資効果のベンチマークは「スピード」だと言い切る。

 BSE(牛海綿状脳症)発生による米国産牛肉の輸入一時停止は、外的環境の急激な変化の一例だ。三浦氏は、これを分かりやすい例として取り上げ、「牛丼チェーン各社は、他社に先駆けた新しいメニューの開発と販売を迫られた。つまり、経営者にとって最も価値あるものは時間だ」と話す。

 即応性や柔軟性を企業にもたらすためにミドルウェアの果たす役割は大きい。新しいサービスを市場に投入するには、それを支えるアプリケーションの転換がスピーディーに行える必要があるからだ。

 「アプリケーションは部門ごとにばらばらではいけないし、将来はコンポーネントベースで短期間で開発できなければならない」と三浦氏。

 しかし、ITベンダー各社が再び強めているハードウェアからミドルウェアまでの「垂直統合化」については、囲い込みの意図を明確に否定する。

 「業界挙げてオープンスタンダードを推進することが顧客の利益につながる。ミドルウェアスタックをオープンにしていくために莫大な時間とコストをかけている。そうでなければ20年前に逆戻りだ」(三浦氏)

 彼の率いるソフトウェア事業部は来月4日、個々の製品ではなく、それらを組み合わせたソリューションを打ち出す「IBM Software Solution 2004」を開催する。

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[浅井英二,ITmedia]

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