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2004/02/27 18:08:00 更新


「既存システムとの連携機能強化は自然の流れ」と日本オラクルの新宅社長

日本オラクルの新宅社長は、プレス/アナリスト向けのブリーフィングで「Oracle Information Architecture」を取り上げ、「SAPや既存システムと連携しやすいアーキテクチャへと進化させるのは自然の流れだ」と話した。

 日本オラクルは2月27日、都内のオフィスでプレス/アナリスト向けのブリーフィングを行った。新宅正明社長は、1月のOracle AppsWorld San Diegoで打ち出された「Oracle Information Architecture」(OIA)を取り上げ、「顧客らはエンタープライズアーキテクチャ(EA)に基き、戦略的にIT導入を検討する傾向を強めている。SAPや既存システムと連携しやすいアーキテクチャへと進化させるのは自然の流れだ」と話した。また、Windowsが主なプラットフォームとなるSMB(中堅および小規模事業者)市場への攻勢やRFID(無線ICタグ)やT-Engineに代表される新規事業への取り組みについて触れ、「次の一手」を打っていることも強調した。

 Oracle Information Architectureは、同社の製品や技術を「Grid Infrastructure」「Data Hub」「Business Processes」、および「Information Access」の各レイヤに位置付け直したもの。Grid Infrastructureには、Oracle 10gのアプリケーションサーバとデータベースが、Business ProcessesにはE-Business Suiteやインテグレーション技術などが含まれる。1月下旬のOracle AppsWorldでチャック・フィリップス社長が明らかにした。

 同社の製品や技術を体系的に見せると同時に、情報こそ重要だということを改めて強調する役割もOracle Information Architectureは担う。

 「アプリケーションの役割は単なるタスクの自動化ではなく、情報を生かして経営陣が適切な意思決定を支援すること」とフィリップス氏は基調講演で話している。

OIAの要はインテグレーションとData Hub

 同アーキテクチャの要といえるのは、次期リリース、Oracle E-Business Suite 11i.10で強化されるインテグレーション機能と「Data Hub」だろう。どちらもOracle AppsWorldでベールを脱いでいる。

 Oracleは、顧客らの声にこたえ、E-Business Suiteへの固執を捨てたといっていい。同アーキテクチャのキモであるインテグレーション機能と顧客情報管理向けのData Hub、「Oracle Customer Data Hub」を活用するアプローチも用意する。

 「E-Business Suiteの全面採用というのが最も理想的なことに変わりはないが、Siebelもあれば、メインフレームの既存システムもある。いわば、現場の痛みに即したソリューション」と話すのは、マーケティングを統括する清水照久本部長。

 今夏に登場する次期リリースのE-Business Suite 11i.10では、何百ものWebサービスを利用してほかのアプリケーションと連携できるほか、Oracle Application Server 10gでは、箱から出してすぐ使える各種のアダプタも用意する。

 また、Customer Data Hubは、E-Business Suiteをまだ導入しない顧客もそのデータモデルのメリットを享受できるようにする製品。E-Business Suiteのデータモデルは、ビジネスで起こるさまざまな事象を、何千ものテーブルを定義して関連付けながら実装したもので、同スイートのキモといえるものだ。ほかのアプリケーションに散在していた顧客のデータは(Oracleデータベースを使うことが条件となるが)、このデータモデルによってリポジトリに格納される。ほかのアプリケーションは、このCustomer Data Hubを情報源として購読(サブスクライブ)することで、「顧客に関する一つの真実」を手にすることができるようになるという。

 Oracleのラリー・エリソンCEOは、AppsWorldの基調講演でCustomer Data Hubの狙いについて分かりやすく話している。

 「E-Business Suiteの元々のアイデアは、単一のデータベースの周りにアプリケーションを構築し、顧客の情報すべてを1カ所に格納することだった。Customer Data Hubは、顧客に関する情報すべてを1カ所に格納するという同じ目標を違うアプローチで達成できるはずだ」(エリソン氏)

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[浅井英二,ITmedia]

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