ケーススタディ
2004/03/29 17:34 更新


中国三峡ダムで稼動するIFS、オブジェクト指向による柔軟性が鍵

世界最大規模のダムとして知られる中国の三峡ダム水力発電所の全プロジェクトで、スウェーデンのパッケージベンダーIFSのIFS Applicationsが本番稼動を開始し、2003年12月に正式に承認された。

 世界最大規模のダムとして知られる中国の三峡ダム水力発電所の全プロジェクトで、スウェーデンのパッケージベンダーIFSのIFS Applicationsが本番稼動を開始し、2003年12月に正式に承認された。三峡ダムは2002年4月にIFS Applications導入を決定し、段階的にシステムを稼動させてきた。

 同プロジェクトで導入されたのは、設備管理、制御システム統合、在庫管理、会計管理、人事管理、文書管理、プランニング、契約管理、安全・信頼性管理、運用管理などの各コンポーネント。

 世界トップクラスの水力発電所を目指す同水力発電所は、IFSのアプリケーション導入により、いわゆるベストプラクティスと、先進的な管理哲学の獲得を図ったという。

 稼動開始後の現在では、業務フローが標準化し、生産コストを最小限に抑え、生産効率を大幅に高めることが可能になった。また、発電所の特殊な要件に対応するため、IFS Applicationsを支えるテクノロジープラットフォームであるIFS Foundation1によって拡張を行った。

柔軟性を支えるFoundation1

 一般に、アプリケーションを導入する場合、ビジネスプロセスを変更することはプログラムの大幅な修正作業の発生を意味していた。だが、Foundation1では、オブジェクト指向により、ビジネスプロセスの必要要素をソフトウェアの部品としてコンポーネント化し、幾つかのレベルに分離した。それらは互いに影響を与えないよう独立し、カプセル化されているため、1つのコンポーネントを変更しても別のコンポーネントには影響が出ない。

 また、Foundation1では、5層のアーキテクチャが採用されている。下層から、データを保管および管理する「データベース層」、データを抽出したり変更をかけたりする「エンティティ層」、ビジネスロジックを含む「アクティビティ層」、ワークフローを規定する「ビジネスプロセス層」、そして、ユーザーインタフェースである「プレゼ ンテーション層」となる。このアーキテクチャにより、変更がしやすい柔軟なシステムを構築できる。

 同プロジェクトでは、三峡総公司のIT部門である三峡ハイテクの協力により、プランニング、契約管理、安全・信頼性管理、運転管理の機能強化が行われた。このシステムは総称して、ePMS(電子生産管理情報システム)と呼ばれている。

 三峡ダム水力発電所のチェン・ヨンクアン副総経理は、「日常業務はアプリケーションに大きく支えられており、文書管理機能は、発電所内で広く使用され、一貫した文書配布に役立っている。IFS Applications の導入を通じて、生産プロセス、管理哲学、IT の効果的利用が可能になり、多くのゼネラリストを養成することができた」と話している。

関連リンク
▼IFSジャパン

[ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.