インタビュー
2004/04/04 05:07 更新


Interview:自動車の製造プロセスにパッケージがマッチする

IFS World Conference 2004において、今後同社が特にターゲットにしている業種として自動車業界が挙げられた。「リーンマニュファクチャリング」を展開して、日本市場への進出を目指す。

 米フロリダ州オーランドで開催された「IFS World Conference 2004」において、アプリケーションをコンポーネントベースで導入することで、段階的にERPシステムを構築する方法の優位性をアピールしたIFS。今後同社が特にターゲットにしている業種の1つが自動車業界だ。いわゆる「カンバン」「カイゼン」といった日本発の製造手法も取り入れた上で、「リーンマニュファクチャリング」(“リーン”は無駄をそぎ落としたといった意味)を展開して、日本市場への進出を目指す。

 同社で自動車業界担当ディレクターを務めるレナート・ソレル氏に話を聞いた。

ifs.jpg
IFSで既に10年を過ごしたというレナート氏。

 「日本やほかの国において、自動車業界の顧客との契約の多くがNECによって結ばれている」と話す同氏。前日に発表されたNECとの協業関係を重視していることを強調した。

ITmedia 自動車業界の現状をどのように考えていますか?

レナート 中国では年間で40%というペースで自動車の販売が増加しており、東アジアでの販売機会の成長を期待しています。また、業界の再編が進んでおり、自動車の製造プロセスにおけるTier3、Tier2をコントロールするTier1と呼ばれるサプライヤーは、2010年までに半分になると言われています。そのため、サプライヤーはシステム化によって競争力を高める必要が出てきていることが、IFSが採用されている背景になっています。

ITmedia どのようなユーザー企業がありますか?

レナート 現状で30カ国、130の顧客企業があります。特に、スウェーデン企業であるVolvoには幅広く導入されています。そのほかにも、Lotus、Rover、Calsonic Kansei、Scania、Borgstenaなどで利用されています。

ITmedia 自動車メーカーにIFSを利用してもらう上でどのような点を強調しますか?

レナート パッケージでありながら、必要な機能が完全に含まれていることです。従来型のサプライチェーンマネジメント手法もサポートしていること、品質管理では「QS9000」「ISO/TS16949」がアプリケーションとして統合されています。需要予測やATP(Available To Promise)のフィードバック機能、PLM(Product Lifecycle Management)、ポータルをベースにしたEDIもサポートしています。

 そして、最も強みを持つ機能がリーンマニュファクチャリングです。これには、トヨタが開発したカンバン、カイゼン、品質管理といった手法がパッケージアプリケーションとして統合されているのです。

 リーン・マニュファクチャリングの定義は、「継続的な改善活動を通じて無駄を見つけ、取り除くシステム的なアプローチで、顧客が追求する完全さに製品を近づけていくもの。」となります。

 また、製造スケジュールは、顧客のオーダーと希望納期を勘案した上で、決められます。これにより製造フローにおけるトランザクションが少なくなったり、スケジューリング作業をコンポーネントが自動化することになり、効率が高まります。

 さまざまな形態を持つマニュファクチャリングプロセスを、コンポーネントベースのアプリケーションで提供できる点が、やはりIFSの強みと言えます。

ITmedia NECとの関係について教えてください。

レナート NECとは1998年以来、7年に渡って協業関係を結んでいます。それこそ、IFS Applications同様にステップ・バイ・ステップで関係が強化されてきました。現在、NECでは、180人がIFSとともに仕事をしています。米国やヨーロッパ、アジア各国にある日本企業の海外法人を主なターゲットとして、NECとともにビジネスを展開していく考えです。



関連記事
▼IFS World Conference 2004 Report

関連リンク
▼IFSジャパン

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.