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2004/04/17 11:22 更新


日立が電子行政ショールームをリニューアル

日立製作所は4月19日より、電子政府/電子行政関連のソリューションを紹介する「CyberGoverment Square」をリニューアルオープンする。

 日立製作所は4月19日より、政府や自治体関係者向けに電子政府/電子行政関連のソリューションを紹介する「CyberGoverment Square」をリニューアルオープンする。

 このショールームは、政府のe-Japan戦略に先駆けて2000年3月に設立されたもの。日立では、自治体の窓口業務用システムやバックオフィス業務を支援するLGWAN対応の文書管理システム、ICカードを利用しての公的個人認証サービス向けのシステムを開発、提供しているが、それらをデモンストレーションを通じて体感できる。

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 昨年公表されたe-JapanII戦略では、ITインフラの整備から利・活用に焦点が移っているが、今回のリニューアルもそれを反映したものとなった。当初中心としてきた、電子申請や調達といった行政事務だけでなく、公共事業全般をカバーする、広範な取り組みについて紹介するデモンストレーションが追加されている。合わせて、社会的に見てセキュリティの重要性が高まってきていることを踏まえ、認証関連の展示も加わった。

 デモの1つでは、あらゆる住民がWebポータルを通じて簡単に情報を入手できるよう、アクセシビリティに配慮したWebポータルが紹介されている。ユニバーサルデザインやアクセシビリティの向上に対する関心は高まっている。今年6月をめどに、アクセシビリティに関するガイドライン(ISO/IECガイド71に準拠)がJIS規格化される予定だ。ショールームのデモでは、同社が独自に開発したヘルプソフトウェア「ZoomSight」を利用し、Webページ上の文字を拡大したり、表示カラーを変更できる様子が紹介された。

 またセキュリティを意識したデモとしては、指静脈認証とICカードを組み合わせた入退室管理システムが紹介された。暗証番号と合わせて二重、三重の認証チェックを行うことで、重要な情報が保存されたサーバルームへの立ち入りを制御し、情報漏洩などの事故を未然に防ごうというものだ。

指静脈認証

指静脈認証とICカードを併用した入退室管理システム

 ちなみに、ここで用いられている指静脈認証は、文字通り指先の「静脈パターン」を利用して認証を行うもので、指紋認証に比べて認証精度が向上している。また、血液が流れていないと認証が行えないため、ダミーの指や切り取った指ははじかれるのも特徴だ。その上、指先が乾燥していたり、油や水で汚れていた場合でも読み取りが可能という。この指静脈認証とICカードとを組み合わせた入退室管理システムは、今回初の紹介という。

 さらに、紙の文書を複合機で読み取って電子化した上で、他の行政システムと連携して収受を行いつつ、長期の文書保管を行う文書管理システムも紹介された。文書の取り込み時に、「目録情報」という形で文書分類や保管期間を定めることができる。また、過去に生成された署名データを取り込みながら新しく電子署名を行うことで、長期にわたって原本性を保証する「ヒステリシス署名」という独自の方式によって、文書の改ざんを検出する仕組みだ。

 今年1月からスタートした公的個人認証サービスの紹介コーナーも設けられている。残念ながら公的個人認証サービスは、いまだ広く普及したとは言いがたいこ。この点について日立では、「利用できるアプリケーションが少ないことが原因では」と分析しており、今後、対応アプリケーションやサービスが増加すれば、利用する価値も高まってくるだろうという見方を示している。

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