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2004/04/21 21:29 更新


ウインドリバーのクラインCEO、「Red Hatと共同で業界標準のLinuxを開発する」

ウインドリバーは4月21日、都内で記者発表会を行い、スマートデバイスに搭載されるソフトウェアの最適化を意味するDSOを推進するとの今後の戦略について説明した

 リアルタイムOS「VxWorks」などの提供で知られるウインドリバーは4月21日、都内で記者発表会を行った。来日した米Wind Riverのケン・クラインCEOは、ノートPCや電話機、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットPCなどのスマートデバイスに搭載されるソフトウェアの最適化を意味するDSO(Device Software Optimization)を推進するとの今後の戦略について説明した。

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ケン・クラインCEO

 またこの日、同社がインダストリアルオートメーション向けに最適化した開発ツール、OS、ミドルウェアをパッケージ化した「Win Rriver Platform for Industrial Automation」(Platform IA)を、安川電機が同社の主力ロボットコントローラ「NX100」「NXC100」に採用したことも併せて明らかにしている。

 クライン氏は、同社のミッションを「スマートデバイスに搭載されるソフトウェアを低コストで、迅速な開発を可能にし、顧客企業が優れた製品を生み出すことを支援すること」と掲げる。

 DSOにより、ソフトウェア開発におけるプロセスの簡素化および効率化、環境の信頼性向上、複数の開発環境下での横断的なスマートデバイス向けのソフトウェア開発、製品化、機能強化のための標準化を推進できるという。

 これにより、採用した企業は、製品の迅速な市場投入、開発コストの低減、開発リスクの低減と品質向上などを実現できる。

Red Hatと共同でLinux

 同社はDSOを推進するために、Red Hatとパートナーシップを組むことを2月に発表した。

 この協業により、同社は、スマートデバイス向けに新たなプラットフォームを「Red Hat Enterprise Linux」をベースに開発する。Red Hat Enterprise Linuxに、ウインドリバーのこれまでの組み込み系OSにおける技術や経験を盛り込むことになる。特徴としては、シングルコードをベースにサポートとメンテナンスを行うことや、LinuxおよびVxWorksのそれぞれ、あるいは双方で実行できる柔軟なアプリケーション開発が可能になることを挙げた。

 この日は、VxWorks 6.0のロードマップが発表された。2004年4月現在、VxWorks 6.0プレリリース2が最新。今後、8月にVxWorks ベータ、12月にVxWorks 6.0が正式に出荷される。

Mars Roverへの採用がVxWorksの品質を証明

 VxWorksは、先日のNASAによる火星探査において活躍したMars Roverに搭載されていることが知られている。これについてクラインCEOは、「まず、火星という非常に遠い距離を隔てて操作をしなくてはならない点がクリティカル」とする。

 また、メモリが多いと電力消費量が大きくなることにも対応しなくてはならなかった。今回、Mars Roverに不具合が発生し、一度は火星探索の続行が危ぶまれたが、「あの時、Mars Roverを“デバッグ”したのはWindriverの社員。とても誇りに思っている」と話した。

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[怒賀新也,ITmedia]

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