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2004/04/27 19:31 更新


「中立でなければ競争できない」――国内市場で本格展開図るADIC

先日東京エレクトロンと販売代理店契約を結んだ米Advanced Digital Information Corporation(ADIC)のスコット・ロザ氏に、同社製品の特徴を聞いた。

 先日、東京エレクトロン(TEL)との間で販売提携を結んだ米Advanced Digital Information Corporation(ADIC)。同社で北米ストレージ製品担当副社長を勤めるスコット・ロザ氏は、オープン系のテープライブラリをはじめとする同社製品群を通じて、「適材適所のバックアップを実現していく」という。

 2001年以降、米国のオープン系のテープオートメーション市場でトップシェアを獲得してきた同社は、この4月14日に、テープライブラリ製品の販売代理店契約をTELと締結したばかりだ。1995年からリセラーを通じて製品を国内市場に投入してきたが、SAN(Storage Area Network)の伸びを背景にして本格的な展開を狙い、今回の契約に至った。

 「TELは掘り下げたトータルストレージソリューションを展開している。また、技術的な専門性やカスタマサービスの充実度、品質コントロールへの強いコミットなども決め手となった」とロザ氏は説明している。

ロザ氏

米ADICのロザ氏は「あらゆるベンダーが情報ライフサイクル管理について語っているが、これを具現化するソリューションが出てくるには、あと5〜10年かかるだろう」とも述べた

 企業における情報システムの役割が増大するにつれて、そこで生成されるデジタルデータの量もまた、爆発的に増大している。ここで問題となるのは、その大量のデータを、TCOを押し上げることなくいかに効率的に管理していくかだ。

 「増大し続けるビジネス上のクリティカルなデータに対し、より簡潔な保護と管理を提供する」(ロザ氏)。同氏の言葉を整理すれば、その目的に向けたADICの取り組みとしては、大きく2つの事柄を挙げることができそうだ。

 1つは、ヘテロジニアスな環境に対応し、マルチベンダーをサポートし、高い相互接続性を実現していくこと。ADICでは、小〜中規模向けのテープライブラリ「FastStor」シリーズと、より大規模なシステムを対象とした「Scaler」シリーズを展開するほか、SANアプライアンスやストレージ管理ソフトウェアなどを提供しているが、いずれにおいても相互接続性の確保に多大な努力を払っているという。

 ストレージ市場には多くの競合企業が存在するが、一方で同社は、IBMやヒューレット・パッカード、デルコンピュータやサン・マイクロシステムズなど多くの企業にOEM供給も行っている。こういった企業とは「競合しつつ協業する」(ロザ氏)という状態だ。それゆえに、「ベスト・オブ・ブリードに目を光らせ、いずれのベンダーの製品ともうまく動作することを重視している。中立でなければ競争していくことはできない」(同氏)。

 もう1つは、インテリジェンスを備えた製品ラインナップを拡張し、メディアの特性に応じた適材適所のシステムを提供することにより、管理コストの削減を図るというアプローチである。その例が、昨年リリースしたという新製品「Pathlight VX」だ。これは、ストレージ業界の大きな潮流となっている、情報ライフサイクル管理の考え方を取り入れたものだ。

 Pathlight VXはSerial ATA(SATA)ドライブを採用しており、本番環境からディスクへ、さらにテープへと自動的にバックアップを取ることができる。ファイバチャネル対応の高速ディスクとSATAディスク、それにオフサイトで優位性を持つテープの中から、適材適所でストレージを選び、適切な場所にデータを保管することで、コストをかけずにバックアップとリストア、管理を行えるようになるという。

 ロザ氏はまた、各製品の信頼性を高めることによって、ダウンタイムの短縮にも努めていくとした。たとえば、「インテリジェント」から頭文字を取ったというデータセンター向けライブラリ「Scalar i2000」では、各コンポーネントの耐障害性を高めるとともに、障害の兆候を電子メールや電話で通知し、問題が顕在化する前に対応できる機能をサポートするという。

 ストレージ業界全体にとって追い風となりそうなもう1つのトレンドが、各種法規制への遵守(コンプライアンス)である。ADICでは、管理ソフトウェアやWrite-once Read-many(WORM)対応を通じて、文書の長期保存といったニーズに応えていく方針だ。

 ただ、「グローバル2000社のITマネージャでさえ、コンプライアンスの観点から何をすればいいのか、明確には分かっていない。何かしなければいけないとは思いながら、具体的に何をすればいいのか分からない、いわば暗中模索の状態だ」(ロザ氏)のも事実という。

関連リンク
▼ADIC
▼東京エレクトロン

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