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2004/05/28 17:48 更新


カメラ付きボールペン? 東芝ソリューションが構想する顧客情報収集への新手法

東芝ソリューションは、提供するサービスを顧客企業向けに紹介する「プラットフォームソリューションフェア2004」を、東京・浜松町の同社で開催した

 東芝ソリューションは5月27〜28日に、提供するサービスを顧客企業向けに紹介する「プラットフォームソリューションフェア2004」を、東京・浜松町の同社で開催した。展示会場では、ナレッジマネジメントサービス「KnowledgeMeister」やポータル、Webプラットフォーム構築、認証基盤ソリューション、IPテレフォニー、サーバクラスタリング、各業種別ソリューションなど、製品やサービスが幅広く紹介された。

 この中で、特に目立っていたのが、文字認識の正確さで定評のある同社のOCRをベースにした新しい技術。これは、デジタルペンと呼ばれる特殊なボールペンと、ドットを施した特殊な紙を利用し、紙に人が手で書いた情報などを、人が手で再入力をすることなく、電子データとして蓄積することを可能にするもの。

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デジタルペン入力ソリューション。

 これは、Anotoという欧州企業の技術をベースにしたもの。例えば、ギフトの申し込みで、顧客が用紙に住所や名前を記入する場合に利用される。アノト式デジタルペンは、ペン自体は普通のボールペンだが、先端に小さなカメラが搭載されている。紙に文字を書くと、このカメラが、ペンの位置情報、軌跡、書く速さ、筆圧、日時などを記録する。

 そして、USBまたはBluetoothによって、ペンの情報がパソコンに送信されると、今度は、パソコンがインターネットを介してサービスサーバにアクセスする。入力情報は、サーバ上の文字認識技術にかけられ、イメージに変換される。結果として、パソコンには、手書きで紙に入力した情報が、電子データとしてパソコンに表示される仕組みだ。

 この技術はまだ、東芝としてサービスとして体系化しておらず、引き合いを待っている状況という。実際に使われる場面としては、自治体窓口での各種申請、金融機関での口座開設用紙の記入、試験答案の採点、アンケートの記入などが挙げられた。OCRなど、特別新しい技術ではなく、ペン先にカメラを搭載し、紙にドットを施したことによる「アイデア商品」とも言えそうだ。実用化されれば、幅広い業種で利用分野が考えられそうだ。

ナレッジマネジメントで広範なサービス

 一方、ナレッジマネジメントに関するソフトウェア製品やサービスも幅広く紹介された。ナレッジマネジメントを実現する「Knowledge Meister」、テキストマイニング、Knowledge Meisterを最大限活用できるポータル、さらに、Tibcoのソフトウェアを活用するEAI、BusinessObjectsをベースとするビジネスインテリジェンスのシステム構築も展開している。

 テキストマイニングでは、利用する上で、まだ人間の手作業に頼る部分が多いことが分かる。テキストマイニングは、メールやアンケート結果の中から、キーワードを拾い出してデータベース化することで、製品への顧客の評価などを知ろうとする取り組みだ。

 例えば、ホテルで利用する場合、「待たされた」「大浴場」などの言葉から、顧客のホテルに対する評価がポジティブかどうか、どのサービスが良くて、悪かったのは何かなどが分かるようになっている。集められるデータが少ない場合は「データを眺めていれば分かる」という場合も多いが、1000件を超えて10万件などになると、顧客の今を知るために非常に有効なツールになる。

 ただし、現状では、傾向をデータとして示すに留まっており、それをどう読んで、どのように次の戦略をたてるかについては、人間の作業になる。さまざまなデータベースを用いて、具体的な施策とその成功の可能性などが示されるような機能があれば、より「エンドツーエンドなソリューション」ということになるだろうか。

[怒賀新也,ITmedia]

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