売れる“決め手”を最短で組み込み データドリブン時代のソフトウェア製品とはSDKでBIをスピード実装

BIによるデータ可視化のニーズはますます拡大している。多くの企業は目前のバックログ対応に追われ、製品の価値を高めるBIなどの機能については、必要性を認識しつつも開発時間を捻出できないというジレンマに陥っている。そこで注目すべきが「組み込み」の手法だ。一体どのようなものなのか、イベントレポートを通して紹介する。

PR/ITmedia
» 2024年11月06日 10時00分 公開
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 ここ数年は多くの企業が“データドリブン”を掲げ、データを駆使した意思決定に力を注いでいる。法人向けソフトウェアも、アプリケーションのデータを視覚化して課題を発見したり、経営者が自社の状況をダッシュボードからリアルタイムに把握したりなど、BI(ビジネスインテリジェンス)機能のニーズは拡大している。

 データの可視化機能はソフトウェア価値を高めるために有効な機能だが、自社のビジネスアプリケーションに可視化の機能を追加するのは要件や実装コストが嵩み、すぐに実現するのは難しい。

 ソフトウェア提供ベンダーのこうした課題を解決するため、組み込み型BIが注目を集めている。市場は既に米国で拡大の動向が見られるが、日本ではまだまだ広まっていないのが現状だ。

 インフラジスティックス・ジャパンは、オンラインイベント「The Productive Way'24」(2024年9月18日)を開催。グローバルの視点からソフトウェア製品のトレンドと共に、効率的な開発手法として「組み込みBI」の有用性について解説した。本稿はイベントから一部抜粋し、グローバルの開発トレンドを先行して導入する国内企業の事例を紹介する。

既存アプリにBI機能をスピード組み込み SDKならではの強みとは

photo インフラジスティックス・ジャパンの東 賢氏

 Revealは、データを可視化するためのBI機能をまとめて提供するSDK(ソフトウェア開発キット)だ。綿密に設計されたUI(ユーザーインタフェース)で多様なグラフ表示をアプリケーションに簡単に組み込める。例えば、標準機能でKPI(重要業績評価指標)を大きく表示したり、データをグラフ化したり、表計算ソフトのようにグリッド形式で表示して並べたりといった機能を簡単に実装できる。

 インフラジスティックス・ジャパンの東 賢氏(代表取締役)は、次のように説明する。

 「データ可視化の機能はエンドユーザーに加え、経営層が利用するケースも多いです。経営判断として情報を見る場合、経営環境の変化に応じて多様な切り口の可視化が求められます。データ自体は製品に蓄積しているものの、視覚的に分かりやすく提供する機能を持つ製品はまだ少数です。SDKを活用してBIを組み込むことは、競合他社に優位となる機能をスピード実装できる貴重な機会です」

 既存のアプリケーションの構造を崩さずに迅速に組み込めるのも、SDKであるRevealの強みだ。アプリケーションのデータの呼び出しはもちろん、連携するデータを統合して表示するといった操作も可能になる。

photo Revealの特徴と画面イメージ(出典:インフラジスティックス・ジャパン提供資料)

 Infragisticsは1989年に米国で設立されたソフトウェア開発会社だ。2000年以降は主に開発者向けのUIライブラリ、BIツールなどを展開し、日本法人は2006年に設立された。

 データの可視化は、表現やデータの見方に“お国柄”の他、業界ごとの商習慣や特有の要望が多い領域だ。それ故に、海外ベンダー発のツールでは日本企業好みの表現や操作ができるかどうか気になるだろう。Revealの開発元は米国のInfragisticsだが、日本のアプリケーションベンダーが以前から採用している。

累計1万社が利用する会計・人事給与アプリケーションでも採用

photo キヤノンITソリューションズの小野武彦氏

 キヤノンITソリューションズは、自社開発の会計・人事給与アプリケーション「SuperStream-NX」(スーパーストリームエヌエックス)にRevealを採用している。同社はRevealの前身「ReportPlus」(レポートプラス)の時代から、10年近くInfragisticsのSDKを自社アプリケーションのデータ可視化に活用している。

 キヤノンITソリューションズの小野武彦氏(SuperStream企画開発本部 付本部長)は次のように語る。

 「SuperStream-NXは累計1万社以上に導入されている会計、人事給与アプリケーションです。Revealを利用して、SuperStream-NXの全検索画面から注目すべきデータをグラフ化する機能を組み込んでいます。これによって、お客さまの財務、人事部門が経営層に報告するレポートを即座に作れるようになりました。別途BIツールを立ち上げる必要がなく、SuperStream-NXの中で業務を完結させられるのでお客さまから好評を得ています」

SuperStream-NX

 SuperStream-NXはシリーズ累計1万社が採用した会計・人事給与アプリケーション。クラウドサービスとしての提供や、ペーパーレス化に向けたデジタルインボイスの対応、改正電子帳簿保存法やインボイス制度といった新しい法制度に対応した機能の実装など、変化するビジネス環境に柔軟に対応する。

photo グラフイメージ(出典:キヤノンITソリューションズ提供資料)

https://www.superstream.canon-its.co.jp/product


日本のニーズに対応した機能を追加

 長年にわたってInfragistics製品を採用する理由には、使い勝手や開発効率の良さ以外にもインフラジスティックス・ジャパンの体制にも魅力があるからだと小野氏は説明する。

 「SuperStream-NXのデスクトップ版は、一度グリッド表示で取り出したデータをアプリケーション内のメモリに保持して、グラフ化などを高速処理する機能を搭載しています。これは日本から要望を出して盛り込まれたものです」

 開発元が海外の場合、日本発のリクエストが反映されにくいというケースがあるが、「日本チームのメンバーが米国の開発チームと密に連携し、要望した機能が実装するまで必要性を訴えかけ続けてくれました」と小野氏は対応を評価。「この会社であれば信頼できると感じられた出来事の一つです」と振り返る。

Revealで広がる自社製品の可能性

photo リゾームの舩越 卓氏

 商業施設や専門店に向けて顧客情報の集計・分析や売上・賃料分析を支援する「戦略会議NEXT」、業務支援システムなどを開発・販売するリゾームもRevealを活用している企業だ。

 「当社の分析ツールは店舗の売り上げを基幹システムの顧客情報と連携して整形し、集計する機能が強みとして挙げられます」と、リゾームの舩越 卓氏(業務ソリューション事業グループ 執行役員)は説明する。

 リゾーム独自の分析機能を提供して顧客の支持を集める一方、さらなる機能強化には課題があったと舩越氏は振り返る。

 「以前はデータのグラフ化などに十分に注力できていませんでした。可視化の機能は、単にグラフを作れば良いといった単純なものではありません。さまざまなデータを取り込み、画面上でパラメーターを変えながら適切に表示する機能を一から開発するには膨大な工数がかかります。お客さまのご要望に細やかに応えるにも、人手や時間がかかり素早い対応ができていませんでした。そこで外部のBIツールを組み込む方法を検討していました」

戦略会議NEXT(顧客分析システム)/戦略会議NEXT(売上分析システム)

【リゾームの分析パッケージシステム】

  • 戦略会議NEXT(顧客分析システム):

 会員カードより得られた顧客情報の分析・抽出パッケージ

  • 戦略会議NEXT(売上分析システム):

 商業施設、ショップの売上・賃料分析に特化したマネジメントパッケージ

photo 戦略会議NEXTの概要(出典:リゾーム提供資料)

https://www.rhizome-e.com/solution/#solution1


組み込み型だからこそ提供できる価値

 これまでリゾームは、自社製品の可視化機能を補うために専任の「BI担当」を顧客に配置していた。BI担当は外部のBIツールを使って顧客のダッシュボード構築を支援していた。だが、顧客はBIツールを別途導入しなければならず、アカウントや利用権限の管理なども必要だった。

 「お客さまに二重のコストと管理を強いる状態を解消するには、当社の製品にBI機能を組み込む必要がありました。アプリケーションへの組み込みが可能な製品を探してみると、画面埋め込み型のものがほとんどでした。そのような中、私たちの要件に合致したのがRevealでした」(舩越氏)

 1つのアプリケーションの中でウィンドウを制御したり、その操作結果を取り込んだりといった操作は、アプリケーション組み込み型でなければ実現が困難だ。Revealの場合、組み込んでしまえば自社製品の中でGUIの設定を変更するだけで済む。BI担当も、外部のツールに頼らずに自社製品で顧客の要望に応じたデータの可視化ができる。

 BI機能を実装するSDKにはオープンソースソフトウェア(OSS)の選択肢もあるが、アップデートやセキュリティ対策などの手間がかかる。開発の効率性と製品の品質を考えると、商用サポートを受けられるRevealは魅力的だ。

 リゾームは現在、アプリケーションにRevealを組み込んだバージョンを開発している。社内テストが完了次第、サービスをリリースする予定だ。

カスタマイズも簡単 アプリケーションベンダーの味方に

 きめ細かいカスタマイズなどはBI専用ツールの方が柔軟だが、扱いが難しいケースもゼロではない。Revealはある種の割り切りを前提として必要な機能を盛り込み、カスタマイズもセールスエンジニアが顧客との打ち合わせなどで対応できる点もポイントだ。それ以上に「SDKとしての導入のしやすさ、コストや管理面のメリットは大きい」と舩越氏は話す。

 小野氏も「お客さまにライセンス費用がかからずに可視化の機能を採り入れられる点は評価が高い」と同意する。

 Revealはエンドユーザー数が増えても費用が変動することはない。ユーザー数に応じて課金する製品の場合、データドリブン組織を目指して全社でデータの可視化を進める際のハードルの一つになりかねないが、その点でRevealは安心だ。

 企業がDXを掲げ、多くの業務でデジタルツールが使われるようになった。ITリテラシーの高い人材以外もビジネスアプリケーションを利用するようになり、デジタルツールのユーザビリティーに対する期待がますます高まっている。こうした部分を専門の開発ツールに委ねることができれば、自社アプリケーションで本当の強みになる機能の開発に多くのリソースを投入できる。商用サポートが充実しているRevealはアプリケーション開発企業にとって、イベントの名称が示す通り大きな助け(The Productive Way)となるだろう。

The Productive Way'24 ダイジェスト動画



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提供:インフラジスティックス・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2024年11月30日

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