多くの企業において、IT予算の大半は既存システムの運用や保守に費やされている。厳しいビジネス環境を生き抜くためには、戦略的分野へのIT投資の拡大が急務だ。デジタル化が進んで保守対象のシステムは増え続け、運用担当者の不足も深刻だ。
特に問題なのが、既存システムを動かすサーバやネットワーク機器などのハードウェアが一定の年数でメーカー保証終了(End of Service Life=EOSL)を迎えることだ。保証終了後のメーカー保守は、保証期間内よりも費用が高額になる。
この問題を解決する選択肢の一つが、EOSL製品の保守をメーカー以外に委託する「第三者保守」だ。動作確認を取った中古部品を使ってメーカー保証終了後の機器を保守することで、機器の長期利用を可能にする。メーカー保守よりも低コストで運用・保守できれば、浮いた費用を「攻めの投資」に振り分けられる。
日本における第三者保守サービス事業者の草分けであり、全国に累計2500社の顧客を抱えるデータライブの山田和人氏はこう語る。
「欧米諸国の多くの企業は第三者保守サービスを利用しています。日本では認知度が低く、特に基幹システムをはじめミッションクリティカルな領域での利用が進んでいません。当社がこの“壁”を打ち破り、日本企業のIT予算の再配置を促進できればと考えています」
しかし、「メーカーの純正保守でなければ不安だ」と考える企業はまだ多い。こうした不安を払拭(ふっしょく)するためにデータライブが長年取り組んできたのが、保守品質の向上だ。
保守品質には2つの領域があると山田氏は語る。一つは、EOSL製品の保守で使う中古部品の「質と量」を確保することだ。「EOSLのIT機器の部品は、必要な時になかなか手に入りません。そのため当社は部品の備蓄を重視しており、埼玉県の宮代町にある『KSC GRANDOCK』で1万1000平方メートルのスペースに29万点以上の部品をそろえています」
備蓄在庫とは別に、同社は既に保守契約を結んだ企業が利用するシステムのための保守用部品を都内と大阪市の「出動倉庫」にも保管している。
一般的な中古パーツ事業者が在庫の回転を重視するのに対して、顧客の安心のために豊富な在庫を持つデータライブの考え方は一線を画すと言えるだろう。
同社は、確保した部品の品質を確保するための検査体制を整えている。部品の品質に関する独自基準を設け、もともとITベンダーで保守を担当していたエンジニアが検査を実施。パスしたものだけを在庫として確保している。
データライブは、契約機器の保守部品の在庫状況を顧客に開示するサービス「smart3pm」(スマート・スリー・ピーエム)を2025年4月に始めた。契約した機器の部品の在庫状況を顧客自身がいつでも照会できる。
「日々変化する在庫の保守準備状況を開示することで、お客さまの不安を解消できると考えました。部品在庫に対する当社の自信の表れでもあります」
もう一つの保守品質向上策が、「障害対応力」の向上だ。データライブは障害発生から復旧までのダウンタイムを短縮させる取り組みを評価する指標として「9つのKPI」を設定し、達成状況を顧客に開示している。
同社の木澤超氏は次のように話す。
「ある地方のインフラ関連企業が持つ末端のシステム保守をお受けしていましたが、お客さまは中核システムに第三者保守サービスを利用することには懸念を抱いていらっしゃいました。そこで、『9つのKPI』をはじめとした保守品質向上の取り組みや保守作業の実績などを数値として示したところ、より大きなシステムへの第三者保守導入を検討していただけることになりました」
別の顧客には、保守対象システムに対する「9つのKPI」の達成状況を月例会議で特別に報告している。「『従来のメーカー保守ではこのような報告を受けたことがなかった』と驚かれました。対応品質も『メーカー保守と遜色(そんしょく)ない。データライブの保守品質向上の取り組みが運用の質を向上させている』と感謝していただいています」(木澤氏)
地道で正確な情報開示が、第三者保守の信頼拡大につながっている。
「生成AIの急速な進歩に象徴されるように、ITの進化は加速しています。新しい技術を導入できなければ、事業の拡大どころか存続も難しい状況です。そのための人材と費用を創出するため、第三者保守で既存システムの継続活用という選択肢を検討していただきたいと思います」(山田氏)
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提供:データライブ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年7月22日