Salesforce、HubSpot、Dynamics 365などの「SFA/CRM」が普及して久しいが、「現場が日々活用して生産性を向上できている」 という声を聴く機会は少ない。営業現場にとって、日々の顧客情報や商談内容の入力は大きな負担になっている。マネジメント層はデータ活用のために入力させたいが、担当者は面倒なだけでメリットを感じず不毛な対立構造が生まれている。本記事では、AIを活用してこのジレンマを解消し、営業の生産性を高める具体的な方策を探る。
顧客情報や商談内容を入力し、月末にはレポートを作成して経営判断やパイプライン管理に活用できている企業は、実際のところどれほどあるだろうか。
ベルフェイスが従業員1000人以上の大手企業を対象に実施した調査によると、Salesforceへの入力状況について「おおむね入力されているが多少の漏れがある」と回答した企業が60.4%を占め、「ほぼ漏れなく入力されている」と答えた企業はわずか23.4%にとどまった。つまり、7割以上の企業で入力漏れが常態化している。
入力漏れの主な理由としては、「入力が面倒だから」が最も多く72.6%を占め、次いで「営業活動の時間が削られるから」(39.3%)、「時間がないから」「入力してもメリットを感じないから」(各38.1%)が続く。さらに、約9割の営業責任者が「Salesforce入力等の事務作業が原因で、営業メンバーの新規商談創出や提案活動が滞っている」と実感していることも分かった。
ベルフェイスの中島一明氏は、この問題の本質について次のように指摘する。
「CRMやSFAは、マネジメント層と営業担当者の利害が相反するサービスだと思っています。マネジメント層にとっては営業状況を把握するために記録が不可欠ですが、営業担当者にとっては入力しても成果に直結せず、むしろ時間を奪われるだけ。できるだけ入力を避けたいというのが本音です」
前述の調査によると、営業チームの管理業務において最も負担に感じるのは「Salesforce入力の確認・督促」(65.8%)だった。マネジメント層の約7割が週1回以上の頻度で部下に入力を促しており、さらに経営層から入力率やデータの精度に関する指摘を受ける頻度も、「週1回程度」が29.7%、「月2〜3回」が32.5%と高水準だ。
中島氏は、こうした現場の矛盾を次のように表現する。
「上司は『Salesforceに入力しろ』と言いながら、翌日には『デスクワークをしている暇があるならお客さんに会いに行け』と言う。こうした相反する指示の中で、現場も管理職もストレスを抱えています」
さらに深刻なのは、入力されたデータの質にも問題があることだ。項目の多くが未入力のままで、自由記入欄に日報のような感想が書かれているケースも多い。見込み度の評価基準は営業担当者ごとに異なり、情報の一貫性が保たれていない。結果として、マネジャーは営業担当者を集めて口頭で進捗(しんちょく)を確認せざるを得ず、入力作業に費やした時間が無駄になっている。
営業現場のこうした課題に、ベルフェイスはSalesforce入力エージェント「bellSalesAI」で応えている。商談の会話からAIが必要な情報を自動で抽出して、Salesforceの該当項目に自動入力するAIエージェントだ。対面商談ではスマートフォンアプリ、オンライン商談、ソフトフォンではPCアプリを利用する。
中島氏はbellSalesAIの特徴として、次の3点を挙げる。
1つ目は、高精度な構造化データの生成だ。AIが商談音声をテキスト化し、商談相手や話題、進捗状況などの情報を自動で抽出。Salesforceの各項目に正確に入力することで、どのような内容が共有されたのかを高い精度で記録できる。抽出項目はカスタマイズできるので、自社の営業プロセスに最適化できる。
2つ目は、リアルタイム処理だ。商談中の音声をその場で解析するため、オフィスに戻って音声ファイルをアップロードするといった手間がかからない。商談終了後数分以内にSalesforceへの入力が完了する。データはPCやスマートフォンに残らないので、情報漏えいのリスクを抑えられる。
3つ目は、金融機関も採用するセキュリティと、大企業の複雑な組織体制に対応する管理機能だ。オンライン商談システム「bellFace」で培った豊富な導入実績を生かし、金融機関が求める厳格なセキュリティ水準をクリア。併せて、大企業の複雑な組織運用にも対応可能な権限設定や管理機能も備えている。
こうして構造化されたデータが蓄積されることで、検索や分析が容易になり、営業現場の情報をデータ資産として活用できるようになる。これにより、現場マネジメントの精度向上や提案活動の質の強化、PDCAサイクルの高速化を実現できる。つまり、入力業務の効率化だけでなく、顧客管理の高度化や営業プロセスの標準化にも大きく寄与する。
中島氏は競合サービスとの差別化について、次のように語る。
「会話をテキスト化するだけの議事録サービスと違い、bellSalesAIは今後のAIエージェント普及を前提に「構造化データ」としてSalesforceに蓄積します。そのために、企業がSalesforceに記録したい項目に合わせてプロンプトを“オーダーメイド”で設計しています。これにより、単なる“入力補助”にとどまらない“完全な自動入力”を実現しています」
bellSalesAIの強みを支えるのは、Salesforceに特化した開発体制だ。同社の大沼秀紀氏はこう説明する。
「複数のSFA/CRMと連携できるサービスもありますが、私たちはユーザーがSalesforceの機能を最大限に活用できるように、Salesforceに特化して開発をしています。だからこそ高い連携性を実現し、顧客が驚くほど圧倒的なスピードでプロダクトを進化させられるのです。機能改善・新機能リリース速さは、当社ならではの強みです」
bellSalesAI金融機関を中心に幅広い企業に導入されている。商談にとどまらず、顧客との接点がある場面で広く利用できる。導入企業に共通するのは、Salesforceを利用し、データ活用に積極的である点だ。教育分野では、教師と生徒の進路相談記録の作成にbellSalesAIを活用している事例もある。
導入効果も顕著だ。ある投資用不動産販売会社やSaaS企業は、営業1人当たりのSalesforce入力時間を月15時間、約80%削減した。大手ITソリューションベンダーは商談中のメモ作業を廃止して顧客との対話に集中できる環境を整えた結果、受注率が140%も向上したという。
特にbellSalesAIの導入が進んでいるのが金融業界だ。熊本県の肥後銀行では、金融商品取引法に基づく面談記録作成が大きな負担になっていた。従来は窓口業務終了後、記憶を頼りに1件当たり約60分かけて記録していたが、bellSalesAI導入後は20分以下に短縮(約67%削減)された。「iPad」やスマートフォンでbellSalesAIを起動しておくだけで、面談終了の数分後には記録が自動的に完成する。
もう一つの大きな成果は、記録の「網羅性」と「情報の質」の均一化だ。従来は担当者によって表記のばらつきがあったが、AIによって構造化されたフォーマットで出力されるようになり、組織全体でのデータの品質向上につながった。AIがフラットな立場で必要情報を抽出するため、担当者の主観や記憶に依存せず、正確で客観的なデータが残る点もメリットとして大きい。
金融機関は監査対応や金融庁への報告書類など、高い精度と信頼性が求められるが、bellSalesAIはその厳格な要件にも対応可能だ。ガバナンスとコンプライアンスの強化と業務効率化の両立を実現している。
大沼氏は次のように語る。
「大企業や金融機関で導入を検討する際、要件の約7割はセキュリティや権限設定、プライバシーポリシーなどの管理機能に関するものです。当社はオンライン商談システム『ベルフェイス』を通じて、大企業や金融機関への豊富な導入実績を重ねており、そうした“お作法”を熟知しています。これこそがbellSalesAIの大きな強みです」
ベルフェイスは、1カ月間のトライアルを用意している。ベルフェイスが企業の要望を丁寧にヒアリングし、抽出したい項目に合わせてAIプロンプトをオーダーメイドで設計。その上で、実際の営業現場で商談をデータ化し、手入力と比較しながら精度を検証する。効果を実感するまでが早く、多くの企業が2週間以内に本導入を決定しているという。自社業務との相性を試しながら確認できる点が、導入ハードルを大きく下げている。
トライアル後はSalesforceとの連携作業に移る。導入期間は企業規模や業種によって異なるが、短い場合は約1カ月。銀行など慎重な検証が必要なケースでも、セキュリティチェックを含めて2〜3カ月程度で完了することが多い。
大沼氏は、bellSalesAIの価値は単なる入力自動化にとどまらないと強調する。
「私たちが今、最も注力しているのは、その先です。構造化されたデータを蓄積することで、新たな可能性が広がります。営業現場がボタン1つでデータを活用し、次の一手を打てる。そんな世界を実現したいと考えています」
商談中に顧客の質問に対して社内ナレッジベースから最適な回答をリアルタイムで提示する機能や商談終了後にトップセールスとの比較分析を行い、改善点を自動でフィードバックする営業育成機能などを開発している。bellSalesAIは、単なる入力代行ツールにとどまらず商談支援から営業育成まで一貫してサポートする営業AIエージェントへと進化しようとしている。
このビジョンに対し、中島氏も次のように言葉を重ねる。
「日本は米国に次ぐSalesforce市場です。まずは国内で確かな実績を重ね、圧倒的なシェアを確立することが先決です。一方で、Salesforce市場の約6割は米国市場が占めています。米国でも入力課題は同様に存在しており、日本で顧客基盤を確立次第、米国展開を開始します」
ベルフェイスの調査によると、Salesforceへの入力業務が自動化された場合、9割以上の企業が「売り上げが増加する」と回答している。その背景には、単なる入力時間の削減だけでなく商談の質の向上、受注率の改善、データ品質の向上といった複合的な効果がある。
非効率で不毛な「手入力」を終わらせることで営業担当者は顧客との対話に集中でき、マネジメント層は戦略立案に時間を割け、経営層は正確なデータに基づいて意思決定できる時代が到来した。bellSalesAIが描くのは、「入力ゼロで売り上げを加速させる」新しい営業組織の姿だ。
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提供:ベルフェイス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年12月24日