フィッシングメールやなりすましアカウントが珍しくない昨今、企業の情報発信における信頼性と顧客保護の重要性は増すばかりだ。また、情報収集が「検索」から「AIとの対話」へと変化する中で、企業の公式サイトを支える「ドメイン」がセキュリティやブランド保護に有効な手段となっている。
GMO「.貴社名」申請・運用支援サービスを手掛けるGMOブランドセキュリティ代表の中川光昭氏は、「ドメインの取得は、企業のブランド戦略と情報管理の根幹をなす重要な意思決定であり、全社的な視点が求められます」と説く。その真意と、「ブランドTLD(トップレベルドメイン)」の取得意義について同氏に話を聞いた。
人間がインターネットで情報を検索するだけでなく、AIが膨大な情報の中から信頼できる一次情報を自動的に抽出して回答を生成する時代に移行しようとしている。AIが最も重視するのは、出典の“信頼性”だ。
ブランドTLDは、インターネットの根幹であるルートゾーンに記録されるトップレベルドメインであり、「.jp」や「.com」と同様に偽造が不可能な仕組みとなっている。ICANN(世界規模でドメイン名を管理する非営利法人)による厳格な審査を経てルートサーバに書き込まれることで真正性が保証され、Webブラウザやメールソフトなどからも正規のドメインとして認識される。
ブランドTLDを取得することで、AIが公式サイトの発信情報だと判断しやすくなり、AI検索における信頼スコアを高める効果が期待できる。中川氏は「AIがフィッシングサイトを容易に生成できる時代において、ブランドTLDは公式性を証明する手段としてインターネットの信頼基盤を支える存在になるでしょう」と語り、続ける。
「さまざまな詐欺対策技術が登場していますが、ルートに書き込まれた情報を上書きできる技術は存在しません。企業は、ブランドTLDによって『自分たちはここにいる』と明確に示せるのです」
経営リスクの一つに、関連企業が独自に取得し管理不能となっている「野良ドメイン」の存在がある。
ブランドTLDの下で関連会社のドメインを集約すれば、煩雑な運用を効率化できる。ドメインをブランド資産の一部と捉え、組織や社名、ブランドの階層に沿って統制することで、企業全体で統一した運用が可能になる。サプライチェーン全体でブランドTLDを運用すれば関連企業のドメインも一元管理できるため、正規・偽のサイトやメールの区別が明確になり、なりすましなどのリスクの低減につながる。ドメイン管理のセキュリティポリシーを統一でき、全体のセキュリティ水準の標準化も可能だ。
情報システム部門からは「効果が見えにくい」と懸念の声が上がりやすい。しかし、メールセキュリティも含めドメイン運用全体を再設計すれば自社ブランドの信頼性や価値を高められる。結果、ブランドTLDの取得や維持費用を上回る価値をもたらす可能性がある。ブランドTLDへの投資は企業活動として検討に値する取り組みだろう。
こうした効果は、短期的な全面移行ではなく段階的な構築の中で現れる。情報システム部門が経営層を説得するには、「.co.jp」などからの即時全面移行ではないと伝えることが重要だ。中川氏は「5年から10年先を見据え、情報管理面で大きなアドバンテージを得るための布石と捉えるべきです」と語り、長期的な視点の必要性を強調する。
この取り組みは、都市開発に例えると分かりやすい。街の機能を止めずに新たなインフラに入れ替えるように、企業もビジョンを持ち、ガバナンスやプロモーション、マーケティングといった「企業ブランドづくり」を段階的に進めることが求められる。
懸念される技術・運用面の課題についても、GMOインターネットグループには豊富な実績がある。2012年のファーストラウンドでは、日本企業の申請のうち83%を同グループがサポートした。既存ドメインからの移行計画や長期的なブランドTLD活用戦略の策定においても、経験豊富なコンサルティングチームが顧客企業に伴走するという。
今回のセカンドラウンドの申請受付は、2026年4月からわずか3カ月間。次回以降の募集時期は未定であるため、今こそ企業がドメインを「最強のブランド」、すなわち“資産”として位置付け、長期的なビジョンに基づいたインフラ整備に着手する絶好の機会と言えるだろう。
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提供:GMOブランドセキュリティ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年12月3日