心の余裕が組織を変える 実践例から学ぶ「運用DX」の第一歩「アラート疲れ」「表計算ソフト管理」からの脱却

本来、ITは事業成長に貢献し得るものだ。しかし非効率なIT運用が成長を阻み、「IT部門はコストセンターである」という悪印象を与えている。IT部門は、運用DXの第一歩をどのように踏み出せばいいのか。初動対応時間の大幅短縮や月100時間の作業削減などのコスト削減を実現した2つの事例から学ぶ。

PR/ITmedia
» 2026年01月09日 10時00分 公開
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 鳴りやまないアラート通知、表計算ソフトウェアを使った対応実績管理の手間、夜間・休日の初動遅延――IT運用の現場はこうした課題に長年苦しめられてきた。システムの多様化や複雑化が進む中、運用担当者の負担は増す一方だ。だが改善しようにも、コストセンターと見なされて予算を確保できず、“第一歩”を踏み出せないIT部門は後を絶たない。

 前回の記事では、IT運用を「新しい価値を届けること」へと転換する運用DX(デジタルトランスフォーメーション)の考え方と、その実現手段として登場した「WebSAM Cloud」の製品ビジョンを紹介した。本稿は、WebSAM Cloudの前身である2つの製品WebSAM Automatic Message Call(AMC)とWebSAM IT Process Management(ITPM)の導入事例を通じて、IT運用の課題がどのように解消されて運用DXの第一歩をどう踏み出すかを探る。加えて、運用DXにおいて両製品が果たした役割をNECの小室智之氏と中山昌樹氏に聞いた。

「大量のアラート」「初動対応に時間がかかる」――この問題からどう脱却する?

小室氏 NECの小室智之氏(プラットフォーム・テクノロジーサービス事業部門 テクノロジーサービスソフトウェア統括部 運用DXサービスグループ シニアマネージャー)

 小室氏はWebSAM Cloud誕生の背景について、「IT運用の現場では、インシデント発生時に通知を受けてからチケットを起票するまでが一連の作業です。アラート通知を担うAMCとチケット管理を担うITPMを統合し、利便性を向上させました」と説明する。

 WebSAM Cloudは単に2製品を統合しただけのものではない。NECが掲げるDX推進を通じた価値創造モデル「BluStellar」で運用DXの中核を担うプラットフォームとして位置付けられている。

 つまりWebSAM Cloudの導入は、IT部門の「目の前の課題」を解決するだけでなく将来的な運用DXの実現を視野に入れた取り組みを可能にするものだ。運用DXの一歩をどのように踏み出せるのか。

図1 BluStellarのフレームワークに沿った提案の全体像。DX戦略の策定から運用設計、インシデント管理の高度化、運用代行まで企業の変革を一貫して支援する(提供:NEC)《クリックで拡大》

事例1:「メール管理の限界」を突破した製造業

 グローバルに事業を展開する製造業A社は、連結売上高は約2200億円、連結従業員数は約5300人を抱える。そのIT部門は約20人で運用業務を担っている。従来はクラウドインフラとオンプレミスインフラの監視にそれぞれ別のシステムを使い、両者から発生するアラートをメールで受信していた。複数のインシデントが同時発生すると対応漏れが頻発。対応の要否の判断や担当者への連絡はリーダー格の従業員に依存していた。

 2024年、A社はシステム更改のタイミングでWebSAM Cloud(導入当時はAMCとITPM)を導入した。選定の決め手は次の3点だ。

  1. UI(ユーザーインタフェース)が洗練されており起票項目などの設定変更を容易に実装できること
  2. 通報のタイミングや通報先、通報手段を柔軟にカスタマイズできる拡張性の高さ
  3. インシデント管理の仕組みを低コストで導入できること


中山氏 NECの中山昌樹氏(プラットフォーム・テクノロジーサービス事業部門 テクノロジーサービスソフトウェア統括部 運用DXサービスグループ プロフェッショナル)

 効果は導入直後の四半期で明確になった。アラートの内容や発生時間帯、重要度に応じて担当者を自動的にアサインしてメールや電話で通報する仕組みによって、夜間や休日でも対応漏れのない体制を確立できた。これによってインシデント発生時の初動対応が格段に早くなり、月間約100時間もの作業時間を短縮できた。中山氏は、A社の変化をこう説明する。

 「従来はアラートを受けてから担当者が内容を判断し、誰に連絡すべきかを考える必要がありました。WebSAM Cloudは、判断ルールを事前に定義することでアラート受信から担当者アサインまでの工程を自動化できます。A社の初動時間の短縮効果は、まさにこの仕組みによるものです」

 副次的な効果も得られた。インシデントに至らないアラートも含めて一元的にログ管理できるため、監査対応や報告書作成の効率化につながったという。ログは、AIによる予測分析にも将来的に活用される予定だ。

事例2:「表計算ソフトウェア管理」から脱却したサービスデスク

 B社は連結売上高は約3兆4000億円、連結従業員数は約10万4000人を抱える大手ICT企業だ。ITベンダー向けにサービスデスク業務を提供する同社は、約10人の運用担当者が顧客からの問い合わせ対応やインシデント管理を担っている。

 B社の課題は、大きな負担になっていた月間100件以上の問い合わせを表計算ソフトウェアに手入力する作業だった。某社のITSM(ITサービス管理)ツールを導入していたが、ユーザー数に応じた料金体系だったため、顧客ごとにインタフェースを提供すると利用料が膨らむ。顧客からの問い合わせは電話やメールで受け付け、手作業で管理せざるを得なかった。

 B社がWebSAM Cloud(導入当時はITPM)を選定した理由は、同社が必要とするインシデント管理機能をシンプルかつ低コストで導入できる点にあった。顧客ごとにプロジェクトを分けて運用できるため、顧客数の増加にも柔軟に対応できる。しかも月額料金制で、顧客数や対象となるプロジェクト数が増加してもインシデント起票を行うのみの顧客ユーザーは課金対象外となるため、運用費用は膨らまない。事業が拡大しているB社にとってこれは大きなメリットだった。

 「B社が以前使っていたITSMツールは多機能故に習熟のハードルが高く、これも表計算ソフトウェアとの併用から抜け出せない理由の一つになっていました。WebSAM Cloudは機能を絞り込み、かつ誰でも使えるUIを提供しているため、すぐに使いこなせます。NEC社内でも利用しており、運用現場で本当に必要な使う機能のみ実装してきたからこそ、すぐに使えるものになっています。導入後、B社は表計算ソフトウェアによる管理から脱却できました」(小室氏)

 導入のハードルも低かったという。B社がITPMの導入に要した期間はわずか5日間だった。導入から約3年が経過したB社は、1カ月当たり約15時間の作業時間と約25万円のコスト削減を実現した。インシデント対応履歴を蓄積していつでも参照できるようになったことで、類似事例を基にした迅速な対応が可能になった。ステータスの一覧管理により、作業漏れやオペレーションミスの防止にも効果を発揮している。

日本の運用現場にフィットして「すぐに使える」を実現

 NEC自身が「ファーストユーザー」として運用現場で使って現場の意見を反映する開発体制が、WebSAM Cloudの競合優位性を支えている。日本のIT運用に適応した設計思想を貫いている点も特徴の一つだ。

 その姿勢が端的に表れているのがUIとUX(ユーザー体験)だ。設定内容を事前検証できるシミュレーション機能や設定の一括登録機能など、導入時の負荷を軽減する工夫が随所に施されている。ユーザー企業からは「画面が見やすくて設定が容易」「すぐに実運用に入れた」と好評を得ている。

図2 WebSAM Cloudの運用ダッシュボード(提供:NEC)《クリックで拡大》

 既存システムへの影響が小さい点も見逃せない。WebSAM Cloudは通報機能とチケット管理機能が標準で利用可能なため、ユーザー企業の運用状況や体制に合わせて機能を柔軟に使い分けたり、組み合わせたりできる。既存の監視ツールからのアラートメールの送信先にWebSAM Cloudを追加するだけで、ノイズアラートのフィルタリングや自動通報の仕組みが使える。

 NECの「カスタマサクセスマネージャ」(CSM)による伴走支援体制も強みの一つだ。CSMは、導入時の問い合わせ対応、設定方法や使い方のアドバイスをするだけでなく、顧客の要望を開発チームにフィードバックして機能アップデートにつなげる役割を担うチームだ。「製品のフィードバックツールから頂いた要望を翌月に反映したことで、お客さまに驚かれたこともあります」(小室氏)

 WebSAM Cloudの前身のAMCとITPMは毎月のようにアップデートしており、2024年には17回の新機能リリースを実施した。「お客さまの課題は日々変わります。お客さまの声を機能向上につなげ、プロダクトを共に成長させる姿勢を大切にしています」

 近年、IT運用の高度化の鍵となっているのがAI技術だ。WebSAM Cloudに加わった機能に、生成AIによる「インシデント対応時の回答文の自動生成」や「対応履歴のサマリ生成」などがある。これらは運用の属人化を防ぎ、インシデント対応の標準化に寄与する。WebSAM Cloudはフリーミアム版と有料版があり、有料版には生成AI機能が標準で含まれる。

 過去の対応履歴をAI技術で分析してインシデントの類似事例や対処法をサジェストする機能も、今後早い段階でリリースする予定だという。「AIが得意なのは過去の事例から情報を抽出し、人間よりも早く対処案を提示することです。その強みを生かしつつ、最終判断は人間が担う。その切り分けが重要だと考えています」(中山氏)

WebSAM Cloudがもたらす「本質的な価値」

 WebSAM Cloudの価格は、統合前のAMCとITPMを合わせた金額よりも安価に設定されている。機能を絞り込んだからこそ実現できた価格だ。とはいえ、WebSAM Cloudがもたらすメリットは工数やコストの削減にとどまらない。IT部門の役割そのものの変革がその先にある。中山氏はこう述べる。

 「日々の繰り返し作業や雑務から解放されることで身体的な余裕が生まれ、それは心の余裕になります。その余裕こそが、お客さまの組織における変革の源泉になります」

 日々のアラート対応に追われる状況では、IT部門が本来取り組むべき業務に目を向ける余裕がない。反復作業から解放されれば、AI活用に向けたシステムの在り方を考えたり顧客満足度の向上につながる施策を検討したりする時間が生まれる。それこそがWebSAM Cloudの本質的な価値だ。

 WebSAM Cloudは今後、インシデント管理の高度化を起点とする機能を複合的・有機的に拡張するコンパウンド戦略を推進する。将来的には、経営層向けのビジネスモニタリング機能の提供や効率化で生まれた人材の再配置のためのリスキリング支援も予定している。

 IT運用を「システムを守ること」から「ビジネスに貢献すること」へ。その転換の第一歩として、WebSAM Cloudは運用現場の課題解決から始めてIT部門の価値を最大化するプラットフォームに進化し続ける。

 「無料トライアルを含めた情報はWebサイトの他、営業担当者からもご案内します。課題が明確な場合はピンポイントでソリューションを紹介し、『運用高度化』といった抽象度の高いテーマの場合はDX戦略の策定から支援します。社内実践の知見や業種別の実績を基に、お客さまの状況に合わせて提案しますので、気軽にお声がけください」(小室氏)

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