生成AIの活用拡大に伴い、PCは単なる業務端末ではなく事業推進の鍵となっている。ゼロタッチ展開やクラウド管理、DaaSを活用し、現場へのPC展開を迅速化する手法を考察する。
ビジネスの現場で生成AIの活用が進む中、PCは単なる業務端末ではなく、企業の事業構想を支える重要なツールとなっている。だが、従来のPC調達・展開フローでは、見積もりからキッティング、配布までに数週間以上かかることも珍しくなく、現場の試行錯誤やAI活用のタイミングを逃す要因になっている。また、固定資産としてPCを抱える所有モデルは、更新遅れや性能不足といった課題を生み、柔軟な経営判断の妨げとなりかねない。
これらを踏まえ、ダイワボウ情報システム(DIS)の担当者の知見を基に、PCのゼロタッチ展開やクラウド管理、DaaS(Device as a Service)を活用したPCライフサイクルの効率化と、運用負荷・セキュリティリスクの両立策を考察する。
――PCが現場で使える状態になるまでのスピードは、業務やAI活用に大きく影響します。この点についてどうお考えですか。
DIS担当者: AI活用が本格化するほど、PCにおいて重要になるのは性能スペックよりも「どれだけ早く使い始められるか」だと考えています。生成AIや業務AIは、実際に触りながら試行錯誤を重ねてこそ価値が見えてきます。しかし従来型のPC調達・展開では、見積もりから発注、キッティング、配布までに、数週間から場合によっては1カ月以上かかることも珍しくありません。この待ち時間そのものが、AI活用のスピードを大きく鈍らせてしまいます。
現場から「まずは試したい」という声が上がっても、環境が整う頃には熱量が下がってしまいます。こうした「環境準備がボトルネックになる時代」は、終わらせるべきだと考えています。さらに別の視点で見れば、この遅れは単なるIT課題ではなく、意思決定スピードの低下につながってきます。競合他社がすでに試している施策を自社では環境待ちで着手できない。こうした差が積み重なれば、AI活用の成果にも大きな差が生まれてしまいます。AI時代は、使いたいと思った瞬間に使えることが前提条件になります。そのためには、従来型から脱却し、調達・展開の在り方そのものを再検討・再設計する必要があると考えています。
――「デバイスとクラウドの両輪」がもたらす効果について教えてください。
DIS担当者: 「デバイスとクラウドの両輪」がそろうことで、PCは単なる箱ではなく、即座に業務につながる「入り口」となります。ゼロタッチ展開とクラウド管理を前提にすれば、端末は届いた瞬間から業務で使える状態になります。この即時性は、単なるIT部門の効率化にとどまりません。AI活用において重要なのは、仮説検証の回数です。試して合わなければやめて次を試す。このサイクルをいかに早く回せるかが成果の分かれ道になってきます。PC展開のスピードを上げることは、企業が「挑戦できる回数」を増やすことにつながると考えています。環境準備に時間がかからなければ、現場は遠慮なく試せる。結果として、AI活用の成功確率も高まってくるはずです。
また、クラウド管理を前提とすることで、セキュリティやポリシー統制も同時に確保できます。「速く試すのは危ない」「便利だが管理できない」といったジレンマを避け、AIのチカラを借りることで、スピードと統制を両立させられる点も重要です。デバイスとクラウドを連動して設計することが、競争力を左右する時代に入ってきていると考えています。
――PCを所有するリスクについてどうお考えでしょうか。
DIS担当者: 変化のスピードが加速する今、PCを「所有する」こと自体がリスクになりつつあります。AI PCのように技術進化が早い領域では、2〜3年後にはそのデバイスが最適でなくなる可能性が十分にあります。それにもかかわらず、固定資産として抱え続けることは、柔軟な判断を妨げてしまいます。
特に経営視点で見ると、PCを所有することは、減価償却期間という時間軸に縛られることを意味します。環境を変えたい、戦略を切り替えたいと思っても、資産が足かせになるケースは少なくありません。また、所有モデルでは、更新の判断が後回しになりやすく、結果として性能不足やセキュリティリスクを抱えたまま使い続けてしまう傾向もあります。AI時代においては「持ち続けること」よりも、「適切なタイミングで切り替えられること」が重要だと考えています。
変化を前提とした経営において、PCを固定資産として持たない選択肢を、より現実的な経営判断として検討すべき段階に来ているのではないでしょうか。
――DaaSを利用することで、コスト管理や更新計画、IT戦略にどのようなメリットがあるとお考えでしょうか。
DIS担当者: DaaSは、単に月額でPCを使える仕組みではないと考えています。この考え方の最大のメリットは、IT投資を一過性の「点」ではなく、継続的な「線」として捉えられる点にあります。コストを平準化できることで、更新計画が立てやすくなり、突発的な入れ替えや性能不足への対応も柔軟になります。特にAI PCのように世代交代が早い領域では、「いつ更新するか」を事前に設計できることが大きな価値につながってきます。結果として、現場は常に一定以上のスペックを使い続けることができ、AI活用の停滞を防げるようになります。
ゼロタッチは単なるデバイス展開手法ではなく、調達から管理、更新、廃棄までを含めたライフサイクルを検討していただくきっかけと捉えています。DaaSのような思想により、IT基盤の環境更新を止めずに済み、ITコストも予測できるようになるはずです。IT戦略と財務計画を両立させる選択肢として、DaaSモデルの思想は親和性が高いと考えています。
――複数OS・複数メーカー環境への対応について、DISの強みと今後の展望を教えてください。
DIS担当者: DISの強みは、特定メーカーや特定OSに依存しない点にあります。国内メーカーをほぼ全て網羅し、「Windows」だけでなく、「iOS」や「macOS」「Android」「ChromeOS」を含めたマルチデバイス、マルチOSゼロタッチ展開を長年支援してきました。多くの企業では、部門や用途によって異なるメーカー、モデル、サービスが混在し、その結果、調達や管理が分断されてしまいます。DISでは「iDATEN(韋駄天)」を通じて、商品検索から見積もり、発注、納期確認まで一元化し、こうした複雑さを裏側で吸収します。
また「iKAZUCHI(雷)」では、サブスクリプション型サービスの契約、更新、管理を集約して運用負荷を大きく軽減します。これらの共通認証基盤である「DIS-ID」でつなぐことで、調達と管理を分断しない一貫した運用が可能になります。今後DISが目指すのは、利用者や管理者が「どのデバイスか」「どの契約か」を意識せずに済む運用体験です。さまざまな違いを吸収し、スピードと柔軟性を提供すること。それが、流通という立場でDISが果たすべき役割だと考えています。
人材不足が常態化する中で、経営層、情シス部門は、これまで以上に多くの役割、判断が求められています。日々の管理・運用を回しながら、新たなセキュリティ対応やクラウド移行、AI活用の検討を担うことは、もはや自社や個人の努力で乗り切れる範囲を超えています。重要なのは、全てを自社や自分たちだけで抱え込まないことです。仕組み化できる部分は仕組みに任せ、社外の力を前提にした管理・運用へ切り替えていく。このような検討・判断が、これから重要なポイントになってくるのではないでしょうか。
DISは、全国のパートナーの皆さまとともに、こうした現実・課題に向き合ってきました。単なる製品供給ではなく、「人が足りなくても回り続ける管理・運用」をどう実現するのか。その答えを、ゼロタッチ展開、クラウド管理、そしてDaaSのような新たな考え方で見いだしていければと思います。パートナーの皆さまには、DISを「裏方の基盤」として活用していただきたいと考えています。調達や登録、物流、更新といった負荷の高い領域をDISが担うことで、パートナーの皆さまはより付加価値の高い提案や伴走支援に集中できるはずです。
人が足りない時代だからこそ、個人の頑張りに依存しない仕組みが必要になります。経営層、情シス部門、パートナーのみなさまと、DISがつながり、それぞれ本来の価値を発揮できる関係を築いていけること。それが、これからのIT運用と新たなビジネスを前に進める鍵になると私たちは考えています。
本記事は、ダイワボウ情報システムより提供された記事の一部をITmedia エンタープライズ編集部で整えたものです。
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