BIツールを導入する多くの組織から「ダッシュボード作成の工数が負担」「データを見ても改善行動につながらない」といった声が聞かれる。なぜ、数字を可視化するだけでは、現場は動けないのだろうか。
DX推進の旗印の下、多くの組織がBIツールを導入している。だが、その真価を生かし切れていないケースは多い。現場からは、こんな声が聞こえてくる。
「ダッシュボード作成に手間がかかりすぎて、本業を圧迫している」「数字の変化は見えても“なぜ”が分からず、次の打ち手につながらない」「結局、BIの画面をキャプチャーして表計算シートに貼り、コメントを手書きして報告資料を作り直している」……。
BIツールは導入した。データも可視化できた。なのに、現場の意思決定は変わらない。なぜ、可視化の「その先」に進めないのか。それを考えるには、あるべきデータ活用のサイクルを押さえておく必要がある。分かりやすい例えとしては、個人の健康診断が挙げられるだろう。
まず採血(データ収集)して数値化(現状把握)し、基準値や目標値と比較して良しあしを評価する(診断)。基準値外ならその要因を分析し、食生活を変えたり投薬(改善施策)したりした上で再測定(データ収集と診断)する。「データ収集→現状把握→診断→改善→データの再収集」のループを回すことがデータ活用の本質だ。
ここでBI活用の話に立ち戻ると、多くの現場はこのループの入口――「数値化・可視化」で止まっている。まず、ダッシュボードを作ること自体のハードルが高い。別の業務を抱える担当者が、BIツールの操作を習熟しながらレポートを整えるのは大きな負担だ。そして仮にダッシュボードができても、そこに並ぶのは「結果(What)」だけ。「なぜそうなったのか(Why)」が見えないため、「見て終わり」になってしまう。
「作る負担の重さ」と「見て終わりになる分析」という課題を、それぞれ別のアプローチで解決しているのが、ウイングアーク1stのBIツール「MotionBoard」だ。
MotionBoardは、基幹システムからIoT(Internet of Things)、SaaS(Software as a Service)まで、組織に散らばるデータを一元的に集約・可視化できる国産BIとして、幅広い業種で採用されている。そのMotionBoardが、生成AI(人工知能)を組み込んだ新機能で、BI活用の在り方そのものをアップデートしようとしている。
ダッシュボード作成は簡単だ。MotionBoardの「AIウィジェット」なら、汎用(はんよう)AIチャットのように、自然言語で指定するだけで、数分でダッシュボードを生成できる。
データ元を指定し、「売上分析ダッシュボードを作って」などと入力すると、数分でダッシュボードを自動生成する。売上推移や地域別分析、カテゴリー別売り上げといった網羅的なダッシュボードも自動で生成可能だ。
生成後も自然言語で調整できる。「月ごとの売上推移を絞り込めるようにして」と依頼すればインタラクションが追加され、「見やすくして」と言えばデザインが調整される。建設業のネットワーク工程表など、業界独自のチャートも生成できる。
そもそも「汎用の生成AIチャットでも分析は可能なのでは?」という疑問を持つ読者もいるだろう。AIチャットにCSVを放り込めば、それなりの分析は返ってくるからだ。しかし業務で活用するとなると、AIチャット単体では越えられない壁が3つある。
1つ目は「大量データの壁」だ。生成AIが一度に処理できるデータには上限があり、数万〜数十万件規模のCSVを投入しても処理し切れなかったり、時間がかかり過ぎたりする。この点、MotionBoardはデータベース側で集計した結果だけをAIに渡せるため、大規模なデータも扱える。
2つ目は「ハルシネーション(誤った情報)の壁」だ。AIチャットに直接データを渡して集計させると、集計ロジックがブラックボックスになる上、AIが事実と異なる数字を“それらしく”生成してしまうことがある。MotionBoardでは、まず人間がデータの集計ロジックを設定し、「この数字は正しい」と確認した上で、AIには分析だけをさせる仕組みにすることで、ハルシネーションが出るリスクを抑えている。
3つ目は「再現性の壁」だ。AIチャットは同じ質問でも回答が都度変わるため、「先月と同じ見方で、今月の数字を追う」という当たり前が保証できない。MotionBoardは一度作ったダッシュボードを保存しておけば、データが更新されると自動的にダッシュボードに反映される。
大量データを扱える基盤、数字の信頼性、定点観測を支える再現性。この3つを備えているMotionBoardだからこそ、AIによる分析が“現場で回せるもの”になる。
MotionBoardのAIウィジェットは、売り上げなどの数値データに、報告文書などの非構造化データを掛け合わせた瞬間にさらに力を発揮する。
例えば小売業で特定店舗が売り上げ未達(数値データ)だった背景を分析する際などには、「近隣に24時間営業の大型量販店がオープンした」「主力販売員が退職した」など、現場でしか分からないテキスト情報(非構造化データ)をAIに渡すことで、数値データだけでは見えない要因が明らかになり、次のアクションにつながる分析が可能になるのだ。下記の動画でもその詳細を確認できる。
MotionBoardでは店舗で担当者が直接入力できるフォームも備えている。「店長がドキュメントを電子メールに添付して送り、受け取った本部がシステムに入力する」といった煩雑なフローを経ずに、店舗で直接ダッシュボードに予実差異の理由を入力すれば、インサイトにすぐに反映される。
売り上げ未達の要因と改善案がリアルタイムに分析・提示できるため、BIツールを「データを見るだけ」から「意思決定・行動」につながる道具として生かせる。
画像なども扱えるため、製造現場の画像データから欠品している部品の品番を自動検知する、といったことも可能だ。画像分析に必要なプロンプトも10行程度で書ける。専用モデルの構築は不要だ。
こうした機能をいち早くPoC(概念実証)で試したのが建設機械メーカーのヤンマー建機だ。ベテランの暗黙知に頼っていた生産計画策定をMotionBoardで「見える化」して、属人性の解消と効率化を実現した。
同社は油圧ショベルやローダーなど小型建設機械を手掛けるメーカーだ。日々の生産計画には、数千種の仕様の組み合わせと製造ラインへの負荷を考慮する必要があり、ベテランが計画を練っていた。
その作業は、表計算シートで生産する機種ごとに色分けをして、手作業でコピー&ペーストを繰り返す、という地道なものだ。「Aを作った後はBを作れない」「これはできるだけまとめて作る」といった暗黙知も、ベテランが退職すれば組織から失われかねない。
PoCでは、この暗黙知を生成AIのプロンプトに落とし込んだ。生産上の制約や注意事項を言語化してAIに渡し、生産計画の素案を自動生成させる。それを基に、MotionBoardで、担当者がドラッグ&ドロップで最終調整する。新たな制約に気付けば、それをプロンプトに追記することで素案の精度が継続的に向上する。
その結果、生産計画策定にかかる時間が半分以下に短縮でき、若手への技術継承もスムーズになった。新入社員がいきなり熟練者レベルの計画を立てるのは難しいが、AIがノウハウを“知って”いるため、「どんな点に気を付けて計画を立てればいいか」も、MotionBoard上でAIから学べるのだ。
ベテランの経験や勘といった暗黙知を、AIによるノウハウとして形式知化し、AIと人の「共通の教科書」として活用させる――。これこそが、生成AI時代における組織知のアップデートの姿と言えるだろう。
新バージョンである、生成AIが搭載された「MotionBoard」は、単なるBIツールの進化版ではなく、業務フローとデータフローをつなぎ、現場のアクションを起動させるプラットフォームだ。
MotionBoardは、「売り上げが予算を下回ったらメール通知する」「ボタンを押したら現在時刻を記録する」といったビジネスロジックを、ビジュアルプログラミングで組み立てられる「フロー機能」も実装している。これによって、ダッシュボードだけではなく業務効率化のためのアプリを作ることが可能だ。フローから生成AIを呼び出せるため、「異常検知→原因分析→関係者への通知」までを自動で進められる。データを見るだけの世界から、データが現場を動かす世界への転換点だ。
ツールを配布して「あとは現場で頑張って」ではなく、業務に溶け込む形で現場に届けつつ、現場のデータを集めながらノウハウを言語化する。その上で、生成AIとBIが相互に補い合うことで、ようやく「見るだけのダッシュボード」から「データ活用を業務に組み込めるデータアプリ」へと進化する。
データ活用の成熟度で悩む組織にとって、生成AIが搭載されたMotionBoardは「可視化から行動へ」のブレークスルーになるだろう。
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提供:ウイングアーク1st株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年7月24日