“脱VMware”が急務となる中、多くの現場が求めているのは既存のハードウェア資産を生かしつつ移行の手間を省き、適正コストでシンプルに運用できるソリューションだ。特定ベンダーへのロックインからインフラを解放する最適解を探る。
「VMware製品に代わる仮想化製品を探すお客さまからの相談が急増しています。ライセンス更新で上位エディションに移るようにと求められるものの、費用が高い上に3年契約を強いられることから他の選択肢を探されているのです」――CXJ 代表取締役社長のロッシ・セリオ氏は、仮想化基盤を運用する企業で起きている異変をこう明かす。
VMwareのライセンス体系刷新により、必要最小限の機能に絞り込んでインフラコストを抑えてきた企業は上位エディションへの移行を迫られ、深刻なコスト増に直面している。
“脱VMware”の動きが広がる中、有力な受け皿として支持を集めているのがCitrixの仮想化基盤「Citrix XenServer」だ。日本国内でCitrix製品を独占的に販売するマスターディストリビューターとして2024年11月に設立されたCXJは現在、仮想化基盤の維持に苦慮する企業に向けて最適な代替策としてXenServerを提案している。
XenServerは、これまでCitrixのVDI(仮想デスクトップ基盤)に付随する仮想化基盤として利用されることが多く、汎用(はんよう)的なハイパーバイザーとして脚光を浴びることは少なかった。しかし、仮想化市場の混乱を受けてCitrixは大きく方針を転換。2025年7月、VDIに限らず多様なサーバワークロードをサポートする「オールワークロード対応」を明確に打ち出した。
「この方針転換を機にXenServerは仮想化基盤向けハイパーバイザーとして単体で利用できるようになりました。この発表以降、XenServerのユーザー数は全世界で急激に増加しています」(CXJの篠﨑智昭氏)
多機能化によって肥大化/高コスト化した仮想化製品から、必要十分な機能で安定稼働するシンプルな仮想化製品への回帰──適正なコストとシンプルな運用を求める現場が待ち望んだインフラの最適解としてXenServerは今、再始動を果たしている。
移行先を探す企業にとって、その仮想化製品が長期にわたり安心して利用できるかどうかは最大の関心事だ。さまざまな選択肢がある中でXenServerが注目される理由は、長年エンタープライズの現場で鍛えられた“枯れた技術”としての確かな実績にある。
XenServerのルーツは「完全な仮想化(エミュレーション)ではなく準仮想化によってパフォーマンスを高める」という設計思想で1999年に米ケンブリッジ大学で始まったプロジェクトにある。2007年にCitrix傘下に入ってからも活発に開発が続けられており、大規模な運用にも耐える性能を誇ってきた。篠﨑氏は「2000年代から多くの組織で使い込まれてきた実績が示す通り、十分に『枯れた』技術。直近の脱VMwareブームで急きょ組み立てたプロダクトとは一線を画す安定性が強み」と説明する。
企業が“脱VMware”を指向する最大の理由は、ライセンス体系がソケット単位でなくコア単位に変更されたことによるコストの暴騰だ。仮想化集約の効率化を目的にコア数の多いハードウェアを利用してきた企業にとって、これは大きな痛手となる。一方のXenServerはソケット単位のライセンス体系を堅持する。1ソケット当たりのライセンス費用は12万円(税別)だ。「VMware Cloud Foundation」(VCF)に移行する場合と比べて、構成によっては「ライセンス料金の総額が10分の1以下に収まるケースもある」(篠﨑氏)という。
「最新のAMD EPYC 9005シリーズのような高スペックのCPUを搭載したサーバでは、1ソケット当たり192コアに達します。これを2ソケットのサーバ3台でクラスタ構成にすると、合計コア数は1152個に達します。コア単位のライセンス料金では膨大な額になりますが、XenServerはコア数に依存しないため、同じ環境でもわずか6ライセンスで済みます」(篠﨑氏)
ライセンス料金には無制限のサポートが含まれる。ライセンス自体は安価でもインシデント数に応じたサポート費用が別途発生したり、問い合わせ回数に上限が設けられていたりする仮想化製品もあるが、XenServerであれば保守期間中は追加費用なしで何度でもテクニカルサポートを利用できる。
パートナー企業を経由しなければテクニカルサポートを受けられない製品も多いが、XenServerは開発元であるCitrixから直接サポートを受けられる。専用のサポート窓口(チャット)経由で問い合わせ可能であり、平日の営業時間内は日本国内の窓口による日本語サポートが受けられる。緊急の場合は24時間365日体制のサポート窓口(英語)も用意されている。
特定の機器やベンダーに縛られることなく、稼働ハードウェアを自由に選べる点もXenServerの特徴だ。デル・テクノロジーズやHPE、レノボ、富士通、日立製作所、Supermicroといった主要なサーバベンダーの製品を網羅した対応ハードウェアリスト(HCL:Hardware Compatibility List)をWebサイトで公開している。
「HCLに登録されたハードウェアは、単に技術的な動作確認だけでなく、Citrixとハードウェアベンダーの間で正式なサポート契約が締結されています。お客さまが利用しているハードウェアの保守期間が残っていれば、ハードウェアを買い替えずに仮想化基盤をXenServerに切り替えてハードウェアは継続利用可能です」(セリオ氏)
インフラの刷新において担当者を悩ませるのが、既存環境からの移行作業だ。データ移行に加えて、稼働中のOSにインストールされている専用ツールのアンインストールやドライバの入れ替えといった煩雑な作業が発生する。
XenServerの場合、複数の仮想マシンをまとめて移行するためのV2V(Virtual to Virtual)ツール「XenServer Conversion Manager」(以降、Conversion Manager)でこの作業を効率化できる。
「Conversion Managerは『VMware vCenter Server』と連携して移行対象の仮想マシンを自動検出するため、画面に従って操作を進めるだけでインポート作業を完遂できます。旧環境のツールの削除や『XenServer VM Tools』への置き換えなどの作業も移行プロセスの中でツールが自動的に実行します」(篠﨑氏)
移行後の運用管理についても、負担を抑える工夫が凝らされている。XenServerには複数のホストを「リソースプール」として一元管理するWindowsベースの集中管理インタフェース「XenCenter」が用意されている。
各ホストは相互に死活監視をしており、ハードウェア障害時にはHA(高可用性)機能によってリソースプール内の別のホストで仮想マシンを起動する。各ホストの状況に応じて仮想マシンの最適な配置先を判断する「ワークロードバランシング」機能は、どのホストに移すべきかを提示する他、細かいパラメーター設定に基づいて自動的に移動させられる。リソースの状況に応じたホスト電源のオン/オフなど、高度な運用自動化も可能だ。
パッチ適用などのライフサイクル管理機能も充実している。Citrixは2週間に1回ほどの頻度でセキュリティパッチやアップデートパッケージを、CDN(Content Delivery Network)経由で自動的に配布する。システムの再起動を伴わずにパッチを適用する「ライブパッチ」機能も備え、無停止で仮想化基盤を最新かつセキュアな状態に保つ。仮想マシン側にインストールするXenServer VM Toolsは、Windows Update経由での更新にも対応する。
IT環境を主体的にコントロールする「ソブリン性」(システム主権)においてもXenServerは有利だ。コア技術にオープンソースの「Xen」を採用しており、中身がブラックボックスにならず、特定ベンダーの都合で基盤が使えなくなるリスクを回避できる。
2026年7月にリリースされたバージョン9では、基幹系システムを支えることを想定したアーキテクチャの強化を図った。
メモリ/CPU間のデータ共有を効率化してパフォーマンスを高める「NUMA最適化」や、ホストOSレベルでの改ざんを防ぐ「ホストセキュアブート」が導入された。また、ハードウェアドライバのバージョン不整合による障害を防止する「マルチバージョニング」対応やネットワーク管理機能の改善など、運用性や性能、セキュリティを強化した。
周辺ソリューションとの連携強化も進んでいる。データ保護・バックアップソリューション「HYCU」がXenServerに対応する他、「Veeam」も対応プラグインを開発中だ。
ユーザーがXenServerによる新たな仮想化基盤に早期に適応できるように、CXJは支援体制の強化にも乗り出した。2026年夏ごろをめどにハンズオントレーニングを定期的に実施する計画だ。販売を担うパートナー企業のエンジニア育成から始めて、最終的にはパートナーが主体となってエンドユーザーをサポートできる環境を整備する。
高機能化によってライセンスコストが高騰し、使わない機能に予算を奪われる状況は健全だとは言えない。仮想化基盤の移行先で頭を悩ませる企業の担当者に、XenServerは明確な解を提示している。
「XenServerは『シンプルで分かりやすい』UIを用意しています。vCenterに慣れている方なら、悩むことはありません。使わない機能に無駄なコストと学習・管理の手間を割くべきではありませんし、無理に使おうとすれば特定の製品に縛り付けられてしまう恐れもあります。XenServerはそうしたロックインからお客さまを解放し、末永くシンプルに使える仮想化基盤を実現します」(セリオ氏)
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年8月7日