三菱UFJファクターが追求する、信頼の提供 安全な取引を証明する「デジタルトラスト」:「誰の目にも明快な真正性」を

三菱UFJファクターはPDF請求書のWeb配信サービスを拡大するに当たって「1秒1件」というタイムスタンプ処理速度の限界に直面。このボトルネックを突破しつつ、生成AI時代の改ざんリスクにも備える秘策とは。「ペーパーレス化」と「文書の真正性確保」を両立させた、同社の取り組みに迫る。

PR/ITmedia
» 2026年09月30日 10時00分 公開
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MUFGグループならではの信頼を顧客に提供するために

 三菱UFJファクターは、1972年に創業した日本最初期のメガバンク系ファクタリング会社だ。現在はMUFGグループの戦略的子会社として「ファクタリング」「代金回収」「でんさい一括ファクタリング」の3事業を展開する。中心事業の一つであるファクタリング事業は、B2B取引における売掛金の回収不能リスクを同社が保証するサービス「保証ファクタリング」を提供し、企業の資金繰りや事業拡大を支援している。

 同社は長年、保証ファクタリング業務における紙ベースの文化と手間という課題を抱えていた。保証ファクタリングは、季節要因に応じて売掛先の保証限度額を頻繁に変更する必要があり、その都度、書類への押印と郵送という手続きが発生していた。事務部門では顧客ごとに異なる表記揺れ(同一企業の社名表記の違いなど)を目視で確認・照合しており、ミスを防ぐために多大な手作業と慎重なチェックをせざるを得ない状況だった。そこで同社は手続きのデジタル化を図り、取引先がWebサイトで限度額変更を申請できる「ファクタリングオンラインサービス」の構築を2018年に始動した。

 オンラインサービスの構築に際して、システム面の課題にも直面した。同社の高橋成和氏(高は「はしごだか」)は当時の経緯をこう語る。

 「Webサイトで取引を完結させる仕組みは構築できたものの、既存の基幹システムにはデータを直接PDF化する機能がありませんでした。結果通知書や毎月の請求書といった帳票類をいかにデジタル化して顧客に届けるかが壁となったのです。そこでウイングアークの帳票基盤『SVF Cloud for Salesforce』を採用して、自社のSalesforce環境と連携させることで、PDF生成からオンラインサービスへの自動還元に及ぶプロセスを確立しました」

 しかし当初のサービスで顧客に提供したPDF請求書は「写し」の扱いであり、紙の原本も郵送する二重運用が続いていた。その理由として、同社の和田隆志氏は「タイムスタンプの有無」を挙げる。

 「弊社がPDF請求書にタイムスタンプを付与しなくても、受け取った顧客がタイムスタンプを付与すれば、電子帳簿保存法の要件を満たして電子データを原本扱いにできます。しかし『誰の目にも明快な真正性』を確保するためには、PDF請求書に弊社がタイムスタンプを付与するのが望ましいと考えていました」

 その折に、コロナ禍でオフィスの縮小やペーパーレス化が加速した。同社の顧客からも、紙ベースの取引を維持しつつ「経理処理用にPDF請求書を早く送ってほしい」という要望が増加し、同社営業担当が手作業で印刷・スキャンしてメール送付する業務が発生していた。顧客企業のセキュリティ強化に伴ってメールの添付ファイル受信が制限されるケースも顕在化し始めた。

 これらの経緯から、同社は2020年にウイングアークの帳票配信サービス「SVF Transact」を導入し、PDF請求書のWeb配信サービスを開始。2022年にはオプション機能である「タイムスタンプ」を追加導入し、発行するPDF請求書へのタイムスタンプ付与機能を実装した。Web配信するPDF請求書を原本として扱える環境がこうして整ったことで、同社は紙原本の郵送から電子配信への原則移行を進めた(紙による受領を希望する顧客には郵送運用を継続している)。

高橋氏 高橋成和氏(三菱UFJファクター 事務システム本部 システム部 副部長)

サービス拡大の壁となった「タイムスタンプの処理速度」を克服

 タイムスタンプが付与されたPDF請求書のWeb配信サービスは顧客に定着し、2026年7月時点での利用社数は600社を超えた。利用社の増加に伴い、新たな課題として浮上したのがタイムスタンプの処理速度だった。

 同社が当時利用していたタイムスタンプは、ウイングアークが外部のタイムスタンプ技術を使って処理する仕様だったため、タイムスタンプ付与の速度は1秒間に1件程度にとどまっていた。毎月数千件規模の請求書データを処理する夜間バッチ処理の時間を圧迫する懸念があり、将来的に全取引先へ電子配信を拡大するに当たってタイムスタンプ処理の速度がボトルネックとなる。この限界を克服する手段を模索していた同社は、ウイングアーク主催のイベント「UpdataNOW」で、デジタルトラストサービス「Trustee」に出会った。

 Trusteeは、ウイングアークが自社で公的認証を取得して提供するクラウドサービスだ。Trusteeのカタログスペックでは1秒間に1000件のタイムスタンプ付与が可能と知った高橋氏は、イベント会場でウイングアークの担当者に詳細を確認。既存の環境から契約の切り替えのみで移行できることを確認して、同社はTrusteeの採用を決めた。

 他製品との比較検討をせずにTrustee導入を即決した背景には、ウイングアークの技術開発に対する信頼があった。和田氏は決断の理由をこう語る。

 「国内でも限られた事業者しか取得していないタイムスタンプの公的認証を、ウイングアークが自前で取得してサービス化していることに驚き、感銘を受けました。既存システムからスムーズに移行できることも、判断の後押しになりました」

和田氏 和田隆志氏(三菱UFJファクター 事務システム本部 システム部長、執行役員)

生成AIを悪用したドキュメント改ざんリスクへの備えに

 Trusteeへのシステム切り替え自体はスムーズに進行した。高橋氏によれば、移行プロジェクトで大きな労力を投入したのは法律やセキュリティ面の調整だった。安全なサービスとして顧客に提供するために、同社は法的根拠の整理とセキュリティ要件の擦り合わせを慎重に進めた。中でも苦労したのは、利用約款の策定だった。

 「Trusteeのシステムを組み込んで『法的に有効かつ安全な請求書を発行するサービス』として成立させるためには、利用約款の緻密な作り込みが不可欠でした。弊社の顧問弁護士を交えて、ウイングアークの約款と弊社の約款を突き合わせ、法解釈などについてもサポートを受けながら二人三脚でサービスリリースの準備を進めました」

 こうしてTrusteeは2026年4月に本格稼働し、夜間バッチの処理時間を大幅に短縮した。従来は20分おきに完了状況を確認していたバッチ処理が、最初の確認タイミング(1回目の確認枠内)で全件のタイムスタンプ付与を完了できるようになった。これによりシステムリソースと運用スケジュールに大きな余裕が生まれ、将来的に全ての取引先にPDF請求書のWeb配信を拡大する処理能力を確保した。

 Trusteeの導入は、生成AIを悪用したドキュメント改ざんリスクへの具体的な備えにもつながった。

 タイムスタンプが付与されたPDFであれば、攻撃者が一般的な生成AIツールに投入してデータを改ざんしようとしても、ツール側でPDF内のタイムスタンプを検出すると改ざん指示の実行を拒否する挙動を示す場合が多い。仮にローカル環境で強引に書き換えたとしても、同社が保管するタイムスタンプ付き原本と照合すれば、改ざんの有無を瞬時に検知できる。

 高橋氏は、請求書発行側がタイムスタンプを付与して真正性を保証する意義について、顧客視点でのこだわりをこう語る。

 「当社がタイムスタンプを付与して非改ざん性を保証すると、書類を受領したお客さまにとっては検証や説明責任の負担を大幅に軽減できます。タイムスタンプがなければ、お客さま自身で手続きやダウンロード元の安全性を論理的に説明しなければならず、不要な負担を強いることになります」

組織統合で進む、Trusteeの横展開とデータ活用の展望

 Trusteeの導入によって、ファクタリング事業におけるスケーラブルで安全なデジタル取引基盤を確立した三菱UFJファクターは、次のステージを見据えている。組織再編に伴う、システムの横展開とガバナンス強化だ。

 同社は2026年4月に組織を再編。従来は「ファクタリング」「決済」「電子債権」と事業ごとに縦割りだった体制が、機能軸の横断的な体制に移行した。和田氏と高橋氏が所属するシステム部は、全事業のシステムを包括的に管轄する組織となった。

 以前の同社は、銀行統合の歴史的背景のために事業部門ごとに異なるアーキテクチャのシステムが乱立する状態だったという。組織統合を経て部門横断のシステム管理が可能になったことで、和田氏は今後の展望をこう語る。

 「ファクタリング事業で実績を上げたSVF製品群を他部門に横展開する機運は高まっています。既にSVF Cloud for Salesforceを使った社内帳票作成システムは他部門でも運用し始めており、今後は決済領域の請求書業務にTrusteeのタイムスタンプ機能を適用しつつ、ガバナンスを効かせていきたいと考えています」

図 ファクタリング業務を支える帳票システム(提供:ウイングアーク1st)《クリックで拡大》

 同社は業務のデジタル化にとどまらず、蓄積した取引データの活用を見据えている。年間万単位で増加するトランザクションデータを手作業や表計算ソフトウェアで分析することには限界があるため、ウイングアークのデータマネジメント基盤「Dr.Sum」やデータアプリ基盤「MotionBoard」の導入を検討している。「ウイングアークの製品をさまざまなデータ基盤と連携させて、データの分析や可視化を進め、お客さまの利便性向上や付加価値の高いサービス創出につなげたいと考えています」(高橋氏)

 こうした将来構想を実現する上で、同社はベンダーとのパートナーシップを重視する。和田氏はウイングアークのサポート体制を「システム障害が発生した際は、原因やロジックについて素早く論理的に説明していただけて、大変助かっています」と評価しつつ、「今後も国産ベンダーならではの『顔が見える支援』の体制に期待しています」と語る。確かな技術基盤と「顔が見える支援」によって実現したこの取り組みは、生成AI時代の安全な取引とデータ活用の可能性を切り開く一歩となりそうだ。

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提供:ウイングアーク1st株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年11月29日