生成AIの活用に乗り出したいものの、「どんなシステムを構築すればよいのか」「GPUやサーバをどう選べばいいのか」まで具体化できない――そんな企業が増えている。では、何から手を付ければよいのか。HPEとNVIDIA双方の正規一次代理店としてAI基盤の構築を支援するリョーサン菱洋に、失敗しないための考え方を聞いた。
生成AIのビジネス活用への関心が高まる一方、企業がシステム導入を進めようとすると、従来のITシステムとは異なる難しさに直面する。リョーサン菱洋の羽島雅実氏は「企業からの問い合わせ内容が変わってきています」と話す。
「従来は解決したい課題が先にあり、それに対してアプリケーションベンダーが最適なアプリケーションや動作要件、サイジングの情報を提示して、それを基に機器を選定するケースが多くありました。しかしAIの場合、『生成AIを取り入れたい』『現場の作業を効率化したい』という抽象的なイメージから相談が始まることが多いです」
このような背景には「AIを取り入れないと時代に取り残されてしまう」という危機感やAI活用を求める社会的な要請がある。一方、AI導入や運用を経験した企業は少ないため、自社に最適なアプリケーションの選定や導入までの段取り、具体的なシステム構成などを描けていないケースが増えているという。
では初めてAI導入を進める場合、企業はどのような点に気を付ければよいのか。
まず重要なのは、AIができることを正確に把握することだ。リョーサン菱洋は製造業や医療・ヘルスケア分野に多くの顧客を抱えており、特に製造業からの相談が増えているという。
製造業でのAI利用例としては、これまで熟練者が培ってきた技能をAIに学習させて作業を支援させたり、設計図をAIで判別してアドバイスを提示させたりするなど、技術者の負荷軽減や品質管理・向上につなげる活用方法が考えられる。医療分野では、検査画像の読み取りをAIが支援して、医師の負荷を軽減するといった用途がある。
一口にAIといっても、その種類はさまざまだ。従来型のAIは、与えられたデータに基づく予測や分析、自動化などが得意領域であり、需要予測や不正検知などで実績を上げてきた。現在のトレンドである生成AIは、文章や画像、コードなどを新たに創造する能力を持つ。自社でAIを活用する場合、課題の本質を見極めて目的に合った技術を選ぶことが成功の鍵になる。
製造や医療の領域では、セキュリティの観点からデータをクラウドに持ち出せないケースが多い。たとえクラウドを利用できる場合でも、データ転送に費用が発生するケースもある。これらの回避策としてオンプレミスでのAI基盤が選択肢に挙がる。GPUの選定が重要であることは確かだが、AI基盤の全てをGPUベンダーがサポートしてくれるわけではない。
選んだGPUに適したサーバやストレージ、ミドルウェア、アプリケーション、OS、ネットワークなどをそれぞれ見繕い、それらを組み合わせて「実際に動くAI基盤」に仕上げなければならない。そのため自社だけでシステムを構築する難易度は高い。だからこそ羽島氏は、1社のベンダーだけで全てを賄うのではなく、各分野の企業と協力する「エコシステム」が重要だと強調する。
しかし複数のベンダーとのやりとりは、個別の調整に手間やコストがかかってしまう。リョーサン菱洋はそれを一手に引き受け、窓口を一本化したワンストップ対応によって、顧客の調整負担やコストを大幅に軽減する。
「サーバ筐体(きょうたい)とGPU、OSの3つの組み合わせが動作検証・サポート対象であることを確認して、確実に動作するようサポートを受けられる環境を設計して提案できます。HPEとNVIDIA双方の製品ロードマップや供給状況を早いタイミングで把握できるため、顧客のカットオーバー時期に合わせた調達や、次の製品への移行を見据えた選択を支援できます」
リョーサン菱洋は、HPEとNVIDIAの正規一次代理店を務めており、多くの実績を積んできた。GPUを搭載するサーバとしては、ラック型の「DLシリーズ」とタワー型の「MLシリーズ」をそろえるHPEの「HPE ProLiant」を取り扱い、用途や設置環境に応じてNVIDIA製GPUとの組み合わせを提案している。
中でも「HPE ProLiant Compute DL145 Gen11」や「HPE Compute EdgeLine EL2000」は、省スペースながらGPUを搭載できるエッジ向けサーバだ。広温度環境や粉じん・振動を考慮した堅ろう設計に加え、壁面設置など柔軟な導入にも対応しているため、工場や店舗、遠隔拠点でのAI活用をスモールスタートしやすい。このようにHPE ProLiantは幅広いGPU構成に対応する。
その上で注目したいのが、強固なセキュリティだ。AI活用が広がるにつれ、学習データやモデルといった重要な資産をどうやって守るかは、導入時の大きな課題となっている。こうした背景から、HPEはAI向けサーバでもセキュリティに力を入れている。
具体的には、HPE ProLiantはゼロトラストアーキテクチャを採用しており、モデルのトレーニングからAI推論の活用まで、安全な環境を確保できる。またカスタム設計ASICによるシリコンレベルの防御で、起動プロセス中に狙われるブートローダー攻撃にも備える。量子コンピュータによる暗号解読の脅威を見据えた対策も施しており、将来の緊急的なハードウェア移行リスクを抑えられる。
リョーサン菱洋にはHPE ProLiantにGPU実装を担う自社エンジニアが在籍しており、NVIDIA製GPUとの組み合わせを事前に検証した上で、顧客の用途や設置環境に合った構成を提案できる。
リョーサン菱洋の支援実績として、GPUを搭載したHPEサーバを導入した事例がある。AI学習とLLM開発のために導入した製品だったが、顧客にはAI利活用のノウハウが十分に蓄積されておらず、他に必要な機器の仕様まで明確になっていなかった。
そこでリョーサン菱洋は、要求されたスペックのサーバを販売するだけではなく、ミーティングを重ねて1つずつ条件を確認。顧客自身では判断できていなかった機器の仕様なども提案し、導入前の環境確認から導入後の活用まで支援した。
「顧客自身が気付いていなかったところまで事前に確認でき、トラブルを未然に防げたことを評価していただきました。構成やスペックに詳しくなくても、『こういう用途で使いたい』というところから細かくヒアリングして、導入後まで全てのフェーズで伴走します」
サーバやGPUなど、複数の製品で構成する必要があるAI基盤だからこそ、ユーザー企業がそれぞれのベンダーを個別に調整するのではなく、全体を見渡して取りまとめる存在が重要になる。リョーサン菱洋では、顧客が抱える「何を、どの順序で決めるべきか分からない」という問題に対して、ネットワークやソフトウェア、設置工事、運用保守などを担うパートナーとも必要に応じて連携し、ワンストップで顧客を支援する。
AI基盤への投資は、費用が大きくなりやすい。そのため羽島氏が重要とするのがPoC(概念実証)だ。これは単にAIが技術的に動作することを確認するだけではない。「PoCを通じて、技術面だけでなく、どれだけ業務効率化やコスト削減につながるのかを理解することが重要です。その知見を基に本番環境で必要な機材を見極めて、段階的に投資することこそがAI導入を成功に導きます」
ただし、PoCまで進んでも、本番環境への移行でコストが壁になることがある。期待したほどの効果が得られず「時期尚早だった」と判断される場合もある。それらの失敗を回避するためにも、AI基盤のPoCで検討すべきなのはGPUやアプリケーションだけではない。
AIを活用するには、その源になるデータの置き場所や管理方法も重要になる。ストレージの選択やデータの配置には、セキュリティポリシーも関係するからだ。
羽島氏は導入時点だけでなく、3年後まで見据えて検証することも勧めている。「AIの世界は変化が速く、システムの陳腐化は避けられません。それでも、導入前に3年後を見据えた運用のビジョンを持っておくことが重要です。大きな方針や優先順位、設計思想が残っていれば、環境が変化しても修正しやすくなります」
その上で確認すべきなのは「求めるシステムが動作する環境を用意できるか」「それを運用できる人材を確保できるか」の2点だ。次の段階では「オンプレミスとクラウドのどちらで動かすのか」「データをどこに置くのか」「どのような運用ポリシーを採るのか」を考える。
社内の合意形成も欠かせない。DX担当部門が新しい技術の活用を積極的に進めようとする一方、情報システム部門は安定運用やセキュリティを重視する傾向にあるため、各所で目指す方向にずれが生じることがある。経営層に投資とリターンを説明できる形にしながら、まずは小さく始めて成果を確認しながら広げる。成果の落としどころを探す際にも、リョーサン菱洋は相談に乗るという。
「多くの企業にとって、AI活用は外せない要件になると思います。一方で、何から手を付ければいいのか、AIで何を解決すればいいのか分からず、とにかくAIを使いたいという段階の顧客もいます。そうした状態でも相談していただければ、何をすれば効率化につながるのかを一緒に考えて、AIを活用した後の価値まで見据えて提案し、伴走します」
AI基盤づくりの第一歩は、GPUやサーバの型番を決めることではない。何を実現したいのかを整理して、PoCで確かめ、将来の拡張や運用まで見据えてシステム全体を描くことが重要だ。その道筋がまだ見えていない段階から、HPE ProLiantとNVIDIA GPUを核に、各分野のパートナーとのエコシステムを生かして相談に応じる。それが、リョーサン菱洋が目指すAIインフラ支援だ。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年11月20日