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エス・ピー・エス・エス
上級副社長
村田悦子氏
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「先日、関西のマーケティング協会で、面白い話を聞きました。関西学院大学の井上 哲浩先生が、“マーケティングは自動化できない”“ツールをいくら使いこなしても、結局考えるのは人間”という内容の講演をされたのです」
こう話すのは、エス・ピー・エス・エスの村田悦子上級副社長。SPSSは、Predictive Analyticsを、日本で初めて企業メッセージとして打ち出した企業だ。
「ソフトウェアは、それを使う人間が“考えること”に集中するためにあるのです。人が頭を使える時間を増やし、そこで考えて決めたことをオペレーショナルシステムにフィードバックしてあげる。意志決定支援のためのシステムは、そうあるべきで、Predictive Analyticsの意義を再確認できました」

すでに米国では、Predictive Analyticsが浸透してきている。ビジネスインテリジェンス(BI)分野において、データマイニング技術を核とする領域では、ごく普通に使われるようになってきたのだ。まだ日本ではあまり馴染みのないこの新しい言葉は、一体何を指すのだろうか。
Predictive Analyticsは、「現実になった未来のBI」だ。ERPやCRMといったオペレーショナルシステムは、いわばデータ蓄積系のソリューション。そして、そこで蓄えられたデータから何らかの意味を発見することまでが、BIと呼ばれる領域となる。Predictive Analyticsは、その次の段階。平たく言えば、「データの分析結果を明日のビジネスの改善へと飛躍させるデータマイニング技術」となる。

図に示したサイクルが、SPSSの考え方を表している。オペレーショナルシステムは、ビジネスをある程度自動化し、ビジネスの今をデータとして蓄積する。そのデータをETL、データウェアハウス、OLAPなどの技術を利用したBIが情報に変え、ビジネスの過去や現在を目に見える形で示してくれる。ただ、使う技術がそこまででは、企業は単なる「可視化ツール」を採用しているにすぎない。
Predictive Analyticsは、その次に来る。データマイニングツールのClementineを活用して、一般のユーザーが見ても意味がわからないデータや、ただ見えるだけの情報に、分析という切り口から新しい命を吹き込む。Clementineには、注目を浴びているテキストマイニング機能での実績もあるため、企業が電子媒体で保存している映像や音声を除いたあらゆるデータが、インテリジェントに再活用でき、そのすべてを意志決定のための判断材料にできるわけだ。
データ分析は、限られた技術者にのみ許された特殊技能ではない。Clementineの優しいユーザーインタフェースによって、だれもが思いのままにデータを加工できる。こうして、データの真の価値を引き出し、意志決定のスピードを上げられる。さらに、意志決定プロセスで自動化できる部分が発見されれば、それをオペレーショナルシステムに反映させる。こうして、新しいより最適なビジネスプロセスが、具現することになる。

データはある。それをビジネスに役立てたい。でも、どれをどう使ったらいいのか分からない。――企業内にある複数のオペレーショナルシステムは、日々データを更新/追加している。データウェアハウスを構築してデータを一元化しても、そもそもやりたいことがなければデータを有効に活用するのは難しい。
SPSSのPredictive Analyticsは、データウェアハウスを前提とするものではなく、システム横断的にも、システム個々にも作用させられるのが特徴だ。これには、経営者や意思決定権を持つ各オペレーションのトップだけではなく、現場責任者レベルにも、優れた「予測環境」としてClementineを使ってもらいたいという願いも込められている。
「ガートナーがPredictive Analyticsと言うときには、ほぼSPSSの定義したとおりの意味で使われているなど、啓蒙活動がようやく実を結びつつあります。この言葉が一般化したときに、“われわれが初めて言った!”と語れるのはうれしいですね」(村田氏)
企業の組織を表すピラミッドは、小さなピラミッドの集合体と捉えることができる。ピラミッドの大きさに関係なく、あらゆるビジネスユーザーの意志決定を支援するための分析環境として、ClementineはPredictive Analyticsというメッセージと共に、大きく羽ばたこうとしている。