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2005/05/16 00:00 更新

社会インフラ構築企業に期待される高い信頼性:
SAP R/3の大規模ユーザーが、その豊富な経験をSAPのビジネスに活かす

SAPとのビジネスで幾つもの顔を持つ日立製作所──同社は、国内有数のSAPの大規模ユーザーとして、日々の企業活動の中で、購買やサプライチェーン、CRMなど様々なモジュールを使いこなし、総合電機メーカーとして要求される高い信頼性を実現している。この大規模ユーザーとしての豊富な経験をもとに、SAPのビジネスパートナーとしても、顧客企業の成功に結び付けている。

 「日立製作所は、社会貢献活動も含め社会インフラの構築にずっとこだわってサービスを提供してきた」と話すのは日立製作所で産業・流通システム事業部を統括する佐久間嘉一郎事業部長。社会インフラ構築に取り組んできた企業に対する信頼性への期待は極めて高いものだという。


佐久間嘉一郎氏

 SAPのビジネスにおいても、日立にはこの高い信頼性を顧客から期待されることが多い。つまり、信頼性の高い大規模システムを提案できる経験と技術、そして、それを最後までやり遂げるシステム構築力が求められるのだという。同社は、これまでSAPのソリューションを200社あまりに提供してきた。その多くは、大手の製造業や流通・サービス業だ。ハードウェアも含めると、同ビジネスは年間二百数十億円規模の売り上げを誇り、この分野の大きな柱のひとつとなっている。

 そもそもSAPとの関係は、かなり早い段階に日立がSAP R/3の大規模ユーザーとなったところから始まる。そのため、日立はSAPのソフトウェアを使いこなし、良いところも悪いところもよく分かった上で、ビジネスを展開できる経験があるのだ。このように、単なるベンダーとシステムインテグレーターという関係だけではなく、ユーザーとしての関係をSAPと構築していることが、ビジネスパートナーとして他社にはない強みになっている。

 また、導入時から運用支援までを見据えた計画を、ユーザーへ対し立案・実行できるのも同社の強みだ。日立が手がけたSAPのソリューションのほぼすべてにおいて、管理ツールとして確固たる地位を築いている「JP1」が採用されているという。

 「SAPシステム単体の場合、SAPシステム内でのトランザクションの多くはリアルタイムに処理される。しかし、実際の環境では既存システムとの共存や連携も必要とされるため、バッチジョブなどの対応も必要となることがあり、複雑な各種システムを一元管理する必要がある。この分野ではJP1が大きな役割を果たす」と産業・流通事業部ERPソリューション本部の奥出聡本部長は指摘する。

従来のテンプレートによる構築論をさらに加速する

 大規模ユーザーに対して、信頼性で応えてきた日立だが、新たな中堅および中小企業の市場には、豊富なノウハウをテンプレートとして活用し、短期間に低コストでシステムを構築できる「mySAP All-in−One」のソリューションを展開する。会計、プロセス管理、医薬分野向けなど、実績に基づいたテンプレートをこれまでにも提供してきたが、日立ではさらに短期間でシステムを構築できるようにする。それが「HICAREU/Light」という新しいアプローチだ。

 これまでの構築手法では、テンプレートが顧客の業務に適合するかを検証し、プロトタイプを構築してシステムを評価するところから始まる。これに対して、HICAREU/Lightでは、充実した機能を持っているテンプレートを活用するため、マスターと組織をいきなり設定するところから始める。顧客の業務をテンプレートに合わせることになるのだが、システムが動くかどうかに悩むのではなく、新たなシステムで業務がきちんと回るかどうかを徹底的にテストできるメリットは大きい。そのため、このアプローチでは顧客の視点も変わり、従来より短期間で本番稼動を迎えられるという。

 コストをかけたシステムを構築する際には、いつの間にかシステムそのものを動かすことに焦点があたり、業務を改善するという本来の目的が薄れてしまうことさえある。この方法であれば、企業はビジネスを改善し新たな価値を生み出すことに注力できる。

先端技術との融合でSAPに新しい価値を生み出す

 日立には、μ(ミュー)チップからブレードサーバ、ストレージに至るあらゆる規模の最新のプラットフォーム技術がある。さらに、今話題のセキュアPCやe-文書法に対応する電子透かしの技術など、先端のセキュリティソリューションも提供できる。これら、新しい技術とSAPで展開されるビジネスの融合にも注力しているという。セキュリティやコーポレートガバナンスという観点からシステムを再構築したいという企業の要望が増えてきているからだ。


奥出聡氏

 「2005年の3月からSAPジャパンと日立のERPソリューション本部、セキュリティソリューション部隊とが共同でセミナーを開催しており、たいへん好評だ。今後も日立の新しい技術とSAPのソリューションを積極的に融合させていきたい」と奥出氏。個人情報保護法に対応するようなセキュアな仕組みへの取り組みにも注力し、SAPに蓄積されるデータをセキュアに取り出せるようにしていくという。

顧客の視点を追求しより良いサービスを提供するuVALUE

 2004年の秋、日立製作所の情報・通信グループの新しい事業コンセプトとして登場したのが「uVALUE」だ。「u」は、「Ubiquitous」(ユビキタス)、さらに「User」「Unique」「Universal」の頭文字。「u」には、いつでもどこでも、顧客の要求を顧客の視点で提供するという意味が込められている。ハードウェアとソフトウェアで構成されるプラットフォーム、それをベースに要求を形に作り上げるプロセス、そこから生まれるユビキタス社会での価値をユーザーに提供したいという同社の姿勢を表しているという。

 SAPのビジネスにおいても、このuVALUEのコンセプトは変わらない。日立の中に点在しているたくさんの技術やソリューションを集め、価値としてワンストップで顧客に提供する。さらにソフトウェア製品、導入後の運用管理を行うAMO(Application Management Outsourcing)まで用意し、顧客のシステムのライフサイクルすべてをサポートする。50人の体制を整えたAMOは、既に31社に対してシステムの保守、管理をアウトソーシングサービスとして提供しているという。

 さらに日立では、このuVALUEのコンセプトの下、SAPビジネスにグループの総力を集結させようとしている。昨年の10月には、*日立の社内リソースに点在する各事業部のSE、営業、各パートナー会社間を、SAPビジネスにおいてワンストップで対応できる窓口、「SAPビジネス統括部」を対外的にアピールするため体制を新たに強化した。大企業がゆえに、ともすれば対応速度が遅くなりがちだが、縦割り組織を横串で貫くこの組織によって、迅速な対応と顧客やパートナーから分かりやすい体制が構築された。伝統企業の信頼の上に機動力が加われば、大きなビジネス規模の拡大が期待できるだろう。

[ITmedia]

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