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2005/05/16 00:00 更新

「Intel Runs SAP」──強力に相互補完しあう協業体制を目指す:
半導体技術をユーザー価値に、SAPとの協業でビジネスプラットフォーム化を推進

マイクロプロセッサからプラットフォームへ──半導体技術の発展を目指してきたインテルが、今後は顧客志向のプラットフォーム提供に注力するという。エンタープライズビジネスの領域で、SAPとの強力なリレーションシップによって顧客志向で新たな価値を追求する。インテルが提供する製品が、顧客にどのようなメリットをもたらすのか。

デイビッド・ヘイゼル氏

 「SAPとインテルの協力関係は、既に10年を超え、ここ2年ほどは、長期的な戦略を共有する協力関係へと進化している」──そう話すのはインテルでSAPとのアライアンスを担当するディレクタ、デイビッド・ヘイゼル氏。

 「特に昨年から今年にかけて協業が加速している。マーケティング面では、“Intel Runs SAP”というブランドキャンペーンをSAPがワールドワイドに展開してくれ、両社の強い結びつきがアピールされている」(ヘイゼル氏)

 しかし、インテル®・アーキテクチャ(IA)サーバがSAPアプリケーションのプラットフォームになることは容易に想像できるが、SAPとインテルの協力関係はあまり知られていない。

 SAPとインテルの協業は、ワールドワイドで展開されている。アジア太平洋地域においては、協力して(あるいは「協働して」)で顧客獲得を目指す取り組みもあり、中国においては地元のシステム・ベンダを取り込むための新たな営業施策も発表されている。

 このような協力体制は、インテルの先端技術をビジネスアプリケーションに積極的に取り込みたいSAPと、マイクロプロセッサから新たにプラットフォームの提供を目指すインテルの考えが一致しているためだ。プラットフォーム化へのインテルの取り組みにSAPもその価値を見出している。SAPは、「ESA」(Enterprise Services Architecture)を実現する「SAP NetWeaver」によってプラットフォームの領域に踏み込んでおり、得意分野の異なる両社が結びつくことで、互いを補完し合い、顧客の価値を拡大できるのだ。

64ビット技術やマルチコア技術もSAPで活きる

 SAPのアプリケーションの機能を最大限に引き出すには、インテルの最新半導体技術である64ビット技術とマルチコア技術のどちらが最適なのだろうか。ヘイゼル氏によれば、これらはそれぞれ別個に考える必要があるという。

 64ビットのマイクロプロセッサは、広大なメモリ空間を確保できる。ビジネスアプリケーションのように大量のデータを扱うソフトウェアでは、マイクロプロセッサのクロック周波数を上げて計算速度をいくら高めても、処理の過程でディスクやメモリなどI/Oへのアクセスが頻繁に発生するようではアプリケーション性能が極端に落ちてしまう。ビジネスアプリケーションの性能を左右するのは、このメモリ空間をいかに効率的かつ有効に利用できるかにかかっているのだ。

 さらに、マルチコア技術もSAPには有効だ。マルチコアのマイクロプロセッサで効率的に処理するには、プログラムの処理が適切に分割され、マルチスレッド化されていなければならないが、その点、SAPのアプリケーションには既に実績がある。マルチコアのマイクロプロセッサを導入するだけで、処理性能の向上が期待できるのだ。これらの技術を組み合わせれば、より低いコストで運用が可能なハードウェアプラットフォームに移行することも可能となる。

 「デジタル・エンタープライズ」というインテルが掲げているコンセプトの下、今後さらにさまざまな先端的な技術が出てくるだろう。そこには、SAPの提唱するESAに対応した機能もあり、それらはSAPアプリケーションの顧客のメリットにつながるだろう。

新たな分野の先端技術をSAPに融合させる

 インテルの先端技術をSAPと融合させ、新たな展開を目指している分野の一つにRFIDの応用がある。RFIDについては、既に2005年3月、ヨーロッパでRFID技術の普及促進に向けた協業を発表している。RFIDを用いたサプライチェーンの統合は、CPG(一般消費財)やハイテクの分野で需要拡大が期待されており、両社はそこに注目している。

 RFIDの技術は、SAP NetWeaverと連携して新たなビジネスプラットフォームを提供するひとつの例だ。

 「インテルは、SAPのユーザーでもある。そのため、SAP NetWeaverについても使いこなし、さらにその機能を拡充させている」(ヘイゼル氏)。こうした経験を基に、インテルが提供するさまざまな技術とSAPのアプリケーションを融合させ新たな市場を開拓するという。

 新しい技術を利用する領域として、インテルは医療の分野にも着目している。インテルが持つ技術の進化は、この分野に大きな貢献をもたらす可能性がある。この分野でインテルが持つ技術ががSAPのようなビジネスアプリケーションとどう連携できるか、注意深く進めることでユーザーに新たな価値を提供できるだろう。

アプリケーションとプラットフォームの未来を見据えた融合

 新しい技術をSAPのアプリケーションに応用していくこともインテルの強みだ。同社は、日常的にSAPの開発部門と連携し、長期的には研究部門とも戦略を共有する。これにより、インテルの半導体技術によるハードウェアのパフォーマンス・機能向上を視野にいれたSAPのアプリケーション開発や最適化が行なわれ、両社共通の顧客のメリットになることを目指している。

 具体的な協業活動のカギを握るのが、コンパイラなどの開発ツール群をもつ、インテルのソフトウェア・アンド・ソリューション事業本部だ。SAPとこのインテルのソフトウェア技術者がそれぞれの製品に関与して、密に連携して開発・検証作業を行っている。このグループには、インテル®ソリューション・サービスというコンサルティング部隊もあり、、ほかの環境を利用しているSAPの顧客をインテル・アーキテクチャへ移行する際のサポートも提供しているという。さらに、インテル® ソリューション・サービスでは、移行時には、生産性を改善させるための評価も行われ、ここでも両社の協業が活きる。

 「2社が協業することで、最終的には顧客がメリットを得るようでなければならない。SOA(Service Oriented Architecture)とSOI(Service Oriented Infrastructure)、われわれはビジネスプロセスの中にこれらを取り込んでいく。2つの企業が、これらに向けて協業することにより、お互いのテクノロジのメリットをさらに享受することができる」(ヘイゼル氏)

* インテル、Intelは米国およびその他の国におけるインテル コーポレーションまたはその子会社の商標または登録商標です。
* その他の会社名、商品名は一般に各社の商標または登録商標です。

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