「ILMの実行力で勝るところはない」、EMC主席副社長:Interveiw(2/2 ページ)
「ILMを1年半前に唱えたパイオニア的存在」と説明するのは、米EMCのハワード・エリアス主席副社長。他社との違いをたずねると、「それは実行力だ」と、自信をみなぎらせる。
重要なのは、顧客がIT予算をどのベンダーに使ってくれるかです。マーケットシェアの数字を見てください。EMCはこれだけ大きなシェアを持っています。つまり、顧客が支持してくれているわけです。
戦略やテクノロジーが優れているところが勝つ。そう言う人もいます。もちろんこれも大事ですが、一番重要なのは、顧客のビジネスの役に立ち、コスト削減できるソリューションを本当に提供できるか、ここにあります。その実行力があるのが、私たちの一番の差別化要因です。
――LEGATO、Documentum、そしてVMwareとソフトウェア企業を買収してきました。意図を説明してもらえますか?
エリアス これまでも完全なILMソリューションを提供できましたが、一連のソフトウェアの買収は、このプロセスを加速化していくためのものです。
――VMwareは、情報の価値に応じて最適なストレージに格納しようというILMよりも、ユーティリティコンピューティング的なものを狙っているように思うのですが?
エリアス その通りです。VMWareは仮想インフラを提供すもので、確かにILMとは異なります。ですが、この2つは補完するものになります。
ILMはデータや情報の整合性をとる垂直なスタックとして考えてください。一方、仮想インフラはリソースの最適化をするものです。ある意味、VMwareを中心に水平の層になります。どちらか一方だけをやるのも良いですが、この両方をやることでよりメリットが出てきます。
仮想インフラでリソースの最適化を図りながら、ILMで変わり行く情報の価値に対応していく。そういったことが可能になるわけです。
――ストレージソフトベンダーの中には、ハードを売るためのソフトウェアになると言うところもあります。他社のハードのサポートなどで変化はないのでしょうか?
エリアス 私は、EMCが特にILM戦略に出たからこそ、私たちのソフトウェアだけでなく、パートナーの製品も売れるようになってきたと思います。潮が満ちてくる状態を想像してください。海面が上がってくると船がすべて浮き上がります。それと同じことです。
当然のことながら、EMCのハードウェアが他社のソフトをサポートしていきますし、EMCのソフトウェアも他社のハードに対応させていきます。
こうすることで、顧客にありとあらゆる選択の余地が残されます。もちろん全部EMCで使われてもかまいませんし、そうでなければ、ILMソリューションの一部で、ほかのベンダーのテクノロジーを採用してもかまいません。
――先日、日立製作所がUSP(Universal Storage Platform)を発表しました。USPの後ろにEMCのSymmetrixも接続できますが、サポートの問題を考えると、データの移行だけに使えるとのことです。今のお話を聞いていると、USPの背後に接続されたSymmetrixのサポートを継続することもありえますか?
エリアス それは聞く相手をまちがえていませんか? 日立が発表したILMのアプローチは、唯一自分のところの高価なプラットフォームを買ってもらって、EMC、IBM、HPなどすべてのストレージの前に置いてくださいというものです。
つまり、サーバ/アプリケーションに対するインタフェースを日立にしてくださいということです。ですから、後ろのプラットフォームのサポートは日立が考えるべき問題でしょう。
私としては、この日立のアプローチは顧客が好むものでないと思います。高価につきますし、パフォーマンスの問題もありうると思います。当然のことながらサービスでの問題も出てきます。
どんなストレージプラットフォームを選んでも使えるための、適切なアプローチは、やはり管理の部分をソフトウェアのレイヤでやる方がよいと思います。あのように別のもの前に置くというやり方は、よくありません。日立のアプローチというのは、ストレージアレイの前にさらにストレージアレイを置くというものですからね。
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