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CIOが経営者を説得してEAを導入するための秘訣は?(5/5 ページ)

ガートナージャパンはCIO向けに「EA実現への5ステップ」を示した。ITとビジネスの関係を根本的に見直し、最適化していく活動として企業はEAをどのように導入していくべきかを考える。

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第5ステップ――効果の測定

 いよいよエンタープライズアーキテクチャ構築における最後となる第5ステップだ。効果の測定を目的とするこの段階は、「誰にとって何が重要なのか」を整理することから始まる。


誰にとって何が重要なのか

 ラスキーノ氏は、「IT部門は自画自賛をためらうな」と強調する。経営者にエンタープライズアーキテクチャの価値を理解させ、ITへの関心を継続的に持たせるためには、ある効果的な方法があるという。

 それは、エンタープライズアーキテクチャにおける「ビフォー・アフター」を示すこと。まず、「状況証拠」を示す。プロジェクトの短期化、ビジネスニーズと情報システムが連結された、障害対応における負担の軽減などを経営者に具体的に伝える。

 また、特定の分野で確認された効果については「事例証拠」として、経営者にアピールする。たとえば、フィールドサービス部門のデータにエンジニアリング部門の人がアクセスし、情報共有が進んだことや、アプリケーションにおけるツールの重複が減ったこと、さまざまな機能でユーザーインタフェースが統一されたことでユーザーの満足度が高まったことなどがこれに当たる。逆に、アーキテクチャの設計が不十分だったために、同じ機能を持つツールが3つも開発されてしまった、といったことも紹介すれば効果的だ。

 このように、エンタープライズアーキテクチャの導入を成功させるためには、自社の業務に関わる複雑な考え方を認識した上で、フレームワークを確立しなくてはならない。ITそのものは、論理的に考える限り裏切られることはない世界とも言えるが、ビジネスは人が絡む複雑な世界であるため、ビジネス主導で、ITを絡めた企業のアーキテクチャを考えることは非常に難しいことは確かだ。

 しかし、通常は体系化できないと思われているビジネスの領域を、効率的にITと連携させることができれば、ITの潜在能力を最大限に引き出し、ビジネス価値を生み出すことが可能になる。それは、競合への差別化であり、顧客満足度の向上といった形で現れてくる。

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