Keynote:SOA対応ツールで見え出したRationalの狙い:Rational Software Development Conference 2005(1/2 ページ)
米国ラスベガスで開催中のカンファレンスでIBMは、SOAを現実化させるための手法をデモした。システムの複雑化が進むITの現場では、迅速な意志決定にSOAの実現無くして透過性のあるシステムが成り立たなくなりつつある。
ITを原動力とする企業では、複雑化するソフトウェアの運用、管理に戸惑いや未来への不安を隠せないはずだ。経営サイドからは、投資対効果の見通しの困難さが加速する一途である。その解決策としてIBMは、2004年にRationalブランドを発表、そして今期はSOA(サービス指向アーキテクチャ)のバスとなるモジュール拡充をした。
ネバダ州ラスベガスで26日(米国時間)まで開催「Rational Software Development Conference 2005」の基調講演では、企業におけるSOA実現のための実体デモがポイントとなった。会場はマンデレイベイリゾート&カジノホテル内の一角に位置し、2千200名の登録者はカジノを横目にカンファレンス会場へと足を運んでいる。
SOAの幻想を現実的なものへ
SOA(サービス指向アーキテクチャ)といえば、ソフトウェア開発業界全体での共通キーワードとなっているが、多様な表現に混乱を招く向きが多いのも事実だ。実際にプロジェクト遂行のためにどのような手順が用意されるのか? この問いに対し、基調講演ではRational部門ゼネラルマネジャーのマイク・デブリン氏を始め、チーフテクニカルオフィサーのリー・ナックマン氏、Rationalゼネラルマネージャーのダニエル・サバー氏、Rationalデベロッパーリレーションズでゼネラルマネージャのブエル・ダンカン氏が登壇した。経営から現場まで、それぞれからのITへの関わりが示された。
製品実体として新たなものは、RUP Plug-in for WebSphere Business Integration Modelerや、RUP Plug-in for SOAなどの提供であり、WebSphereのビジネスモデリング、Rationalの開発ツール、Tivoli運用管理ツールそれぞれを、SOAの基につなぐことが狙いだ。
経営層へのメッセージは、ビジネス、デベロップメント(開発)、オペレーションズ(運用)それぞれの局面から見ることが可能なITライフサイクルの実現である。
デブリン氏は、どのようにソフトウェアとビジネスをつなげるかが課題であると強調し、ソフトウェアの進化がビジネスの変化に追従する必要性を語った。例として、現在の自動車開発では約数百万行のソースコードで成り立っていることを挙げ、今後も増加傾向にあることを示した(関連記事)。
Business-Driven Development(BDD:ビジネス駆動型開発)にも言及し、医療、保険、金融会社それぞれの事例を挙げた。BDDを進めるために何を必要としたか、具体名を挙げての紹介だ。
「現在の開発形態は、CRMやERPなどの縦割り構造で開発されている」とRationalゼネラルマネージャーのダニエル・サバー氏。なぜ? サービスとしてつなぐことが注目されているかの所以だ。
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