もう勘弁してください:「コンセント、抜けてます。」
この記事は秀和システム社発刊の書籍『コンセント、抜けてます。』の一部を許可を得て転載しています(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)
やっと終わりが見えてきたところで、ありがちのように電話がなって呼び出されるときほどイヤーな気分はありません。どうせ仕様変更だろうと思って出て行くと、案の定です。
クライアントが仕様変更を軽く見ているというわけではないのです。彼らには彼らの都合があって、それに合ったものにしたいだけなのです。ところが、最初の時点では彼らにも完成の形が見えていません。そこでSE側から、これこれこういう形になりますよ、というイメージをいろいろな形でプレゼンし、納得してもらってから設計・実装に入るわけです。
途中までのバージョンをとりあえず見せると、イメージと違うとだいたい言い出します。これはまあ普通のことなので、よくあることとして修整していきます。そうして何度かの修整作業のあと、最後のバグ出しチェック段階になってから、「会議した結果、ここをこうしてほしいということに決まった」とか言い出します。
そんな会議にはこっちは参加してないというと、社内で決まったことだからという決まり文句です。それまでの修整作業と確認OKはなんだったんだということになるわけですが、「いや、私個人はコレでいいと思ったんだが」ときます。
つまり、ただ一人の印象でこれまでの作業が存在し、みんなに聞いてみたらやっぱりダメだったというわけです。
なら最初から全員集めて、すべてのチェックを全員通してくれればいいのですが、「それぞれ都合があるから」と逃げられます。それなら口出しさせなきゃいいのにと思うわけですが、あちらにはそうもいかない事情があるようです。
最初と最後だけ関係者全員が集まり、途中経過は担当者ひとりだけが見るという状況だと、だいたいこういう非常にありがちなパターンにはまります。きっちりしたプロジェクトマネージャをおいて、その人がOKしたものはすべてOK ということにしておいても、社内からの反対意見に押し切られて「そこをなんとか」となります。結局またやり直し、納期はノビノビ、家に帰れない日々がさらに続くことになります。
できるだけ最短で作るためにいろいろ妥協をするわけですが、そうすると「こんなはずでは……」とか言い出します。最初の形どおりなら2カ月前にできていたと思うんですが、あとの祭りです。
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栗林 彰(くりばやし あきら)
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