バックアップでトラブル! 自分たちにどんな責任があったのか?:悲劇は喜劇より偉大か?
情報システム部門は複数の部署と共同で作業をすることが多い。うまくいっているときは問題ないが、事故が起きた場合に責任のなすり付け合いになっていないか?(攻めのシステム運用管理)
普段データのバックアップに関して気にする人は少ないが、障害が発生したときのことを考えると、バックアップを取っておくことは必須である。ところで、データのバックアップを取るべき責任者は、明確にされているだろうか。バックアップに複数の部署が関わると、責任の所在が曖昧になり、後々悲劇が訪れる。
バックアップだけ統合
わが社では、社内サーバが必要な部署は自分達で勝手に構築している。社内サーバを立てることに関して、特にルールがないためである。
以前、経営陣によりIT管理コストを全社的に削減する目的で部門サーバの統合が議論された。結論としては、部署ごとの都合もあり難しいだろうとことで流れたのだが、データのバックアップだけは、専門的なスキルが必要なので情報システム部が統合管理するということになった。
サーバ統合というのはよく聞く話しだが、部門サーバのバックアップだけを統合するという話しは他社ではほとんど聞かない。しかし、決まってしまったものは仕方がない。このプロジェクトは大方の予想通り難航を極めた。特に、部署ごとに要件がまったく違うことが一番大変だった。
こうした苦労の甲斐あって、丸半年かけ遂にバックアップ統合管理環境ができ上がった。バックアップ統合管理環境の仕組みは、こうである。中央に巨大なバックアップ専用サーバとストレージを置き、部門サーバ上のデータを周期的にバックアップサーバへ送り込むという方式である。
トラブル発生
バックアップ統合環境の構築後、情報システム部門に問い合わせやクレームはまったく入ってこなかった。そのため、バックアップは正常に動いているものと安心していた。そう思っていた矢先、ある部署から部門サーバが死んだとの連絡が飛び込んできた。
「部門サーバなんだから自分達で解決してくれよ」と思いつつも、バックアップデータの復元は情報システム部員でしか行えない。現場に急行した。
現場に到着すると、代替機種が届いていた。同一機種であれば復元が可能だが、違う機種の場合基本的に復元ができない。そんな事情もあり、復元にものすごい時間を取られることになってしまった。担当者には散々嫌味を言われる始末である。そもそも今回の場合、我々にどんな責任があったのであろうか?
教訓
情報システム部門は、複数の部署と共同で作業をすることが多い。うまくいっているときは問題ないが、事故が起きた場合に責任のなすりつけあいになることが多い。複数部署が関わるプロジェクトの場合は責任範囲を明確化することはとても重要である。
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若葉田町
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